シェイクで粉砕!? 斬新アイディアのコーヒーミル【シェーカーミル】きな粉、いりこも簡単に! 400年の伝統で上質なおしゃれアイテム誕生
鋳物のまちとして400年の歴史を誇る富山県高岡市。
日本全国の銅像や寺院の釣り鐘などの大半を生産し、さらに仏具などの製造も盛んです。
近年はそんな伝統産業で培われた技術を応用し、ユニークな感性やスタイリッシュなデザインと掛け合わせて、ジュエリーやファッション小物、おしゃれなインテリアなどが次々と生み出され、世界的に評価される高岡の製品も多くあります。
今回ご紹介するのも、そんな伝統産業が息づく「ものづくり」の気概と斬新なアイディアから生み出されたもの。おしゃれな見た目と実用を兼ねたスグレものです。
シェイクするだけの簡単ミル
オールステンレス製のこちらのアイテム。
高さ10cm、重さは610g。
そのまま置いておいても、オブジェのようにリビングやダイニングに馴染む美しさですが…
コーヒーミルなんです。
使い方はいたってシンプル。
直径4.5cmの筒状の容器にコーヒー豆を入れて、その中にステンレスの球(インナーボール)を入れて、シェイクします。
すると…たったこれだけで、豆が粉砕されてコーヒー粉になります。
商品名は、食品粉砕道具「シェーカーミル」。
コーヒー豆だけでなく、ナッツやスパイス、ハーブ類など、乾燥させたさまざまな食材を粉々にすることができるアイテムです。
温度が保たれ 香りもより豊かに
シェイカーミルは、一般的なミルのように金属やセラミックの刃を使用せず、インナーボールが豆を砕くという仕組みです。
手がけたのは、富山県高岡市にある秀正堂の社長、中島のりみさん。独自の仕組みを開発するところから始まり、特許も取得しました。
コーヒー豆は熱による味の変化が繊細で、電動ミルなどの回転刃によって温度が高くなった場合は風味が落ちるとも言われます。しかし、シェイカーミルの場合はサッとシェイクして蓋を開けるだけなので、温度変化がなく、コーヒー豆本来の香りやおいしさを楽しむことができます。
コーヒーだけでなく、粒コショウやゴマなども香りが際立つと評判です。
「大豆はきな粉に、煮干しはいりこに。ステンレス製なので、匂いが残りにくいんですよね」(中島さん)
伝統産業のまちに嫁いで知ったものづくりの楽しさ
創業1950年の秀正堂は、高岡銅器のほか鉄器、美術品、神仏具なども手掛けていて、同市の小泉製作所と共同でシェーカーミルを開発、商品化しました。
シェーカーミルは、ゆるやかなカーブを描いていて握りやすく、振ると内部で球が振り子のように移動。シェイクするのも楽しく、不思議な感覚です。
フタの上部は内向きの傾斜がついているため、使っていないときは球を乗せて飾るというのもアリ。球が揺らぐ様子は見ていて飽きない心地よさもあります
丸々水洗いOKで、お手入れが簡単なのもうれしいポイントです。
歴史ある伝統工芸の町に嫁ぎ、ものづくりの楽しさを知ったという中島さん。14年前に急逝した夫のあとを継ぎ、社長になりました。
以来、同業者らとも交流しながら、独創的なアイディアでものを作り続けています。
こちらは、猫の形をしたブックエンド「鉄猫2000」。
「重さが3kgあるのでダンベルにもなりますよ」(中島さん)
数年前からは、ものづくりに関心がある同業者や仲間を集めて、製作体験を行う「つくろうの会」も毎週開催しています。
「何か新しいものを考えるのが好き、生み出そうと考えている人も好き。だから、ものづくりしたいという人たちを結びつける場所を提供できたらうれしいんです」(中島さん)
高岡の伝統産業で培われた技術や心意気を活かしながら、ものづくりの楽しさを追求する中島さん。次にどんな商品が生まれるのか、楽しみですね。
出典:KNBテレビ「ワンエフ」
2025年2月7日放送
記事編集:nan-nan編集部