夢へ、踏み出す一歩 釜石市国際外語大学校で入学式 日本・ミャンマー・ネパール人学生、決意新たに
釜石市国際外語大学校(及川源太校長)の入学式は15日、同市大町の市民ホールTETTOで行われた。開校して2年目となる学びやに、留学生を含む22人が仲間入り。「釜石と世界をつなぐ存在に」「将来は日本で働きたい」など、それぞれが思い描く夢をかなえるために一歩を踏み出した。
日本人向けの外語観光学科に市内外から3人が入学。外国人対象の日本語学科はネパール、ミャンマー出身の19人を迎え入れる。入国時期が遅れている学生(ネパール人)もいて、入学式には15人が参加した。
新入生は真新しいスーツ、民族衣装のロンジー(ミャンマー)やサリー(ネパール)に身を包み入場。期待や不安が入り交じる様子だったが、自分の名前が呼ばれると「はい」と返事し、深くお辞儀した。
式辞に立った及川校長は「日本人と留学生が同じ屋根の下で共に学び、成長できる『釜国』での学生生活を思いっきり楽しんで。それぞれの国で培ったグローバルな視点と、今いる地域で何ができるかという視点を持ち合わせた大人となり、未来を築いてほしい」と期待した。
外語観光学科代表の小笠原奈那さん(19)は「ここで出会った仲間と刺激し合いながら自己実現のために学びを深めていく。多様なルーツや文化、価値観を持つ日本語学科の皆さんとも積極的に交流し、理解し合える関係を築いていきたい」と誓いの言葉を述べた。大槌町出身で、東日本大震災を機に釜石市に転居。地元で学べることへの感謝を口にし、「釜石と世界を言葉でつなげる存在、グローバルな人材になるため挑戦していく。切り開いた道を全力で歩み、恩返しをしていきたい」と前を向いた。
日本語学科代表として決意を述べたのは、ミャンマー出身のタン タン ソーさん(25)。「釜石に来ることができて、とてもうれしいです。2年間、日本語の勉強を頑張ります」と片言の日本語で思いを伝えた。7日に来日し、自然豊かな景色に好感を持った様子。「釜石の人は優しい。まちで会った時、あいさつをしたら、優しい顔であいさつを返してくれます」といったエピソードも紹介した。
鈴子町の校舎で学ぶ在校生が「ここは多くの素晴らしい出会いや経験を重ね、仲間と共に成長できる、すてきな場所。励まし合いながら進んでいきましょう」と歓迎。半年前から学ぶ日本語学科2年のタマン プラヂプさん(21)=ネパール出身=は「家族から離れて寂しくなったとしても、心配しないでくさい。学校に通って、だんだんに生活に慣れます。私たちは自分の夢をかなえるために来ているので、皆さんも一緒に勉強して、自分の夢をかなえましょう」とアドバイスを送った。
同校は学校法人龍澤学館(盛岡市)が運営する専門学校。外語観光学科(2年制)では英語や観光マネジメントなどを学べる。新入生の小笠原さんは公務員志望で、そうしたニーズに応じ、選択制の試験対策講座も用意する。在籍は新入生を含め計5人となった。
日本語学科は1年半と2年の2コース(4月と10月の年2回入学制)がある。1年半コースではネパール人16人が学んでいて、2年コースの新入生を含めると計35人が在籍。ミャンマーから留学生を迎え入れるのは初めてとなる。
ミャンマーでは3月28日に中部のマンダレー近郊を震源とする大地震が発生。同国からの留学生6人は南部のヤンゴン出身で、直接の被害はなかった。ただ、被災地の甚大な被害状況に、タンさんやアウン へインさん(20)は「とても悲しい。心配している」と気遣う。来日前には、募金をしたり支援を行ってきたという。
6人はそれぞれ夢を抱いて日本にやってきた。写真好きのタンさんはフォトグラファー、車に関心のあるアウンさんはトラックドライバーを夢見る。ほかにも、介護や自動車整備、ビジネスを学びたいと希望は各人各様。多くは日本で働くことを望み、2年間の学びで、日常会話レベルへの到達が目標。卒業後は日本国内の大学や専門学校への進学を見据える。「悲しいけど、釜石で頑張りたい」。共通の思いを胸に仲間と共に歩み続ける。