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暑い夏を乗り切ろう【80年代アイドル夏ソング】ファン以外は知らない珠玉の名曲を厳選!

Re:minder

1985年06月05日 松田聖子のアルバム「The 9th Wave」発売日

歌謡ポップスチャンネル「Re:minder SONG FILE」vol.13〜80年代アイドル夏ソング#3

メジャーなアイドルの通好みの夏ソング12曲をセレクト


梅雨明け前から猛暑が続く2025年の日本列島。長くて暑い夏は今年始まった現象ではなく、“冷夏” という言葉を聞かなくなって久しいが、かつての夏は今よりも格段に涼しかった。気象庁の統計によると、1980年代の東京は記録的冷夏となった1980年を含め、猛暑日(最高気温35℃以上)ゼロの年が6回。10年間では9日しか観測されていない。ちなみに2020年代は昨年までの5年間で72日。データからも日本の夏が様変わりしたことが見てとれる。

そんな過ごしやすかった1980年代の夏を彩ったアイドルたちの楽曲をまとめて聴ける番組が7月23日(水)24時から歌謡ポップスチャンネルで放送される。そう、『Re:minder SONG FILE』の “80年代アイドル夏ソング#3” だ。同番組で1980年代アイドルの夏ソングを特集するのは3度目。6月に放送された第2弾では誰もが知る有名曲が並んだが、今回は “メジャーなアイドルの通好みの夏ソング” ということで、シングルでトップ10ヒットを持つアイドルをメジャーと定義し、​​彼ら彼女らのレパートリーからファン以外にはあまり知られていないような12曲を厳選した。

長山洋子アイドル時代の傑作「ゴールドウィンド」


オープニングは夏の到来を軽やかに告げる長山洋子の「ゴールドウィンド」(1985年)。現在は演歌界を背負って立つ存在の長山だが、アイドルとしてデビューしてから2年半ほどは、大きなヒットに恵まれなかった。本作はその間にリリースされた5作目のシングルで、作詞・作曲は飛鳥涼(ASKA)。のちに光GENJI、少年隊、南野陽子、中山美穂への提供作品で作家としてもチャート1位を獲得するASKAだが、シングルとして発売したアイドルは長山が第1号だった。

筆者はこの曲を初めて聴いたとき、高揚感に溢れたキャッチーなメロディも、長山の伸びやかなボーカルも、鷺巣詩郎による煌びやかなアレンジも、アイドルポップスの王道をゆくものだとヒットを確信。にもかかわらずオリコンでは最高74位にとどまった。長山は翌1986年、ユーロビートをカバーした「ヴィーナス」でブレイクを果たすが、アイドル時代の傑作は今でも「ゴールドウィンド」だと思っている。

柏原芳恵「ガラスの夏」物憂げなボーカルが聴きどころ


2曲目は柏原芳恵(当時の表記は、柏原よしえ)の「ガラスの夏」(1981年)。キラキラ感満載の1曲目から一転、こちらはアイドルらしからぬ紗(しゃ)がかかったような空気感と物憂げなボーカル、そしてサビでマイナーからメジャーに転調する展開が聴きどころだ。

『スター誕生!』(日本テレビ系)を経て14歳でデビューした柏原も長山同様、しばらく試行錯誤が続いたが、5作目にあたるこの曲がオリコン21位まで上昇。半年後に「ハロー・グッバイ」でブレイクする足掛かりとなった。ヒット曲が多いため、なかなかスポットが当たらない楽曲であるが、45周年を記念した自選ベスト『〜45th Anniversary〜 YOSHIE SELECTION ALL TIME BEST』に収録されたのは喜ばしい限り。今回の放送でも15歳とは思えぬ色気と、堂々たる歌唱を味わってほしい。

河合奈保子「太陽の下のストレンジャー」作曲は八神純子


続いては、柏原と同じ大阪出身で1980年デビューの河合奈保子。#1で放送された「夏のヒロイン」(1982年)を筆頭に数々の夏ソングを持つ彼女だが、今回はアルバム『Summer Delicacy』(1984年)のオープニングを飾る「太陽の下のストレンジャー」を選曲した。

