セルフケアが効果的?! お医者さんが教える「梅雨ダル」の仕組みとその対策
雨が続くと、なぜかいつもより疲れやすかったり、頭が重く集中できなかったり、気分が沈んでやる気が出なかったりしないだろうか。もし心当たりがあるなら、それは「梅雨ダル」と呼ばれる季節性の体調不良かもしれない。
梅雨ダルは、単なる“気のせい”ではなく、医学的にも根拠のある不調である。本記事では、その仕組みと対策を医師監修のもと、わかりやすく解説する。
「梅雨ダル」とは
医学的にも注目される「梅雨ダル(つゆだる)」とは、梅雨時期に多くの人が感じる、慢性的なだるさ・気分の落ち込み・頭痛・不眠・消化不良など、心身に現れるさまざまな不調の総称である。医学的には、こうした不調の多くは以下の要因により引き起こされると考えられている。
●気圧の変化によって自律神経のバランスが乱れやすくなる
●日照時間の減少により脳内のセロトニン分泌が減少し、気分が落ち込む
●高湿度・気温差により体温調節機能や消化機能が低下する
これらはすべて生体リズムや神経系の反応に起因する“科学的根拠のある現象”である。特にストレス耐性が落ちている時期や、女性のホルモンバランスが揺らぎやすい時期(月経前、更年期など)には、症状が強く出やすい傾向がある。単なる「季節のせい」にせず、早めに気づいてセルフケアを取り入れることが、梅雨を快適に乗り切る第一歩となる。
梅雨は自律神経が乱れる?
梅雨に不調が起きやすい原因は、主に「気圧」と「湿度」の変化にある。
気圧の低下が引き起こす自律神経の過活動
梅雨の時期は低気圧が続く。耳の奥にある「内耳」は気圧の変化を感知するセンサーの働きを持っており、気圧が急激に下がると交感神経が過剰に刺激される。その結果、血管が収縮し、頭痛・肩こり・めまいなどの症状が現れやすくなる。一方で、気圧の低下によって体をリラックスさせる副交感神経が優位になると、血管が拡張し、無気力や眠気、片頭痛などの症状を引き起こすこともある。
高湿度がもたらす代謝の停滞
空気中の湿度が高くなることで、体内の水分代謝がスムーズに行われなくなり、「むくみ」や「だるさ」、さらには「消化不良」などが引き起こされやすくなる。
▼梅雨に悪化しやすい代表的な症状
・片頭痛や緊張型頭痛の頻度増加
・抑うつ傾向・気分障害の悪化
・過敏性腸症候群(IBS)や月経前症候群(PMS)の悪化
・神経痛、関節リウマチなどの痛みの慢性化
監修医師プロフィール
髙司 由理子(たかじ ゆりこ)
医療法人福岡桜十字 桜十字福岡病院 人間ドック・健診センター センター長・医師
2022年より桜十字福岡病院人間ドック・健診センターのセンター長を務める。放射線科診断専門医、検診マンモグラフィー読影認定医として、福岡桜十字のピンクリボン活動の拡大に寄与。博多阪急やコストコとのコラボ企画や地域イベントの実施等、アイデアと実行力で次々と新しい取り組みを推し進め、福岡桜十字の健診部門を力強く牽引している。
自宅でもできるセルフケアを医師が解説
梅雨の不調を乗り切るためには、生活習慣や食事を見直すことが重要である。
①自律神経を整える基本習慣
朝日を浴びる:朝はカーテンを開けて日光を浴び、セロトニンを活性化させる。
生活リズムを保つ:就寝・起床時間を一定にして、体内時計を整える。
軽い運動:日中にウォーキングなどの軽い有酸素運動を取り入れる。
睡眠環境を整える:室温26~28℃・湿度50~60%を目安に快適な環境を作る。
②不調時のポイントケア
血行改善:耳の周りをマッサージして血行を促す。
カフェイン:適量に摂る。偏頭痛を悪化させる場合もあれば、軽減させる場合もあるため、自身の体調に合わせて調整する。
水分・塩分補給:適切に水分と塩分を補い、低ナトリウム血症を予防する。
③梅雨時に取りたい栄養素
腸内環境を整える発酵食品:納豆、キムチ、ヨーグルト
抗炎症作用のある食品:青魚、オメガ3系オイル、トマト
疲労回復に効くビタミンB群:豚肉、玄米
消化機能を助ける食品:山芋、はと麦
気を巡らせる食品:しそ、みょうが、ねぎなど香味野菜
梅雨ダルQ&A
Q. 雨の日に気分が沈むのはなぜ?
A. 日照時間の減少により、脳内のセロトニンが減少し、気分が落ち込みやすくなります。
Q. 低気圧で眠くなるのは異常?
A. 異常ではありません。副交感神経が優位になることで眠気が強くなる傾向があります。
Q. 医療機関に相談する目安は?
A. 日常生活に支障をきたすレベルの不調(頭痛が週に何度も、気分が著しく沈むなど)が2週間以上続く場合は、早めの受診をおすすめします。
ゆらぎ世代の女性のためのプレミアムレディースチェックコースがスタート!
2025年4月より桜十字福岡病院で開始した「プレミアムレディースチェックコース」では、ゆらぎ世代の女性のために乳がん検診や子宮頚がん検診に加え、以下の検査項目が追加されている。
・頭部MRI
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・ホルモンチェック(血液検査)
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40歳を過ぎたあたりから訪れる心身の変化は「ゆらぎ」と呼ばれ、ホルモンバランスの変化によって様々な症状が引き起こされる。女性ホルモンの減少は、骨密度の減少のほか、脂質異常や高血圧、糖尿病などの生活習慣病リスクも高める。このコースは、ホルモン検査や骨密度測定などを通して自身の体の状態を正確に知り、ゆらぎ世代を健やかに過ごすことを目的としているという。また、頭部MRIでは将来の脳梗塞や認知症の危険因子とされる大脳白質病変や、クモ膜下出血の原因となる脳動脈瘤の有無もチェック可能だ。
<桜十字福岡病院のマンモグラフィーの嬉しいポイント>
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プレミアムレディースチェックコース
場所:桜十字福岡病院(福岡県福岡市中央区渡辺通3-5-11)
料金:65,000円(税込)
予約時間:木曜日 14:00
URL:https://www.mrso.jp/fukuoka/fukuoka-chuo/sakurajuji-fukuoka-hospital/plan/54224/
梅雨時の不調は“気のせい”ではなく、医学的にも根拠のある現象である。「だるさ」「落ち込み」「眠れない」といったサインを感じたときは、自分の体と心の声に耳を傾け、無理をせずに適切なセルフケアや専門家のサポートを活用することが大切だ。