【福岡市西区、糸島市】糸島の自然と人情を満喫!「福岡マラソン2024」体験記
2024年11月10日(日)に開催された「福岡マラソン2024」に出場しました。
今回でフルマラソン挑戦は16回目、福岡マラソン参加は5回目です。
ビルが林立する福岡市の中心部・天神から、自然豊かな糸島市までの42.195キロ。
私は「大濠公園ブラインドランナーズクラブ(OBRC)」に所属しています。
視覚障害のある人と、ボランティアの伴走者がおしゃべりをしながらジョギングを楽しむグループです。
今回は、フルマラソン大会では2回目となる伴走者として、走りを楽しみました。
糸島半島の海岸線の景色、地元のみなさんの声援、ボランティアの高校生に感謝!視覚障害のあるランナーの伴走者として完走した「福岡マラソン2024」
OBRC会長のユミさんと走る
私は今回、OBRCの会長で60代のユミさんの伴走をしました。ユミさんは30代の時に目の病気になりました。今は明るさは感じますが、視力はほぼありません。12年前にOBRCに入り、会長になって4年余り。フルマラソンは今回が9回目です。
伴走をするのは、私と、50代のミツルさん、ユウコさんご夫婦。福岡マラソンでは伴走者を3人までつけることができるのです。夫婦はフルマラソンの伴走は初体験です。
ブラインド(視覚障害)ランナーとガイド(伴走)ランナーは、絆(きずな)と呼ばれるロープの輪をお互いの手で持ち、つながって走ります。あとの2人は、少し先を走って他のランナーにぶつからないよう気を配り「すみません、通ります」などと声をかけたり、後ろからブラインドさんをガードしたりしながら走ります。役割は途中で入れ替わります。
OBRCは毎月第1土曜日に福岡市の大濠公園、第3日曜に福岡県春日市の春日公園で練習会を開いています。それ以外は個人的に予定を合わせて、ブラインドさんと伴走さんが各地で練習をしています。私は2年前に入会しました。
私とミツルさん、ユウコさんが福岡マラソンでユミさんの伴走をすることは7月初めに決まりました。7月後半から、猛暑を避けるため、午前5時半から大濠公園を10キロ(5周)走ったり、スタミナをつけるために20キロ走ったりとトレーニングを積みました。4人一緒だったり、都合のつく人だけ走ったりと臨機応変に準備を進めました。
上の写真は大濠公園で練習を終えた私とユミさんです。
まずは受け付け
3カ月余りの練習で息もあってきたところで、いよいよ「福岡マラソン2024」の本番です。まずは受け付け。会場は福岡市役所西側ふれあい広場です。
大会前々日の11月8日(金)に行きました。
ランナーの番号が書かれたアスリートビブス(Tシャツに付ける)やタイムを計測するチップ(シューズに装着)を受け取ります。
マッサージのコーナーやマラソングッズ販売などがあってにぎやかです。ユミさんは5時間を切ったことがないので、5時間切りのタイムスケジュールを記した紙の腕輪をもらって帰りました。明確な目標として公言していたわけではありませんが「達成できればいいな」と願いました。
いよいよスタート
当日は午前7時に天神で待ち合わせました。私はユミさんと落ち合い地下鉄で天神へ向かいました。トイレを済ませて、午前7時45分までに手荷物を預け、55分までにスタートブロックに並びます。そして午前8時20分のスタートを待ちます。
スタートの号砲が鳴っても、ランナーは12,000人超もいます。なかなかスタートラインまで達しません。
上の写真は天神の中心・渡辺通り。普段は車でいっぱいの道を走る非日常を楽しみます。ランナーで大渋滞しますので、だいぶ先のスタートラインを越えるまで、5分47秒もかかりました。
その後は1キロを6分30秒~7分くらいのペースで順調に進みます。このままいくと5時間を切ることができます。ただ後半には疲れてペースが落ちることが多いので、実現は簡単ではありません。
沿道には多くの人が応援に来ています。出場していないOBRCのメンバーもあちらこちらで声援を送ってくれます。
糸島半島に近づく
下の写真は福岡市西区の生の松原です。だいぶ糸島半島に近づいてきました。両側に松林があり、右側の海から波音も聞こえます。
下は今津湾沿いの海岸線を走っているところです。
海のヨットや漁船が、ラッパのような音でランナーを応援し、大きく手を振ってくれます。元気が出ますね。ランナーも洋上に目をやり、手を振り返す人もいました。
このあたりは13キロ地点くらい。まだまだ私たち4人は元気です。
九州大学付近で折り返し、中間地点を通過
マラソンは、いつトイレにいくかが大問題です。福岡マラソンでは約2キロごとに仮設トイレが置いてあります。だいたい順番待ちの行列ができているので、列の少ないトイレを狙っていくのがコツです。今回、伴走の3人は、1回ずつトイレに行きました。他の3人は先に行っていますので、飛ばして追いつかないといけません。1人で走るマラソンとは違った、伴走の難しさの1つです。