本人憧れの八神純子が作曲を手がけた本作は河合のリズム感と歌唱力が存分に発揮されたエレクトロファンク。間奏のラップは八神の夫で音楽プロデューサーのジョン・スタンレーが担当しているが、同曲は邦楽ラップ第1号と言われる佐野元春「COMPLICATION SHAKEDOWN」と同時期のリリースであり、当時としては先進的なサウンドであった。

チェッカーズ「ブルー・パシフィック」は夏の別れの回想ソング


続くチェッカーズ「ブルー・パシフィック」(1985年)はキャリア初の12インチシングルに収録された、夏の別れの回想ソング。「HEART OF RAINBOW 〜愛の虹を渡って〜」と両A面扱いで、彼らが出演していたTDKのCMタイアップも付いていたので、リアルタイム世代なら一度は耳にしたことがあるだろう。

当時のチェッカーズは主演映画が製作されるほどアイドル的な人気を博しており、本盤も初登場1位を獲得したが、「ブルー・パシフィック」はテレビやライブで歌われることがないまま今に至るため、一般的な認知度が低い。彼らの真骨頂とも言える切なさ全開のマイナーポップチューンなので、この機会に堪能していただきたい。

意味不明のタイトル!水谷麻里「ポキチ・ペキチ・パキチ」


次の2曲はいわゆるトンチキ系の夏ソング。「ポキチ・ペキチ・パキチ」(1987年)は資生堂主催『ミスヘアコロン・イメージガール・コンテスト』で優勝した水谷麻里の5作目のシングルで、意味不明のタイトルとフレーズがインパクト抜群だった。とはいえ当時はおニャン子クラブ出身者をはじめ、あまたの女性アイドルが群雄割拠した爛熟期。オリコンではトップ10ヒットを重ねた水谷も『ザ・ベストテン』(TBS系)では本作の12位が最高で、ランクインは叶わなかった。

翌1988年に歌手活動を休止した彼女は2年後に漫画家の江口寿史と結婚。その後は公の場に出ることがなくなったため、その魅力が語られる機会は年々少なくなっている。次のシングル「バカンスの嵐」も聴く者のテンションを上げる夏ソングなので、夏バテしたときはぜひ水谷の歌でエネルギーをチャージしてほしい。

お嬢様ブームに乗ったシブがき隊「飛んで火に入る夏の令嬢」


そしてもう1曲はシブがき隊の「飛んで火に入る夏の令嬢」(1986年)。お嬢様ブームに乗った20作目のシングルで、オリコン8位をマークしたファンカラティーナだ。シブがき隊にはシングルだけでも「喝!」「アッパレ!フジヤマ」「DJ in My Life」「月光淑女!」などの夏ソングが存在するが、“通好み” のテーマに合わせて今回はこちらを選曲した。

リリース時はバブル景気の黎明期ということもあって、バブル期の流行語 “アッシーくん”(女性にとって都合のいい男性)を思わせる主人公が登場するが、男女の駆け引きをユーモラスに歌った本作はトンチキソングを得意とした彼らならではの世界観と言えよう。

花の82年組から堀ちえみと松本伊代の名曲をお届け


そのシブがき隊と同じ “花の82年組” からは堀ちえみと松本伊代の楽曲もお届けする。堀の「夏咲き娘」(1986年)はムーンライダーズの白井良明を作曲に迎えたGS調の失恋ソング。松本は20歳の誕生日にリリースされた「ポニーテイルは結ばない」(1985年)で、ひと夏の恋の終わりを歌ったハチロク(8分の6拍子)のロッカバラードだ。

いずれもデビュー5年目で脱アイドルを模索し始めた頃のシングル曲。初期のウキウキワクワク、恋するときめきを歌った夏ソングとは趣の異なる、切なさを湛えた歌声に歌手としての成長を感じてもらえるに違いない。

斉藤由貴の本領発揮「ストローハットの夏想い」


9曲目の斉藤由貴「ストローハットの夏想い」(1986年)はサードアルバム『チャイム』に初収録されたカフェミュージック系のナンバー。去年の夏の記憶を手繰りつつ、目の前にいる彼氏への想いを切々と歌うさまは女優・斉藤由貴の本領発揮で、リスナーを一気に歌の世界へといざなう。近年のシティポップブームを受けて再注目され、2024年に7インチのアナログ盤としてシングル化。本人もお気に入りの楽曲で、デビュー40周年のコンサートツアーでも披露された。

