金山町・大志(おおし)集落の八幡神社の桜
年間300日、奥会津やJR只見線の撮影をし続ける郷土写真家・星 賢孝(けんこう)さん。彼だからこそ知る四季折々の“美しき奥会津”をお届け。撮影アドバイスも紹介します。
大志集落の八幡神社の桜
春の光を浴び、たおやかに咲き誇る桜の花は、悠久の時を超えてなお変わらぬ美しさを秘め、青空を仰ぎながら、過ぎし日の夢をそっと語っている。淡く儚い花弁は風に舞い、時の流れとともに、ひらひらと心の奥深くへと沈んでいく。
集落の栄枯衰退を見守ってきた瀟洒な神社が佇み、変わらぬ威厳と温もりが宿っている。板張りの壁は陽の光に艶やかに映え、積み重ねた千古の重みが凜とした空気に満ち、鳥のさえずりと木々のざわめきが、大地の鼓動のように静かに響いている。やがて、山あいを縫うようにして列車が姿を現すと、奥会津の風景と一つになり、春の光に照らされながら粛々と通り過ぎていく。
鉄路を刻む音は大地の記憶をたどるかのごとくゆっくりと、しかし力強く確かに響き渡り、沿線に生きた者達の物語を静かに語り続けている。車は神社境内に停められる。撮影は広角レンズで狙いたい。
文・写真/星 賢孝
金山町・大志(おおし)集落の八幡神社の桜
住所
【今回の撮影スポット】
大沼郡金山町大字大志&z=14