給水所はコース上の13カ所にあります。スポーツドリンクか水が選べます。私は水を好みます。ユミさんと伴走さんは水を取りに行けないので、他のガイドランナーが先に走って行って紙コップ入りの水やドリンクを人数分取ってきて渡します。走りながら飲んでもいいし、止まって飲んでもいいです。私はいつも走りながら飲んでいます。
いろんな給食も楽しみです。朝、家で餅を6個も食べてエネルギーを蓄えてきましたが、途中でおなかが減ります。コース上の7カ所で、ひと口で食べられる「牧のうどん」の豆乳うどん、JAのトマトやミカン、地元のお菓子「博多の女(ひと)」や「とっとーと」などを味わえます。
タイム短縮のため、その場で食べないといけない物は食べて、お菓子はミツルさんのリュックに入れて持ち帰ることにしていました。下の写真は走りながら集めたお菓子です。一部、応援の人にもらったお菓子もあります。
給水所や給食所では、中学生や高校生、一般の方々などのボランティアさんがお世話をしています。「頑張ってください」と声もかけてくれます。このようなみなさんのおかげで安心して走れるのです。感謝してもしきれません。
そうこうしているうちに、私たちは糸島半島に入り、九州大学が近づいてきました。
九州大学の前では、学生さんの応援団やチアリーディングチーム、吹奏楽団がエールを送ってくれていました。
上の写真の反対車線には、すでに折り返しを終えた先を行くランナーが見えます。20キロを少し超えたところが折り返しなのですが、なかなか到達しません。いつも「まだか、まだか」と思ってやっとたどり着きます。
折り返して少し走ると中間地点を通過します。時計を見ると2時間27分くらいでした。5時間切りに向けて、3分の貯金ができています。
マラソンには「30キロの壁」「35キロの壁」という言葉があります。エネルギーが切れたり疲れたりしてガクッとペースが落ちる現象です。
福岡マラソンでは25キロ過ぎから糸島半島の海岸沿いを走り、だらだらとアップダウンが続き、海風も吹き付けるので精神的につらくなります。
しかし今回は、暑い夏場も練習を重ねていたので、あまり壁を感じませんでした。マイペースで無理をしていなかったので、すこぶる順調です。
この辺りは、道が狭くてランナーが込み合うので大変です。前半飛ばしてバテて遅れてきたランナーを追い抜くのも一苦労です。ユミさんと伴走のユウコさんの前に出て「すみません通ります」「右側から抜きます」「ありがとうございます」と他のランナーに声をかけながら進みます。
おしゃれなカフェなどが立ち並ぶ糸島の観光スポット、二見ケ浦が見えてきました。車で来れば早く着くところを、福岡市・天神からはるばる走ってやってきました。
上の写真は、私設の給食所のバナナを食べるユミさんたちです。沿道のお店や住民の人たちが、ランナーをもてなしてくれるのです。他の場所でもアイスなどを準備してくれていました。
二見ケ浦は35キロ地点。足を痛めて歩く人も出始めます。
感動のゴールへ
このあたりから写真を撮る余裕がなくなります。というのも5時間をギリギリ切れそうなので、先を急ぐことにしたのです。
後半になってもユミさんのペースは落ちず、逆に上がっていました。前半に力まず、無理せず走ったので、余力が十分あったのだと思います。1キロ6分20秒ほどのペースで飛ばすことができました。
残り5キロくらいから小雨が降り始めましたが、シャワーのようで逆に気持ちが良かったです。沿道には、他の応援場所から移動してきたOBRCの仲間がいて、先に走り終えたメンバーも声援を送ってくれました。「5時間切れそうです!」と言葉を返しました。
「ユミさん、行けるよ」と声をかけながら走ります。そして4人で一緒に、糸島市交流プラザ志摩館付近のゴールに飛び込みました。4時間58分8秒。1分52秒、5時間を切ることができました。
「ユミさん、やったよ」。初の5時間切りを4人で喜びを分かち合います。ボランティアの高校生が、完走者がもらえるタオルを渡してくれ、メダルも首にかけてくれました。
ゴール後、雨が激しくなりました。更衣場所で着替えを終え、傘をさして外に出ると、雨に濡れながら「お疲れさまでした」と参加者に言葉を贈る地元の高校生がいました。
福岡市と糸島市の多くのボランティアさんや大会関係者のみなさんに支えられて、私たちはマラソンを楽しめている。そんな感謝の思いを新たにして、帰路に就いたのでした。
INFORMATION
店名:
福岡マラソン2024
Web:
https://www.f-marathon.jp/
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店名:
大濠公園ブラインドランナーズクラブ
Web:
https://obrc.club/
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