H ZETTRIO×金子詔一 子供に音楽を伝えることの大切さと型を破ることの重要性、多世代にわたり共鳴する音楽の魅力とは
大人も子供も笑って踊れる、超絶技巧ピアノトリオ・H ZETTRIO。そして、今もなお歌い継がれている名曲で卒業式やキャンプファイヤーでよく歌われてきた「今日の日はさようなら」を作った音楽家で実業家の金子詔一。それぞれに、未就学児が入場可能なコンサートを積極的に行ってきた両者が今年、偶然の出会いを果たし、“子供に音楽を伝えることの大切さ”をキーワードに急接近、金子の経営する“0歳児のためのコンサートホール”である「麻布十番偶然劇場」でのパフォーマンスなどを通じて交流を深めてきた。
SPICEでは両者の対談を通して、多世代にわたって共鳴する音楽の魅力を掘り下げ、“型を破ること”の重要性を考察。美しいアフリカン・テイストの、真新しいタイルで装飾された、金子詔一の自宅でのトークセッションを実施。
さらに、H ZETTRIO が8月に大阪で予定している未就学児入場可の無料コンサートと、12月に人見記念講堂で行うクリスマスコンサートについても聞いてみた。
――意外な組み合わせのように思う人も多いと思うんですが、まずは、両者がお近づきになった経緯というと?
H ZETT KOU(Dr/銀鼻):本当に偶然の連続で。自分の高校の同級生の白石普(しらいしあまね)くんが、今そこにいらっしゃいますけど、凄い拘りを持った日本を代表するタイル職人なんですが、ちょくちょく会ったりしてはいたんですが、先日、金子さんのご自宅を今改築しているという話を聞きました。白石くん曰く「次世代に音楽を届けたい」という共通点があると伺って金子さんを紹介して頂きました。H ZETTRIOは、『こどもの日Special』というライブを8年前からスタートしていて、金子さんが運営されている「偶然劇場」もまさに同じコンセプトだという事で、先日、そこの劇場でも演奏させて頂きました。
金子詔一:僕と白石さんとの出会いのきっかけは、アフリカに興味があったからですね。ジャズ好きとして、アフリカのことがいつもテーマとしてあったところへ、「タイルでアフリカっぽいことをやっている人がいる」というのをテレビで見て、探して、連絡したんです。彼は20歳ぐらいでモロッコに一人で行って、タイル職人の修行をしていたんですね。
白石普:いきなり携帯電話にかかってきたんです。“この人は只者じゃない”と思って調べたら、「今日の日はさようなら」の作詞作曲をされた方だと。お話ししてみたら、齢80を過ぎても実にお若くて、“この家を文化財にしたい”ということでオファーをいただいた。それを作っている忙しい最中に、いきなりKOUが訪ねてきた(※YouTube「H ZETT CHANNEL」内「こうさんぽ」で配信)。
KOU:ごめんね(笑)。
白石:僕は『こどもの日Special』も行ったことがあるし、H ZETTRIOが未就学児入場可のライブをやっていることは記憶していて。金子さんが麻布で0歳児からベビーカーで入れる小さなコンサートホールを運営されているのも知っていたので、“この偶然は繋げたいな”と思いました。何か新しい事が生まれるんじゃないかな?と。そして実は私の会社のテーマ曲も色々リクエストさせて頂きH ZETTRIOに作ってもらいました。8月1日にリリースした「Euclid」という曲なのですが、そのまま私の会社名でもあります。とても気に入ってます。
M:そう言って頂けますと有難いです。
金子:そもそもジャズの人たちは、やっていることが偶然なんだと思いますよ。毎週出していくってすごいけれど(※H ZETTRIOが継続中の「72か月連続リリース」企画)、毎週偶然が起こっちゃうみたいな。ジャズの人は元々偶然が好きで、そもそも音の出会いが偶然じゃないですか。
H ZETT M(Pf/青鼻):偶然、最高ですね。演奏していても、偶然を求めているところはやっぱりあると思います。それがあるから楽しいというか、いろんな自由を求めて、偶然に出会いたいというのは、いつもあると思いますね。
