創業94年「白みそダレとげんこつおでん」で有名な老舗おでん屋『高田屋京店』 神戸市
三宮から電車で10分ほどのところにある新開地は、かつて「東の浅草、西の新開地」と呼ばれ、多くの人で賑わった西日本有数の歓楽街。最近はグルメを目当てに若者や女性のおひとり様で足を運ぶ人も多いそうです。
おでんが食べたくなるこの季節、創業94年となる老舗のおでん屋『高田屋京店』(神戸市兵庫区)へ取材に行ってきました。
暖簾をくぐると中から元気な声で「いらっしゃ〜い」と笑顔が素敵な女将さんを初め、他のスタッフさんも明るい声で声をかけてくださいます。店内入るとすぐにお出汁の良い香りがしてきます。ちょうど昼の忙しい時間帯が終わった後だったので、女将さんとお話しすることができました。昼は定食もあるので会社員の方や年配の常連さんたちが来られるそうです。
金杯酒造の蔵元の番頭だった初代が「高田」の姓をもらい受け、初代「京蔵」の1文字と合わせ、金杯を看板酒とする高田屋京店を開いたのが始まりだそうです。女将さんはサラリーマンのご主人ところへ嫁いだ後も、お店を手伝うようになりそのままお店を任されるようになり、今は3代目の息子さんとスタッフの皆さんと一緒に営んでいます。
取材時は不在でしたが、3代目はいつも朝早くから、多くのお客さんに愛され・受け継がれてきたおでん出汁の仕込みをしています。そんな「げんこつおでん」は、女将さんのお父様の「戦時中はお腹を空かしている人ばかりいたので、“げんこつサイズ”のおでんをお腹いっぱい食べて笑顔で生活して欲しい」という思いから生まれたそうです。
同店では一部のメニューに白みそダレがかかっている事で有名です。この白みそダレで具やお出汁がまろやかになります。白みそダレの発案を聞くと誰が作り出したのか分からないけど、「高田屋」の名前を継いでるお店は白味噌を使っているそうです。
大きいキャベツに包まれたロールキャベツには自家製のケチャップソースがかかっており、お出汁と合わせると洋風のスープに変わります。
この時期にしか食べれない「牡蠣」もいただきました。磯の香りが漂って、お出汁が牡蠣のエキスと混ざり白みそダレと相性バツグンです。
最後にお客さんの要望でメニューとなった「おでんそば」をいただきました。この上から好きなおでんを乗せてもらって、カスタマイズの「おでんそば」で食べる常連さんもいるそう。おそばは半玉なのでシメの一品におすすめです。
「最近はSNSを見て土曜日はデートコースにうちを選んでくれる人もいるぐらい、お客さんの年齢層が幅広くなってきた」と語る女将さん。女性が来やすいように新開地まちづくりのイベントにも参加しているそうです。「この地域全体で開発進んで、ファミリーマンションが出来てきたので、街自体が生まれ変わってきている」と教えてくれました。
「今では高田屋おでんのごった煮のように、様々な世代の方が来てくれていて嬉しい。スタッフもお客さんと同じ様に若い世代と60年勤めている世代が一緒になって働いていて、こういうお店にしたかったという思いです」と終始笑顔で語ってくれた女将さんの姿はとても素敵でした。
弾む会話に女将さんやスタッフさんが参戦し、受け継がれたおでんを囲みながら、その場に居合わせたお客さんとも繋がるお店の一体感をぜひ楽しんでみてください。
場所
高田屋京店
( 兵庫県神戸市兵庫区湊町4丁目2-13)
営業時間
11:00〜21:00
定休日
日曜日、祝日
駐車場
無