連載 コレ 気になってます! 本当にインクルーシブ? 要望受け、改善視野に
2024年2月にオープンした鎌倉海浜公園由比ガ浜地区のインクルーシブ広場。テーブル型の砂場や車いすのまま入れる大型複合遊具など、障害の有無にかかわらず利用できる「インクルーシブ遊具」が設置されている。見守り用ベンチや休憩用のあずまやも備え、休日にはたくさんの親子連れが集う。誰もが使いやすいことを謳う公園だが、実際の使い勝手はどうなのか、課題はあるのか、調べてみた。
◇◇◇
インクルーシブ広場の「その後」が気になっていたのには理由がある。実は昨年2月のオープン時、近隣の保育園児や障害児らが遊ぶのを取材する中で、スロープの入り口に段差があって車いすが引っかかり、ゴムチップの舗装幅も足りず方向転換も難しいという声を聞いたからだ。
市みどり公園課に尋ねたところ、実際に当事者から前述のような声が上がっているといい、課題は認識しているものの、具体的にいつまでに改善するという計画は現状決まっていないという。
また、赤い家型の遊具は、屋根に上る、揺らすなど、想定外の遊び方があり、安全性の見直しのため利用を中止。利用再開を目指して、現在、メーカーと今後の対応を協議中だ。
「今後、調査や利用者の声を聞きながら、整備を進めていけたら」と市担当者。市としても遊具間をつなぐ園路の整備など、より使いやすくするための案は出ているという。
市民の寄付で追加整備
一方で、3月28日には追加整備が完了し、新たな遊具やあずまや、ベンチなどが増設された。
元々あった通常のブランコに加え、隣に設置されたのは、インクルーシブブランコ。体を包み込む形の座面でハーネスがついており、姿勢の保持が難しい子どもでも乗ることができる。さらに「ちびっこぞーん」として、乳幼児向けの遊具2つも追加された。
これらの整備には、ある市民からの寄付金が使われている。昨年2月、広場の開園と同じ頃、「インクルーシブ広場のさらなる充実のために」と個人から3000万円の寄付があったという。
19年に「共生社会の実現を目指す条例」を制定した鎌倉市。施設設置で終わらず、その後の市民の声も受け入れ、本当の意味での「インクルーシブ」を目指してほしい。
記者が鎌倉で気になったことを調べる連載「コレ気になってます!」。不定期で掲載しています。