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柄沢「宗休庵 隆昌院」 赤穂浪士の遺児が建立か 小泉八雲も愛した「鬼子母神」

タウンニュース

鬼子母神像が眠る本堂

4月21日は「松之大廊下刃傷事件」の日。江戸城中で浅野内匠頭が吉良上野介を斬りつけ、のちに『忠臣蔵』で知られる討ち入り「赤穂事件」へとつながった。「柄沢の鬼子母神」として知られる日蓮宗「宗休庵隆昌院」は四十七士の一人、奥田孫太夫の子・日心が父と旧主君を弔うために建てた寺だという。

赤穂事件と同寺の関わりが文献に登場するのは1865年。所蔵の『略縁起』の中に「播州赤穂城主浅野内匠頭長矩家臣奥田孫太夫末子」が日蓮開眼の鬼子母神像を賜り「元禄十六年癸未(1703年)」に「當院建立」と書かれている。

「奥田孫太夫との関係を示す文献はこれのみ」と望月隆雄住職(70)は話す。記述が正しければ討ち入りの翌年に建てられたことになる。

だが、1720年に記された同寺所蔵の『日禛聖人筆大曼荼羅本尊』では、鎌倉の妙本寺で一千部の経典を読誦する「比企谷千部会」を前年に創始した「閑攝院相休日心聖人」に、妙本寺の日禛聖人から鬼子母神像を賜ったとされる。孫太夫の末子が千部会にかかる莫大な費用を事件直後に用意できた可能性は低く、「約20年後に日心が建立したという説が正しいのではないか」と望月住職。また、奥田孫太夫に日心という息子がいたことを示す文献は『略縁起』の他にはない。

日心は幕府にとって罪人である孫太夫の子。同じく妙本寺の開祖である比企能本も、鎌倉時代に北条家との権力闘争に敗れた比企一族の末子だ。「そのような境遇の人間を受け入れる風土が昔の日蓮宗にはあったのかもしれない」と推測する。

鬼子母神像は本堂に祀られているが、毎年1月28日の年間祈祷会の際に公開される。明治時代には、『怪談』で知られ次の連続テレビ小説の題材である小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)が立ち寄った。八雲は日本の鬼子母神信仰の研究でも知られる。「幼い頃に離れた母の面影を探していたのではないか」

歴史の謎と痕跡が刻まれた同寺。本堂の鬼子母神像を見据えながら「大事に残していきたい」と誓った。

奥田孫太夫との関係を示す幕末の『略縁起』

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