――H ZETTRIOは、4月5日にNHK『あさイチ』で、「今日の日はさようなら」を演奏しました。
KOU:NHK『あさイチ』は出演のオファーを頂き、5月5日『こどもの日Special』コンサートの紹介もしたかったので、急ではあったのですが「今日の日はさようなら」をメンバー一致で披露したいということになりました。金子さんも快く許諾してくれまして、実現しました。他にも我々は日本の名曲を毎週カバーするというYouTube番組(※YouTube『SPEED MUSIC ソクドノオンガク』)をやっているのですが、そこにも以前から「今日の日はさようなら」のリクエストもチラホラあったので、これはぜひやらせていただきたいという、偶然の必然でした。
H ZETT NIRE(Ba/赤鼻):「今日の日はさようなら」は、自分も子供の頃に歌っていた記憶があったので、最初にテレビの生放送でいきなり弾いて、何か感慨深いものがありました。反響がすごくあって、いろんな人から“見たよ”という連絡が来ましたね。外国に姉が住んでいるんですけど、どうやって見たのか、“生放送見たよ”という連絡も来ましたし。世界に響き渡りました。
――あらためて、1964年に世に出た「今日の日はさようなら」は、どんなふうにできた曲なんでしょうか。
金子:たぶん、本当に勉強して作ろうと思うと、できなかっただろうと思うんですよね。当時この家で、金子ワン、ツー、スリー(詔一の父の金子一雄、弟の二雄、三雄)という、明治生まれの僕の親父たち3人兄弟が、言い争いをしていたわけです。戦後のことで、要するに“西洋に負けないように”とか、そういう時代感覚だったと思うんですが、音楽というものは、ベートーヴェン、バッハの音楽や、美空ひばりの曲や、民謡や、ほかにも色々あるわけですけど、“美空ひばりの「越後獅子」がすごいとか言っても、日本の曲じゃ戦争に勝てねえだぞ”なんてやっているわけです。“ジャズなんかやったら不良になっちまうぞ”“いや、あれをやらないと戦争にまた負けるぞ”とか、そういう話をしている。三雄さんが作曲した「赤胴鈴之助」の歌も、元々はラジオ東京で、戦後の焼け野原の子供たちを元気づけようとして作ったラジオドラマの曲だったんですが、そういうものをなんとしても生み出したいという思いがあったわけです。そういう時代背景があるんですよね。だから「今日の日はさようなら」も、この家から生まれたと言ってもいいと思うんですけど、いつもそういう話ばかりしながら、何か新しいものを生み出したいという雰囲気の中で、“自分も何かできるはずだ”という気持ちはありましたね。だから、作った歌というより生まれてきた歌だという、そういう感じがあるんです。
――はい。なるほど。
金子:僕もやっぱり、短調の「月の砂漠」とか、すごく好きなんですよ。演歌も、ものすごく沁みるんです。だけど“それをやっちゃダメだ”と。「酒は涙か溜息か」じゃなくて、「酒とバラの日々」で行かなきゃいけない、大好きな演歌にはまってはいけない、というようなものがあったんですね。おじさんたちの言い争いの中に。和の中に洋がどういうふうに入って来て、どこにもないものを生み出して、なんとかしなきゃいけないと、信州の田舎っぺのわりには、そういう世界観はあったんじゃないですか。それが、強いて言えば気持ちの上での出発点というか、今でもその感覚は強いですよね。
――そういう背景から生まれてきたんですね、あの歌は。
金子:それは今も続いていますよね。未だに日本の歌で、世界に広まった歌はほとんどないですから。「スキヤキ(上を向いて歩こう)」は有名ですけどね。でも最近はK-POPも頑張っているし、新しい風がちょっと吹いてきたかな?というのはあるけど、西洋音楽の持っている力は、なかなか簡単にはぶち破れない。だから今度は彼ら(H ZETTRIO)がやってくれないとね。外国で売れているんでしょう?
