「重ね合わせの状態」を知るための量子フルーツづくりとは?【眠れなくなるほど面白い 図解 量子の話】
「重ね合わせの状態」を知るための量子フルーツづくり?
ここでは量子の世界のふしぎなルールをいくつか紹介していきますが、まずは有名な「重ね合わせの状態」についてです。
まず、「とりあえず片手を上げてください」と指示します。そのときの手は右手?左手?のどちらですか。 また、 ジャンケンするときの手はグー?チョキ?パー?のどれを選びましたか。こうしたとき、手の様子がどうだったかということを物理では「手の状態」といいます。
では、量子の世界ではどのような手の状態が許されるのでしょうか。この世界では手を上げてというと、右手か左手の状態のほかに、右手と左手がぼやけて重なっているような状態が選べるのです。これが「量子の手」で、「重ね合わせ状態」といわれるものです。この量子の手は右手の性質が半分、左手の性質が半分あるような手です。さらにその混ぜ具合も変えられて、右手が9割で左手が1割といった状態もつくれます。
重ね合わせるのは2つ以上のものでも大丈夫です。ジャンケンでいえば、1/3グー、1/3チョキ、1/3パーという状態もつくれます。もちろん混ぜ具合を変えて、ほぼほぼグーや、チョキとパーの半分半分というのもつくれます。
このように量子の世界では、わたしたちの世界ではふつう1つの状態でしかないものが、いくつかの状態を重ね合わせたものがつくれます。
つぎに「量子フルーツ」について考えてみましょう。仮にバナナとアップルがあるとします。その前提で「1個フルーツを出してください」と注文されると、わたしたちの世界ではバナナかアップルしかありませんから、どちらかを出すことになります。 ところが、 量子の世界では、「バナップル」や「アナナ」のような、バナナとアップルが半分半分の状態のフルーツや、アップル7割+バナナ3割の「アップナ」などもつくれてしまいます。量子フルーツとは、「重ね合わせの状態が許された量子の世界のふしぎを表す例というわけです。
ジャンケンすると?
ふつうの手でジャンケンすると
ふつうの手なら左手か右手、もしくはグー、チョキ、パーが「手の状態」だ。
量子の手の重ね合わせ状態でジャンケンすると?
量子の重ね合わせ状態なら左右の手半分半分、3分の1ずつ、右手9割左手1割、チョキとパー半分半分も可能になる。
ふつうのフルーツと量子フルーツの違いとは?
ふつうのフルーツ
量子フルーツ(重ね合わせの状態)
実際のバナナとアップルは常に1個と1個だが、量子フルーツでは1個ずつにもなるし、重ね合わせの状態だとバナナとアップル半分半分の「バナップル」や「アナナ」とか、アップル7割とバナナ3割の「アップナ」にもなる。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 量子の話』著:久富隆佑、やまざき れきしゅう