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ウミヘビ(爬虫類)がウミヘビ(魚類)を好んで捕食するワケとは?

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ウミヘビ(提供:PhotoAC)

名前はよく知られているけど生態はあまり知られていない生き物ウミヘビ。実は大きく2つの全く異なるグループに別れ、互いに深い関わりがあります。

ウミヘビには2種類あるって知ってる?

「海中に生息する不思議なヘビ」というイメージが強いウミヘビ。このイメージ自体は別に間違っていないのですが、「ウミヘビはヘビの仲間」と言い切ってしまうと正しいとは言い切れなくなります。

というのも、「ウミヘビ」と呼ばれる生き物には実は、全く異なる2つのグループが含まれているからです。

ダイナンウミヘビ(提供:PhotoAC)

沖縄など南西諸島に多く生息する「イラブウミヘビ」や「ヒロオウミヘビ」などのウミヘビは、アオダイショウやマムシのような陸のヘビと同じ爬虫類(有鱗目)に含まれます。一方で本州以南で広く見られる「ダイナンウミヘビ」、「ホタテウミヘビ」などのウミヘビはアナゴやウナギと同じ仲間であり、魚類です。

面白いことに、爬虫類のウミヘビは一般的な魚と同じように鱗がよく目立ち、また尾がヒレ状に変形しているものが多いのですが、魚類のウミヘビは鱗がまったくないように見え、尾ビレも持たないものが多いです。

ウミヘビ(爬虫類)の好物はウミヘビ(魚類)

爬虫類のウミヘビと魚類のウミヘビ、生物学上は互いにかなり縁遠いといえます。そもそも前者は肺呼吸で、陸に上がることもしばしばあります。一方で後者は完全な鰓呼吸で、陸に上がることは全くありません。

陸に上がったヒロオウミヘビ(提供:PhotoAC)

そんな両者ですが、実は互いに密接な関係にあるということもできます。ただし仲良く一緒に暮らしているというのではなく、一方的な捕食関係という意味です。

近年の研究により、爬虫類のウミヘビは魚類のウミヘビを好んで食べるということが判明しています。後者は魚類であるにも関わらず泳ぎがあまりうまくなく、捕食しやすい(飲み込みやすい)形状も相まって、前者にとっての主要な餌となってしまっているようです。

ウミヘビと人の関係とは

爬虫類のウミヘビと魚類のウミヘビは、そのいずれもが我々日本人と深い関係を持っています。どちらも一部のシチュエーションにおいて、日本人にとって重要な「食材」となっているのです。

爬虫類のウミヘビの中でもイラブウミヘビ、ヒロオウミヘビなどは沖縄において「イラブー」と呼ばれており、食用に捕獲されています。捕獲されたウミヘビは乾燥・燻製処置の上保存し、食べるときはじっくりと煮込んで「イラブー汁」「イラブーシンジ」などのスープ料理にされます。

イラブーの燻製(提供:PhotoAC)

魚類のウミヘビにも食用にされる種類があります。それは南米で漁獲される「マルアナゴ」という魚で、ウナギ目ウミヘビ科に属するウミヘビの一種です。開きにするとアナゴやウナギとの見た目がつかないほど似ており、蒲焼や煮穴子様に加工されたものが盛んに輸入されています。出来合いの安いちらし寿司などを買って、上に“刻み穴子”が乗っていたらそれはマルアナゴかもしれません。

<脇本 哲朗/サカナ研究所>

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