「やる気を下げてくる人」への対処法
皆さんの会社や関係者に、「無意識に他者のやる気を下げてくる人」はいませんか? やる気のない態度やネガティブな発言によって、仕事におけるチームのモチベーションが奪われ、結果として生産性が下がってしまった…ということもあるでしょう。 今回は3パターンの「困った人々」の行動と心理に焦点を当て、やる気を「下げない」「奪われない」ための対処法を考えます。
【パターン1】終盤で話をひっくり返す人への対処法
仕事などの打ち合わせの際、話がまとまりかけると反対の意見を発言してやる気をいつも下げる人がいます。例えば、自分の提案に大多数が賛成したタイミングで「そもそもなんでやるんだっけ」「別の視点で考えてみたらどうだろうか?」とまとまりを乱して先送りにする、別の意見を尊重する方向にもっていく人。
大抵の場合に一貫した信念をもっているというよりは、まとまりそうな状況を揺るがす発言に終始するタイプです。
終盤で話をひっくり返す人の心理
こういう人は、会議に出て人の話を聞くなかで、自分なりに気づいたことや、思ったことがあると、それを言わずにはいられません。聞き流せず発言した結果、微妙な責任感が周囲を迷わせ、やる気を下げることにつながりかねないのです。
終盤で話をひっくり返す人への対応
このような事態を防ぐには、どうしたらいいのでしょうか? その際は、貴重なマイナー意見にしてしまいましょう。
大事なことは、自分に関係ないのに反対してくる人に対して、それに真っ向から戦いを挑んで、「何でそういうことを言うんですか」と言うのではなく、「貴重な意見、ありがとうございます」「いただいた意見も参考にしつつ、このまま頑張らせていただきます」というように言ってしまうことです。
そして、マイナー意見のままで終わらせて、周りを同調させないようにすることも大事です。
【パターン2】仕事でやる気のない発言をする人への対処法
できるだけ楽することしか考えないで、ものを発言する人がいます。要するに「無理しないでおこう」みたいな感じとか、人のやる気をそぐようなことを言うタイプ。例えば、みんなで頑張ってこの仕事を汗かいてやろうという状態で「無理しないで適当にやりましょうよ」と言ってくる人です。
仕事でやる気のない発言をする人の心理
知人のKさんは周囲がまじめに頑張ろうと考えているタイミングに限って「頑張っても結果は変わりませんよ。準備はそこそこにしておきましょう」と周囲が肩を落とすような発言をしてしまいます。
それなりに仕事はできる人物なのですが、周囲のやる気を下げるので、煙たがられているのが実状です。
そのことを本人もわかっているはずなのに、同じような発言を繰り返してしまいます。もはや、強い信念と言えるようなこだわりを感じるほどです。
これに対し周囲は「おそらく、自分の努力している姿勢をみせるのが好きではないのだろう」と思っていました。いわゆる、カッコつけタイプ。ところが事実は異なっていました。
ある飲み会でKさんは、お酒を十分すぎるくらい飲んでしまったようなのです。そのときに楽することしか考えていないような背景がわかる嘆きをこぼしたのです。
「Kさんは楽そうに仕事をこなせる力があるからいいよね」と誰かが嫌みも含めてKさんを褒めたところ、Kさんは「努力が報われないとメンタルがどうしようもなく落ち込む。その落ち込みが怖いから努力できないんだよ」と話し出したのです。
過去に努力して成果につながらなかった経験があり、そのときに恐ろしいほど気持ちがめいってしまった。会社を休み、仕事に集中できない時期が続いたとのこと。その経験がトラウマになって、楽している自分を装っていると話してくれました。
ついには「本当は努力してみたいんだよ」と嘆きだしました。
その話はすぐに広まり、Kさんの発言で周囲がやる気を下げることはなくなりました。みんなが頑張ろうとしている意欲を下げようとする意思があるとやる気が下がります。しかし、そうではない、本当は頑張りたいのだとわかれば、発言も気にならないということなのでしょう。
仕事でやる気のない発言をする人への対応
このKさんと同じ要因で楽する発言をするとは限りませんが、周囲で同じような存在がいたならば「本当は頑張りたいのに、何か理由があるに違いない」と理解してみてください。自分がネガティブな世界に巻き込まれづらくなるはずです。
Kさんのような人の発言でやる気が下がることは自分にとってプラスではありません。そのような人とは関わりが薄いと思いこむことで影響は小さくなるはずです。
【パターン3】会議で発言しない人への対処法
ネガティブな発言どころか何も発言しないで周囲のやる気を下げるノーバリューな人もいます。
ただ、集団が形成されると何人かがそのような役割を担ってしまうようです。
会議で発言しない人の心理
どうして無口になるかと言えば、本人がそれを自分の役割だと認識してしまったからでしょう。
まじめに仕事に取り組む姿勢を示す人。具体的に改革方法を提案する人。あるいは意見をまとめる人。それぞれが役割を担うわけですが、そのなかで無口な人でいいというか、そんな人も重要と考えて無口に徹しているのです。
無口でも会話は聞いている、心でうなずいている。参加はしている意識があります。ただ、自分の発言はしない。そんな存在も必要だよね、と自分で思い込んでいるのです。
さらに言えば、いつか発言する機会があるかも、そのときには存在感を発揮してやるくらいのウォーミングアップはできているかもしれません。自分を指名してくれれば発言はするつもり。指名してくれないから発言できないのだよ、くらいの被害者意識をもって無口になっている人がいるかもしれません。
実際にも無口な知人がいました。会議でも打ち合わせでも大抵は無口。議事録を確認すると、いたことが忘れられてしまうくらいに発言はゼロ。
同僚が「一人だけ何も発言しない人がいましたよね?あんな人がいるとやる気が下がります。次回からは参加しなくていいんじゃないでしょうか?」と文句を吐露してくれたことがあります。
確かに一人だけ発言がないとその存在に周囲は気を遣います。それが続くと、さらにマイナスの空気感を周囲にもたらしてしまうのです。
それでも無口な存在を外せない場合があります。周囲はやる気がドンドン下がることになりかねません。
おそらく、果敢に発言する人からすれば、発言しないで会議に参加できる神経が理解できないかもしれません。
ただ、対極の立場になって考えるとどうか? 前述したように話していなくても参加はしている、それで存在感は示していると思っているので周囲へのネガティブな影響の度合いについては実感がわいていないのかもしれません。
会議で発言しない人への対応
そんな存在がいたらどうすべきか?
「〇〇さんって何も発言しませんね」と批判的な姿勢を取るのではなく「いろいろ深く考えていらっしゃる〇〇さんに聞いてみたい」と褒め言葉を添えて、発言を促してみてはどうでしょうか?
そこでなにがしかの発言があり、考えている姿勢がみえれば周囲のやる気を下げる存在ではなくなります。自分たちが仕事でいろいろと意見を交わしているのに、こいつは何もしていないと感じるとやる気を下げる存在になりがちです。しかし、それなりの発言が得られれば、レベルの違いがあれど、同じ仕事に取り組む仲間としての存在が認められるからです。
無口な人を孤立した存在にせずに、同じ土俵に巻き込むことでやる気を下げる存在から外してあげましょう。
執筆者:株式会社セレブレイン 高城 幸司