福島市の象徴的なロケーションで味わう、体よろこぶ週替わり定食
第93回「食堂たまちゃん」
新緑も美しい5月。福島県庁裏の隈畔をウォーキングして、ルーティンの「福島稲荷神社」を参拝したあたりでちょうどお昼。神社から文化通りを3分ほど進んだら、昭和の香りを残す福島市街の原風景的路地へ。
第93回「ふくしま定食部」は、歴史を重ねた新町ビルに2025年1月オープンの『食堂たまちゃん』さんを訪ねます。福島市民なら、「ぎょうざのこはる」さんがあった場所といえば分かりやすいですね。
情緒ある雰囲気を残した外観はホリゾンブルーのやわらかい青。
白い暖簾が出ていたらウエルカムの合図。がらり引き戸を開けると、左手に店主前の特等ハイカウンター、右手にローカウンター。ここは孤軍奮闘する店主のテキパキに見惚れるハイカウンターへ。
ホリゾンブルーの“ホリゾント”は地平線や水平線の意味。カウンターという地平線から覗く店主の気さくで元気な立ち回りは快晴の空のように明るく、まさにホリゾンブルー。
たまちゃんさんのメニューは週替わり。訪問の週は「豚竜田揚げ」や「アジフライ」、「ハンバーグのせカレー」など4種。バラエティに富んだ構成は毎週コンプリートしたくなります。
少し迷う振りをしてはみましたが、入り口の貼り紙を見た時点で「アジフライ定食」に決定していました。
今回で5度目の訪問ですが、初回の「チキン南蛮定食」(1,000円)のインパクトに、他のメニューも気になって以来、再訪を重ねてきました。
「豚紙カツ定食」(1,000円)は敢えて紙のように薄くスライスしたカツのクリスピーさで、よりサクサクに、より香ばしく。
待つこと10分ほど。黄金色で厚みのある「アジフライ定食」(1,000円)が到着です。
星座「夏の大三角形」で言うところの左下かど。白鳥座のデネブの位置を熱々警戒しながらパクつくと、湯気とともに立ち上る香ばしい風味。
二口目にウスターソースをかけたら、酸味が相まってこれまた旨い。カリっとした衣の中はふんわり。丁寧に骨抜きされているので思い切りかぶりつきます。
追いかけるようにご飯を頬張れば、これまたふっくら美味くて参ります!低農薬栽培『OBAMAI有機農園』の福島県産コシヒカリを、店内で毎朝精米されているんですから贅沢。
まるで給食のような週替わりで「今週はなんだろう」のワクワクは、愛に溢れていて心身ともに解れていくよう。それもそのはず、店主の前職は保育園の給食調理師さん。そう聞いて、実はあまり得意ではないトマトを食べて見せ、褒めていただきました!
こんもり盛られたキャベツには2種の自家製ドレッシングを相掛けリッチに。イタリアンドレッシングはさっぱりと、キムチドレッシングはピリ辛にんにく。
小鉢の磯辺揚げをひと噛みしたら中からチーズ流出のビッグサプライズ!豚汁をずずぅっと啜って、もう1枚のアジフライを今度は醤油でキリっとキメたら、すっかり満足です。
週替わり定食のほか、水曜日はアジア飯の日。ルーロー飯やガパオライス、鶏排飯などの登場に「ここは台湾か、タイか?」と錯覚しそう。
そして、ランチタイムでもお酒をいただけることも忘れてはいけません。以前、ハンバーグのせカレー定食をごはん抜きにして、福神漬けからの逆算でワンカップ(600円)を添えたことも。
「先生、ワンカップはおやつに入りますか?」
さらに、たまちゃんさんを余すことなく堪能するならば、不定期開催の「夜営業」も大プッシュ。
食事はもちろん、お酒に合わせるアテも美味しくて個性的。お気に入りは「肉巻きみたらし団子」と「ネギトロ生春巻き」。
「給食を食べてきた子どもたちの何十年か後を見る思いで食堂を続けたい」と仰います。小さい頃から栄養バランスを考えた美味しい食事を食べてきて、大人になっても体がよろこぶような料理を求めてくれたらという思い。
覚えてもらいやすいようにと飼い猫と同じ名前の「食堂たまちゃん」。福島市街のサラリーマンを代表して「ありがとう」と言いたくなるようなお店です。
ごちそうさまでした!
食堂たまちゃん
住所
福島市新町2-6
電話番号
024-563-3738
営業時間
11:00~15:00
休み
日曜祝日、他不定休あり
駐車場
なし
リンク
https://www.instagram.com/tamachan_fukushima.202412/