おニャン子クラブのライブ定番曲「夏休みは終わらない」


終盤の3曲は去りゆく夏や、過去の夏への郷愁をテーマにした楽曲をセレクトした。まずはおニャン子クラブの「夏休みは終わらない」(1986年)。サードアルバム『PANIC THE WORLD』の収録曲だが、ファンからの人気が高く、先日開催された結成40周年コンサートでも歌われるなど、ライブの定番曲として知られている。

夏を想起させるワードを散りばめた秋元康の詞は映像的で、のちのAKB48「Everyday、カチューシャ」に通じるシチュエーション。当時のアイドルでは珍しく “ぼく” の目線で描かれている点も男性ファンの共感を呼んだのだろう。そういう意味では近年のAKBグループや坂道シリーズの詞世界の初期モデルと言ってもいいかもしれない。

渡辺満里奈「夏の短編」はガールポップ的な立ち位置


1980年代中盤の歌謡界を席巻したおニャン子クラブからはもう1曲、渡辺満里奈の「夏の短編」(1988年)も聴いていただく。洗練された音楽性で1980年代のシーンを牽引したEPICソニーからデビューした彼女はキャピキャピやツッパリとは無縁のガールポップ的な立ち位置。本作はおニャン子解散の翌年に発表した7作目のシングルで、「マリーナの夏」「夏休みだけのサイドシート」に続く夏ソングだ。

ポップなメロディと爽やかなサウンドにノスタルジックな詞が乗った佳曲だが、バンドブームに押されてアイドルが冬の時代を迎えつつあった時期だけに前2作の陰に隠れがち。“通好み”にしておくには勿体ないので、この機会に知っていただき夏ソングのプレイリストに加えてもらえたら選者として嬉しい限りである。

尾崎亜美から松田聖子へのエール「夏の幻影」


さて、締めはやはりこの方にお願いしよう。1980年代のアイドルブームを創出した松田聖子の「夏の幻影(シーン)」(1985年)である。結婚休業直前に発表されたアルバム『The 9th Wave』のエンディングを飾るバラードで、作詞・作曲は尾崎亜美。アルバムのタイトルはこの曲に出てくる「♪九番目の波は高い」の詞に由来している。

作者の尾崎いわく、波の周期でいちばん高い九番目の波を乗り越えた者には神の加護が与えられるという故事から創作したそうで、結婚生活という新たな船出を前にした松田聖子へのエールが込められていた。ファーストアルバム『SQUALL』(1980年)の1曲目「南太平洋~サンバの香り~」は波音のSE(効果音)から始まるが、「夏の幻影」は「♪Good bye」を告げたあと、やはり波音のSEで終わる。聖子時代の幕切れ(1985年当時は引退の可能性も取り沙汰されていた)と夏の終わりの寂寥感を重ね合わせた傑作と言えるだろう。

以上12曲。音楽にはその当時の記憶を甦らせる効果があるので、往時を知る昭和世代にはしのぎやすかった夏を思い出して、気分だけでも涼を取っていただければ幸いである。

Information
Re:minder SONG FILE「80年代アイドル夏ソング#3」
ココロ躍る音楽メディア「Re:minder」がテーマを決めて珠玉のソングファイルをお届け!
▶︎ 放送局:歌謡ポップスチャンネル
▶︎ 放送日時:
・2025年7月23日(水)24:00〜25:00
・2025年7月31日(木)24:00〜25:00
▶︎ 今月のソングファイル:
♪ ゴールドウィンド / 長山洋子
♪ ガラスの夏 / 柏原芳恵
♪ 太陽の下のストレンジャー / 河合奈保子
♪ ブルー・パシフィック / チェッカーズ
♪ ポキチ・ペキチ・パキチ / 水谷麻里
♪ 飛んで火に入る夏の令嬢 / シブがき隊
♪ 夏咲き娘 / 堀ちえみ
♪ ポニーテイルは結ばない / 松本伊代
♪ ストローハットの夏想い / 斉藤由貴
♪ 夏休みは終わらない / おニャン子クラブ
♪ 夏の短編 / 渡辺満里奈
♪ 夏の幻影 / 松田聖子
▶︎ 番組ページ:80年代アイドル夏ソング#3

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