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長野の「なんじゃこりゃ?」ご当地グルメ5選。おしぼり、おぶっこ、むしり? 県民も食べたことがない、謎のローカルフードとは

さんたつ

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南北に長く、地域ごとに山で隔てられている長野県。北と南、東と西ではまったく食文化が異なるため、県民ですらも食べたことがない「なんじゃこりゃ?」な謎のご当地グルメがあちこちに点在する。

1.【おしぼりうどん】辛いけどクセになる「あまもっくら」体験『さかき地場産直売所 あいさい』(坂城町)

おしぼりうどん800円。麺はしっかりコシのある手打ちうどん。釜揚げにすることで、搾り汁がよく絡む。
お尻のほうが太いずんぐりとしたフォルムで、尻尾のように長い根をもつ「ねずみ大根」。旬は11月で、採れたてはいっそう辛いので、辛い物好きの猛者(もさ)は挑まれたし(写真=坂城町商工農林課)。

坂城町(さかきまち)周辺で昔から食べられてきたおしぼりうどんには、地元の伝統野菜・辛味大根の「ねずみ大根」の搾り汁が使われる。出汁もかえしも合わせない生粋(きっすい)の大根ジュースに、あつあつの釜揚げうどんをつけて食べるのだ。辛味値が一般の大根の2倍といわれるだけあって、この搾り汁がとにかく辛く、すするたびに汗が止まらなくなる。

一方で、ほのかな甘みと旨味がふわりとして、地元の人は不思議な味わいを「あまもっくら」と表現する。辛い物が苦手な人は、搾り汁にクルミ味噌ダレを溶かしたタレで食べるのがおすすめ。「ねずみ大根」の辛さが中和されてまろやかになる。

坂城町の特産品や旬の農産物などを販売。
食堂隣の直売所ではねずみ大根をはじめ、ブドウやリンゴ、キノコなどの農産物、加工品を取りそろえる。
「独特の辛味と甘みがやみつきですよ」と食堂責任者の清水安子さん。

さかき地場産直売所 あいさい
☎0268-75-8267
11:00~13:30LO(土・日・祝は~14:00LO。直売所は8:30~16:00)、無休
長野県坂城町中之条56-7
しなの鉄道テクノさかき駅から徒歩10分

2,【ローメン】卓上の調味料で自分好みにキメる! 『うしお』(伊那市)

ローメン(大盛)950円。多くの人が麺1.5玉の大盛をオーダー。味変できるので、多めの麺でもペロリといける。
蒸し麺をそのまま炒めるとボソボソになるため、『うしお』では茹でてから炒める。
クセのあるマトンの風味を移さないよう、麺やキャベツとは別々に調理。

太めの茶色い蒸し麺にマトンやキャベツなどを合わせ、ニンニクやごま油で炒めたご当地麺。スープありとなしの2種類があり、伊那市を中心に90以上の店舗で提供されている。昭和30年(1955)頃の誕生当初は「炒肉麺(チャーローメン)」の名だったが、ラーメンブームにあやかり、ローメンと呼ぶようになった。

おもしろいのは、自分好みの「味変」が許されていること。酢やソース、ゴマ油、一味唐辛子、カレー粉やマヨネーズなど、卓上には調味料がずらり。少しずつかけて、さまざまな味を楽しむのがツウの食べ方だ。

昼は常連、週末は観光客でにぎわう。夜はローメンをつまみにして一杯楽しむ常連客が多数。
店主の潮田秋博さん。「自分好みの味を追求してください」。

うしお
☎0265-72-4595
11:30~13:00LO・17:00~21:00LO、日休(不定休あり)
長野県伊那市荒井3460-1
JR飯田線伊那市駅から徒歩4分

3.【おたぐり】独特の風味がたまらない馬のモツ煮込み『焼肉いたや』(伊那市)

臭みとなるアクを丁寧に取り除き、6時間じっくり煮込んで作る。おたぐり650円。

おたぐりとは馬のモツ煮込みのこと。伊那地方では、農耕や輸送の手段として馬を多く飼育していたことから、古くから馬の肉やモツが食べられてきた。その名は、下処理の際に何十mもある腸を手繰り寄せて洗うことに由来する。

