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犬が『失明してしまう病気』4つ 主な原因や危険な症状、知っておくべき予防法まで

わんちゃんホンポ

1.白内障

白内障は、多くの犬が発症する可能性のある眼疾患です。

レンズの役割を果たす目の水晶体が白くにごった状態になって、視力が低下したり見にくさを感じたりします。症状が進行すると、失明することもめずらしくありません。

見えにくくなることで、壁や家具などにぶつかったり、ちょっとした段差につまづいたりする様子が見られることがあります。

黒目の部分が少しずつ白くなってくるので、日常的に接している飼い主さんであれば軽度のうちからその変化に気がつくと思います。

原因や予防法

白内障は一般的に年齢を重ねるほど発症しやすい病気です。
しかし、若いうちから発症する先天的白内障もあり、この場合は遺伝性が強いことから予防することはむずかしいとされています。

特に多いのが、後天的白内障のなかで6歳以降に発症する「老年性白内障」です。
加齢や紫外線の浴びすぎが原因になるとされていますが、外傷や糖尿病など他の疾患に伴って発症することもあります。

治療法

基本的に一度白く濁ってしまった水晶体を回復させることはできず、発症を確認したら進行を遅らせる治療がおこなわれます。

軽度の場合は点眼薬や内服薬が処方され、それによって進行を遅らせられれば寿命まである程度の視力を維持することも可能です。

全身麻酔に耐えうる若い時期に白内障を発症した場合などは、目に人工レンズを入れる手術がおこなわれることもあります。

2.緑内障

緑内障は、目の中にある眼房水が抜けずに溜まりすぎてしまうことでおこる眼疾患です。
眼圧が高くなることで視神経が圧迫されて障害を受けてしまい、視覚が部分的に欠けたり失明したりします。

初期には目の充血や涙の増加のほか、痛みの症状が出ることもあり、目をつぶる回数が増えたり目をこすったりする様子が見られがちです。

ただし、何の前触れもなく発症する「急性緑内障」の場合、急激に視力の低下が進み、数時間~数日で失明してしまうこともあります。

原因や予防法

緑内障の明確な原因や予防法はわかっていませんが、一般的には加齢とともに発症数も増加する傾向があります。

また、ブドウ膜炎や水晶体脱臼、前房出血、眼球内腫瘍などの疾患によって発症することもあります。

片目だけ発症した場合、もう片方の目の発症リスクも高いため、予防的に治療がおこなわれることも少なくありません。

治療法

白内障同様、眼圧の上昇によってダメージを受けた視神経を回復させることはできません。

そのため、発症したらできるだけ早く治療に取り掛かり、これ以上ダメージが進まないように眼圧を下げる必要があります。

緑内障がわかった時点で視力が残っている場合は、視力を維持するために点眼薬や点滴を利用したり、眼房水を抜く処置をおこなったりします。

視力が完全に失われていて、目に強い痛みが生じている場合は、眼球を摘出する手術をおこなうこともあります。

3.網膜剥離

網膜剥離とは、光や色を感じる視細胞の集まりである網膜がはがれてしまう眼疾患です。

このような状態になることで、細胞に栄養が届かなくなり、視細胞が正常に働かなくなり視力障害や視力低下が引き起こされます。最悪の場合、失明することもあります。

基本的に痛みなどはないので、犬にも自覚症状がなく目立った変化が見られないため、発見が遅れることも少なくありません。

原因や予防法

網膜剥離の原因は色々とありますが、白内障や緑内障のような他の眼疾患をはじめ、高血圧や糖尿病などによって引き起こされます。

また、目の外傷や頭部への衝撃が原因となることもあります。

治療法

部分的に網膜剥離がおこったら、それ以上剥離が進行してしまわないようにレーザー治療で固定する処置がおこなわれます。

完全に剥離している場合、硝子体手術によって網膜をつけることも可能とされています。
しかし、高度な手術のため、眼科治療を専門的におこなっている獣医師や病院でしか対応していないのが実情です。

また、他の疾患が原因となっている場合は、その治療とあわせて内服薬が処方されることもあります。

4.進行性網膜萎縮症

進行性網膜萎縮症は、網膜が萎縮して光を感知できなくなることで視力が低下する疾患です。最終的に失明することもあり、発症から2年程度で失明することが多いとされています。

目が光を受け取れなくなるため、暗い場所や薄暗い場所での視界が悪くなります。
初期は明るい場所では特に問題なく生活ができますが、徐々に進行していくと明るくても見えにくさを感じるようになってしまいます。

原因や予防法

残念ながら、進行性網膜萎縮症に予防法は明確にされていません。

遺伝性が高く、プードル、ミニチュア・ダックスフンド、ヨークシャー・テリア、シェットランド・シープドック、コリー、アメリカン・コッカー・スパニエル、アイリッシュ・セッターなどの犬種で多く見られます。

治療法

予防法と同様に、進行性網膜萎縮症に有効な治療法も確立されていません。
基本的には、網膜の変性を遅らせるために、抗酸化作用のあるサプリメントやビタミン剤など使用が進められています。

まとめ

犬は、白内障や緑内障など比較的発症率の高い身近な疾患で失明してしまうことがあります。

それ以外にも遺伝的要因が強い眼疾患や外傷、脳神経系の疾患、糖尿病などが原因となることもめずらしくありません。

多くの場合、発症すると視力や視覚を回復させることはむずかしく、進行を遅らせる治療をおこなうのが一般的です。

犬の視力をできる限り維持するためには、目の異常にできるだけ早く気がつき、適切な治療を受けることが大切だとされています。
日頃から、愛犬の目の状態や行動、仕草に気を配って、早期発見に努めましょう。


(獣医師監修:後藤マチ子)

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