142億円の最終赤字から第1四半期で黒字転換した島精機 ホールガーメント需要が回復基調に
横編機メーカー大手の島精機製作所は7月31日、2026年3月期第1四半期決算を発表した。売上高は前年同期比30.5%増の105億1900万円、営業利益は3億700万円(前年同期は4億9300万円の赤字)、最終利益も9億700万円の黒字(同3億8000万円の赤字)と、大幅な増収増益で黒字転換を果たした。前期に142億円超の最終赤字を計上していた同社にとって、復調の兆しとなる内容だ。
黒字化を支えたのは、主力のホールガーメント横編機を中心とする横編機事業の回復だ。中国とイタリアという2大マーケットで売上が拡大し、バングラデシュの生産拠点も政情不安からの回復により販売台数が上向いた。さらに、円安の影響による為替差益として約4億5300万円を営業外収益に計上したことも、収益改善に寄与した。
また、同社は約43万株の自己株式を処分し、従業員への譲渡制限付き株式報酬制度を新たに導入。取得総額は約4億5600万円で、中長期的な人材定着と企業価値の向上を狙う。成果に応じたインセンティブ制度は、モノづくり企業にとって珍しく、株式市場でも注目されそうだ。
通期見通しでは、売上高を前年比36.8%増の445億円、営業利益を15億円(前期は119億円超の赤字)、最終利益を20億円の黒字とする計画。赤字体質からの脱却に向け、ようやく反転攻勢に転じつつある島精機。今後の受注動向と海外市況の変化が、収益回復のカギを握る。