味つけは塩や味噌など店舗や家庭ごとに異なるが、『焼肉いたや』はやさしい味噌味。地下水できれいに洗い上げた生馬腸を使うので、臭みもなく食べやすい。肉厚でコリコリとした食感もまた「おたぐり」の魅力。

精肉店が営む馬肉料理店。肉質に自信あり。
下処理はご主人、おたぐりの調理と味つけは奥様の担当。「七味をかけるとうまさが際立ちます!」。

焼肉いたや
☎0265-78-7188
17:00~21:30LO、日休
長野県伊那市西町4873
JR飯田線伊那市駅から徒歩1分

4.【むしり】熱すぎてむしれない豪快な鶏料理『鳥忠食堂』(佐久市)

ご飯にもお酒にもよく合う、ジューシーでやわらかなむしり800円。
国産の若鶏を塩・コショウで味つけ。1日以上寝かせて味をなじませる。

養鶏が盛んだった佐久市臼田地域に根づく鶏料理で、昭和24年(1949)創業の『鳥忠(とりちゅう)食堂』が発祥。むしりの名は、身の締まった親鳥は手でむしらないと食べられなかったことから。当初は卵を産めなくなった親鳥を使っていたが、昭和30年(1955)頃からは若鶏に代わり、ムネとモモが混在していた部位もモモに代わった。

本家はじっくり素揚げしているが、今は後発組の焼いたタイプが主流に。どちらも外がパリパリ、中がジューシーなのが特徴。

週末は、定食オーダーのほとんどがむしり。ご飯、味噌汁、サラダ、漬物が付く「むしり定食」は1150円。
むしりは約10分かけて素揚げする。

鳥忠食堂
☎0267-82-2330
11:00~13:45LO(早じまいあり)・17:30~19:45LO、火休
長野県佐久市臼田91-4
JR小海線臼田駅から徒歩15分

5.【おぶっこ】つるつる、もちもち独特の食感で魅了『やきもち家』(長野市)

おぶっこ850円。特製辛味噌が味をさらに引き立てる。

イメージは、野菜がたっぷり入った田舎風味噌煮込みうどん。旧中条村(現・長野市)や隣の小川村に伝わる郷土料理で、「ぶっこみ」や「ぶちこみ」と呼ぶ人も。大根やニンジン、ネギ、キノコなど、季節の食材をなんでも入れることから、そう呼ばれている。

麺はコシのある平打ち麺。きしめんよりも幅広く、ほうとうよりもつるつると喉ごしがいい。味つけはもちろん信州味噌仕立て。地元の名産・西山大豆で作った味噌で煮込むのが定番だ。

昔話に出てきそうな大きな茅葺(かやぶ)き屋根の宿。ランチは宿泊者以外も利用できる。
囲炉裏の灰で焼き上げる、昔ながらの「灰焼きおやき」も名物(写真3点=やきもち家)。

やきもち家
☎ 026-267-2641
11:00~14:00、無休
長野県長野市中条日下野5286-1
北陸新幹線長野駅から車40分

番外【牛乳パン】みんな大好き!おやつの定番『かねまるパン店』(木曽町)

レトロなパッケージが目印の牛乳パン260円。
ふかふかのパンで、軽い食感のクリームをサンド。

厚みのある菓子パンの生地でバタークリームをサンド。木曽福島の『かねまるパン店』初代店主が、あんぱんやジャムパン、クリームパンに次ぐ新たなパンとして考案。それを昭和32年(1957)にパン組合の講習会で公開したことで、県内全域に広まった。

乳白色のパッケージに描かれた青いイラストは、初代店主の奥様が自分の子どもをスケッチしたもの。レトロなビジュアルもまた牛乳パンの代名詞となっている。

イラストのかわいい男の子が今では2代目の店主に。「パンもクリームもふわふわです!」
パッケージのイラストを使ったグッズも売られている。

かねまるパン店
☎ 0264-22-2437
8:00~19:00(日は~16:00)、不定休
長野県木曽町福島5354
JR中央本線木曽福島駅から徒歩4分

取材・文=松井さおり 撮影=平松マキ
旅の手帖2023年8月号より

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