NIRE:……どうですかね(笑)。
金子:ジャズフェスティバルに出たって、言っていましたよね。
NIRE:そうですね。何回か出させてもらいました。
金子:なかなか、日本発は難しいんですよね。お客さんのノリは違いますか。
M:違いますね。
NIRE:わりとダイレクトに、鼻を見てすごく喜んでくれたりします。
金子:選ぶ曲は、日本の曲も取り入れているんですか。それともジャズ・スタンダードも大いにやるんですか。
NIRE:『モントルー(・ジャズ・フェスティバル)』に行った時は、それこそ「スキヤキ」をやりましたね。それと、海外の曲をカバーしたりもしました。
金子:外国の方も、日本の感覚を知りたいとか聴きたいとか、そういう感じもあるんですか。
NIRE:フェスティバルなので、いろんな国のミュージシャンが来ていて、それを楽しみに来ている感じでしたね。でも最後の方はすごく盛り上がりました。
KOU:これからは、海外のフェスに出たら「今日の日はさようなら」をやらないと。今、いろんなお話を聞いたので、次に演奏したらまた違う感覚で演奏できそうです。
M:やっぱり、流行りものは色々あるかもしれないですけど、普遍的に変わらない、世代を超えた名曲というものは、日本から海外でも、海外から日本でも、今はあんまりないような気がしますね。だからそういった、昔からある、誰もが知っている曲をやることには、意味がある気がします。
金子:いつもリクエストが来る曲だとか、あるいは自分たちがいつも取り入れている曲とか、トリオの中でのベスト10の中にはどういう曲がありますか。新しい曲をやっている感じはあるんですか。それとも古いものもやるとか。
NIRE:先ほど話した毎週、日本の曲をカバーしている番組では、かなり広い範囲の曲をやっていますね。古いものもやっていますし、つい最近の曲もやりますし。古いものだとどれくらいだろう?
M:「月の砂漠」もやりましたね。
NIRE:あれは、はまりましたね。ジャズっぽい感じで演奏すると。
金子:歌謡曲っぽいもの、演歌っぽいものはないですか。
M:演歌もやりました。
NIRE:美空ひばりさんや、五木ひろしさんはやりました。細川たかしさんも。
金子:歌手とやる共演は、あんまりないですか。歌手を迎えてとか。
NIRE:ライブとかで、ゲストで入ってきてもらうのはたまにありますね。
金子:外国のプレイヤーで、ぜひ共演したい方とか、いるんですか。日本人でもいいですけど。
NIRE:それは沢山いますね。名前は敢えて言いませんが、機会があれば、是非やってみたいです。
KOU:この間のSPEED MUSICの撮影で、「偶然劇場」で演奏させていただいたじゃないですか。その前にYOUTUBE番組の撮影で、金子さんにお会いした時に、ジャズのセッションをやっていて、そこで金子さんがベースを弾いているのを見て、とても感動しました。 (NIREと)金子さんと、ダブルベースでやってほしいですね。
金子:もうね、ぎっくり腰でダメです(笑)。でもね、ああいう古いジャズもいいでしょう? たまには。
――ジャズのお話で言うと、1942年のお生まれの金子さんは、山下洋輔さんや日野皓正さんと同じ年になりますね。
金子:洋輔さんはね、みずがめ座なんですよ。渡辺貞夫さんが何か賞をもらった時に 山下洋輔さんたちジャズメンが来てパーティーをやったんです。僕は渡辺貞夫さんの追っかけをするぐらいのジャズ好きで、その場にいたんですけど、身内のお祝いみたいなものだから、“おい、誰かベース弾け”とか言って、僕が弾いていたら、山下洋輔さんがピアノを弾き出したんですよ。それが、何をやっているか全然わからない(笑)。そうしたら、スウィングジャーナルに写真が出ちゃって、みんな有名な人ばっかりなのに、ベースだけ誰かわからなくて、“最後までわかりませんでした”って書いてある。
全員:(笑)。
金子:その号はね、記念に取ってありますよ。僕はその頃、そういう有名な方々の後ろについてやっていたんです。面白かったですよ。
M:……みずがめ座というのは、何かあるんですか。
金子:みずがめ座はね、なぜかスッと入り込めるんです。渡辺貞夫さんもそうで、将棋の升田幸三もそうなんですけど、偶然掌握力があるというか、好きな人たちなんですね。型にはまったことが好きじゃない。何か相性がいいなと思って、調べたら、だいたいみずがめ座なんです。
