日本初のウェルター級世界王者狙う佐々木尽、王座統一のエニスに「倒すのは僕しかいない」
ラスベガスで武者修行中、WBO王者ノーマンには挑戦状手渡す
プロボクシングのウェルター級戦線で動きがあった。
WBA・IBFウェルター級王座統一戦が12日(日本時間13日)、アメリカ・ニュージャージー州のアトランティックシティで行われ、IBF王者ジャロン・エニス(27=アメリカ)がWBA王者エイマンタス・スタニオニス(30=リトアニア)に6回終了TKO勝ち。34勝(30KO)1無効試合と無敗のまま2団体統一王者となった。
ウェルター級では東洋太平洋・WBOアジアパシフィック2冠王者の佐々木尽(23=八王子中屋)がWBO2位、WBA4位、IBF4位、WBC5位と主要4団体で上位にランクされており、エニスは日本人初の世界ウェルター王座を狙う佐々木のターゲットの一人でもある。
現在、渡米してラスベガスで武者修行中の佐々木は自身のXを更新。現地のスポーツバーで観戦したことを明かし、「序盤ヒヤヒヤしたけどエニスが圧倒的に勝って素晴らしかったし安心しました。いずれエニスとやって初めて倒すのは僕しかいないので近い将来ウェルター級最強を証明するのに最高の相手。エニス選手おめでとうございます!」と投稿している。
また、3月29日にはWBO王者ブライアン・ノーマン・ジュニア(24=アメリカ)の初防衛戦を会場で観戦。3回TKO勝ちした王者に直接、挑戦状を手渡した。
報道陣に囲まれ、たどたどしい英語で挑戦状を読み上げて対戦をアピール。挑戦状に拘束力はないものの、王者も快く受け取ったことから近い将来の対戦が実現する可能性もある。
本場でスパーリング重ね手応え十分
リミット147ポンド(66.68キロ)のウェルター級は、これまでミドル級以下では日本人ボクサーが世界王者になっていない唯一の階級。現在の日本ボクシング界は世界王者が7人いる活況だが、最も重いクラスでも井上尚弥(大橋)が4団体統一している122ポンド(55.34キロ)のスーパーバンタム級だ。
アジアや中南米選手の多い軽量級は日本人が強いものの、スピードとパワーが両方必要な中量級はまだまだ壁が高い。特に本場ラスベガスで何度もビッグファイトが開催されてきたウェルター級はレベルが高く、日本人にとっては世界挑戦すら難しいのが実情だ。
ただ、19勝(17KO)1敗1分けと破格のハードパンチを誇る佐々木には、史上初の快挙を期待させるだけの魅力がある。現地では様々な選手とスパーリングを消化しており、「色んな選手や色んな環境でボクシングの種類もテニスと卓球ぐらいの差があるなといつも感じます。世界チャンピオンになれると毎回自信と確信がついてきています!」と手応えをにじませる投稿をしている。
井上尚弥が2階級で4団体統一を果たし、世界でも有数のボクシング王国となった日本。次に世界を驚かせるのは佐々木かもしれない。
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記事:SPAIA編集部