「テナガエビ釣りの始め方」道具・ポイント・釣り方を徹底解説【初心者向け完全ガイド】
ジトジトした梅雨の季節、釣りに出かけるのもおっくうになるが、この時期にこそ狙ってみたいターゲットが存在する。それは産卵のために浅場に乗っ込んでくるテナガエビだ。今回はテナガエビ釣りについてタックルから釣り方まで基本的事項をおさらいしておく。
テナガエビの分布と生態
梅雨の風物詩とも言われ、この時期の釣りの対象として古くから親しまれている。近年は都市部の河川などにおいて手軽な釣り物として人気が急上昇。小気味いい引きに病みつきになることまちがいなし。ビキナーからベテランまで熱中できるのがこの釣りの魅力。
北海道を除く全国各地に分布。河川の中・下流や平野部の湖沼や池など流れが緩い、または止水の砂泥底に生息。
体長は10cmほどで淡水のエビとしては大きく、2本だけ長いハサミ脚がついている。特にオスはハサミ脚が体長の1.5倍ほどあるのが特徴。基本的に夜行性で、昼間は隠れ家になる水草の中、捨て石、消波ブロックや杭がらみなどの物陰に潜んでいる。曇天時や薄暗くなると活動を開始。夜間は活発に動き回り、底生生物や小魚などを捕食する。5月ごろに脱皮して、6~7月ごろに産卵する。
タックルとエサ
テナガエビ狙いのタックルとエサを解説する。
竿
1~2m前後のノベ竿で、アワせた時、エビに違和感がないよう穂先が軟らかいことが絶対条件。安価なグラス竿がお勧め。
仕掛け
ミチイトは0.6~0.8号を竿いっぱいに結ぶ。軸付きセル玉8mmをゴム管止めした下に中通しセル玉6mmを2、3個付け、板オモリまたはカミツブシオモリでウキ全体がゆっくりと水中に沈むように浮力を調整する。
そしてウキのトップが水面から5~10cmに沈むようにウキ下を調整するとアタリが取りやすい。
ハリは初期のエビは小さいので、タナゴバリのような小さなハリが有利。良型が釣れる盛期は、ソデバリまたは秋田キツネの1~2号がいい。ハリスは障害物周りを釣るため5~7cmと短くする。
エサ
赤虫またはサシ1匹を通し刺しにし、ハリ先を出しておくとハリ掛かりがいい。ミミズなら米粒くらいに切ってたらさない。なおサシの場合はエサをつぶして体液を出しておくと誘引効果が期待できる。
ポイントと天候
朝夕が特に狙い時で、隠れ家になっていそうな薄暗い物陰を選んでポイントを決める。河川では流れが緩やかな場所で捨て石や消波ブロック帯、乱杭、橋脚、水草の陰などが絶好の狙いめ。湖沼では船溜まりや桟橋、水門周辺が好ポイント。
いいポイントに当たれば次々と釣れてくる。そのようなポイントを探り当てるため、ここぞと思うポイントに当たるまで手軽に移動できるようにしておくといい。
釣行日は晴天より、蒸し蒸しするような曇りの日やシトシトと小雨が降るような日がいい。隠れ家から離れて広範囲にエサを探しているため釣りやすい。
釣り方
アタリは、最初にピクピクときて、スーッと横に移動させたり、水中深く沈めたりする。テナガエビは必ずエサを物陰に持ち込んでから捕食するので、早アワセは禁物。ウキが停止してからポコポコと揺れたらアワセ時で、竿先をゆっくりと持ち上げて聞いてみると、ツンツンとくることが多い。
竿先に十分な重みが乗ったら、完全にハリ掛かりしているので、テナガエビ独特のエビバックの引きを楽しみながら静かに抜き上げるといい。
なお、アワセのタイミングが遅れると隠れ家の奥に持ち込まれて根掛かりとなってしまうため、仕掛けの予備、特にハリは十分用意したい。
またアタリが遠くなったら、1~2mでもポイントを変えてみる。
関東圏の釣り場
潮の影響を受ける汽水域の釣り場として、都内では多摩川や江戸川、中川、荒川などが挙げられる。このうち江戸川水系の新左近川親水公園は大型が釣れるので有名。公園として整備されているため、子ども連れでも楽しめる。
河川中流部の釣り場としては、千葉県印西市を流れる利根川本流の消波ブロック帯が有名。
湖沼の釣り場としては茨城県稲敷市霞ヶ浦の消波ブロック帯、千葉県我孫子市手賀沼の公園前や東京都葛飾区水元公園小合溜、埼玉県浦和の別所沼公園に実績がある。
料理
釣り上げたらブクブクで酸素を補給したバケツなどに入れて生かして持ち帰る。泥を履かせたあと、小型はそのまま唐揚げで、大型は塩焼きや天ぷらなどでおいしく食べられる。
<週刊つりニュース関東版APC・岩井一彦/TSURINEWS編>
この記事は『週刊つりニュース関東版』2025年6月6日号に掲載された記事を再編集したものになります。