NIRE:そうなんですか。
金子:危険な人たちですけどね。
M:……僕、みずがめ座です。
金子:何か危ないなと思ったんですよ(笑)。見ていて、なんとなく。みずがめ座なんだ、やっぱり。
――金子さんがやっていらっしゃる「偶然劇場」についてお聞きします。小さい子供や赤ちゃんに音楽を届けるということは、以前から意識されていたことですか。
金子:金子ワン、ツー、スリーは、子供が生まれた時にベートーヴェンをかけていましたから。手回しの蓄音機で、赤ちゃんの耳元で音楽をかけていた。それは別に早期教育とか、そういうのじゃないんですよ。環境なんです。環境は0歳から圧倒的に大事じゃないですか、外国語を勉強する場合でも、生活の中にそういうバイブレーションがあるかどうかが大事で、それを教育とか言って教えると、変なことになっちゃうんじゃないですかね。
――H ZETTRIOも、未就学児入場OKという試みをずっと続けていますね。通常のコンサートのように“静かにしなさい”ではなくて、子供も自由に楽しんでくださいというスタイルですよね。H ZETTRIOの『こどもの日Special』は。
M:静かには静かにでいいんですけども、声を出す時もあってもいいのかなと。なんでもありというか、子供の声も音楽の一部というか、それぐらいのコンサートもあっていいのかなという気持ちです。『こどもの日Special』は今年で8回目になりましたけど、年々、リラックスしている気がしますけね。年々、“ぎゃあ、ぎゃあ”という会場の声がよく聴こえますね。
――金子さんの「偶然劇場」も、ジャズのセッションをしている中に、赤ちゃんがベビーカーやバギーでどうぞ入ってくださいという場所なんですね。
金子:普段はそういうことが許されないからね。だから逆に、赤ん坊が優先の場所があってもいいんじゃないか?ということですよね。まだ試行錯誤中ですけど、随分喜んでくれる方が多いです。やっぱりバギーのまんま飛び込んでくるという空間自体がないんじゃないですか。遠慮するらしいですよ。お母さんの方が、“泣かれたらどうしよう”とか考えただけで、やめておこうと思っちゃう。でも喜んでくれる方がだんだん増えてきて、一人で訪れる方も多いですけども、赤ちゃん連れも多いです。さっきの話じゃないけど、“こどもの日に、赤ちゃんもご一緒にどうぞ”ということ自体が珍しいんでしょう。勝手に、子供の時間と大人の時間を分けちゃっているんだよね。そこで“どうぞご一緒に”ということが、なかなかないのかもしれないね。
NIRE:だから、「偶然劇場」で弾かせてもらった時に、おこがましいですけど、“自分たちがやっていることと似ている”と思いました。本当に赤ちゃんがバギーで入ってきて、何か嬉しかったんですよね。“(これを考えていたのは)自分たちだけじゃないんだな”というか。僕たち、キャリアの最初の頃にストリートライブをたくさんやっていて、それはどちらかというと、目立ちたいとか、音楽を知ってもらいたいというだけだったんですけど、“偶然通りかかった人に聴いてもらいたい”というのが大きかったんですよね。そういうものが、色々と組み合わさった感じがすごくしたんですよね。「偶然劇場」で演奏した時に。
――二組の考え方が、とてもシンクロしているように思います。
金子:先ほどの、みずがめ座の話ですけどね。この近くの江古田に住んでいた、みずがめ座の升田幸三が、教えてくれたことがあるんです。升田幸三は将棋の名人ですけど、将棋の世界の三段まではアマチュアで、四段からプロになるんだけど、プロとアマの境は“大変な違いがあるんだ”と。アマの三段までは型があるから、型にはまれと。だけど、型にはまっただけの人は、それっきりただのアマチュアなんだと。そこで、はまった型を全部取る、全部ぶち壊す。これは数学者の広中平祐が教えてくれたんですけど、覚えた知識を全部取ってしまうとゼロになるのか?というと、そうではなくて、脳みそにシワだけが残る。そのシワが大事なんだと。型にはまったままで外れなくなる人は、それっきりになっちゃう。だけど、最初に型にはまらない人は、これも問題外なんだと。というふうに、みずがめ座の升田幸三が、昼間から焼酎を飲みながら教えてくれた。
一同:(笑)
金子:要するに、型にはまって、型を破れということを盛んに言っていた。みずがめ座というだけで相手にしてくれる、みずがめ座フレンドだったんです。それはね、なんとなくわかるような気がするんですよね。向こうは大名人ですけど、そういう感覚を共有できたことは、嬉しかったですよね。今は学校教育も、型にはめるだけで、外すことをやらないから。はまるのはいいんだけど、それを壊すところがないんですよね。怖くて壊せないのか、そのまま、いい子ちゃんの会社の面接試験みたいになっちゃう。そういう意味で、あなたたちのトリオがやっていることは非常に重要ですよね。そういう、型を破る瞬間みたいなことをやってくれるから、ありがたいですよね。何かを教えてくれるのは、型をぶっ壊している人たちですから。
KOU:(H ZETT Mを見て)まさに、今のお話の通りの方です(笑)。ぶち壊していて、いいんじゃないですか。
――今日は貴重なお話をありがとうございました。最後に、H ZETTRIOの今後のライブについて、紹介してください。
KOU:8月の30日、31日に大阪でタイルのイベント(『CERASTA 2024~タイルで未来を魅せんねん~』@大阪市中央公会堂大集会室)があります。こちらも白石さんの計らいで『こどもの日Special』の番外編みたい事を交えてタイル業界を盛り上げようというイベントです。しかも未就学児OKで、年齢制限なしで入場無料なので是非遊びに来てもらいたいです。
今年12月25日のクリスマスライブ(『H ZETTRIO Christmas Show 2024 ~Thank you Dynamics!~』@東京・昭和女子大学人見記念講堂)も、未就学児OKにしましたので、また楽しいライブになるんじゃないかなと思っていますね。お子さんの声が聴こえるようなライブにしたいです。その他も各地から問い合わせがあってこのテイストのコンサートが増えていくような気がしますね。2月には広島の呉という場所の開催も決定しますので是非チェックしてみてください。
金子:「こどもの日」のライブで好評なのは、たとえばどういうものが受けるんですか。そもそも、多少ぎゃあぎゃあ言ってもいいんだよというコンサート自体が珍しいのか。
NIRE:やっぱり小さいお子さんがいるご家庭だと、ライブに来にくいという事情がそもそもあって。まずそれが、すごく喜んでもらえてます。
金子:“自由にどうぞ”と言われるだけでもね。
NIRE:あとは、おじいちゃんおばあちゃん、お父さんお母さん、お孫さんみたいな、ご家族みんなで来てくれるライブも……。
金子:滅多にないでしょうね。
NIRE:それはステージから見ていても、ものすごくいいなという感じがするんですよね。そこでたとえば童謡とか、お子さん向けの曲を演奏することも、喜んでもらえていると思うんですね。「こどもの日」っぽい感じの選曲は意識しています。
金子:でもディズニーの曲をやるわけじゃないんでしょう?
NIRE:ディズニーはまだやったことないですね。
金子:安心しました。こどもの日、じゃあディズニーで、みたいになっちゃうとね、面白くないなと思っているから。
NIRE:日本の童謡とか、唱歌とか、そういうものを選んで演奏したりとか。あとは、毎週やっている『ソクドノオンガク』で、昔のアニメの曲もたくさんやっているので、その中からお客さんが知っていそうな曲を選んで演奏したりしていますね。
金子:「今日の日はさようなら」も、『エヴァンゲリオン』で使っていましたよね。あれはちょっとびっくりでしたけど、ああいう使い方があるらしいですね。クリスマスライブでは、クリスマスソングをやるんですか。
NIRE:そういうものもやりつつ、ですね。やっぱり『こどもの日Special』でやっているライブみたいに、いろんな世代の人が楽しめるような内容にできたらいいなと、今年のクリスマスのライブも思っています。
KOU:年齢制限がなくて、子供が泣き叫んでも、その場で座っていなくても、踊り出しちゃってもいいよということだけでも、やっている側も、見ていて刺激されますよね。“やっぱり、こうじゃなきゃ”って思います。音楽に対して自由に反応してくれると、こっちも嬉しくなるんです。
取材・文=宮本英夫 撮影=菊池貴裕