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デビュー15周年ピノキオピー、自身最大規模の全国ツアー前に語る初期衝動から現在

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ピノキオピー

2009年に動画共有サイトにてボーカロイドを⽤いた楽曲を発表し、ピノキオピーとして活動開始。精⼒的にオリジナル楽曲を発表しつつ、イラストやMVの制作、他アーティストへの楽曲提供など多⽅⾯で活動している。YouTubeチャンネル登録者は130万⼈以上、「すろぉもぉしょん」「神っぽいな」「匿名M」「ラヴィット」「ノンブレス‧オブリージュ」等の代表楽曲を含む総再⽣数は5億回以上を誇っている。そんなデビュー15周年の節目に、ピノキオピーが5大都市を回る全国ツアー「モンストロ」の開催を発表。自身最大規模のツアーを前に、初期衝動から現在までの道程と想いを存分に語ってもらった。

──7月28日からZepp Sapporoを皮切りに全国ツアー『モンストロ』を開催されます。5年振りのツアーということもあって、“待ってました!”という声も多かったと思うんですが。

発表するちょっと前ぐらいから“今年はライブやらないのかなぁ”という声をSNSで見ていたので、“やるよ!”ってずっと思っていて(笑)。ようやく伝えられてよかったですし、待ってくれていたということ自体がすごく嬉しいですね。待ってもらえているのは当たり前のことじゃないですから。

─そもそものお話になってしまうんですが、ピノキオピーと名乗り始める前にライブをしたことはあったんですか?

まったくなかったです。高校のときに軽音楽部に入っていたんですが、“文化祭に出よう”という話をしていたのに、ドラム担当がバスケ部と掛け持ちしていて、そっちに夢中になってしまって、話が進まず……。結局、文化祭は先輩のバンドを遠巻きに眺めながら、出たかったなぁ……って思いながら過ごしてましたね。

──軽音部の一大イベントに参加できず(苦笑)。

でも、軽音部もそこまで行ってなかったんですよ。自宅で、MTRで曲を作って友達に聴かせていたんですけど、しつこいんでちょっと嫌がられてましたね(笑)。最初は珍しがって聴いてくれていたんですけど、だんだん飽きるというか、“もういいよ!”みたいになってきて。

──それでも、とにかく曲を作りたいという衝動がおさまらかったんですね。

とにかく作るのが楽しくてしょうがなかったですね。そこはいまもずっと変わっていないです。

──そこから人前で演奏したいという方向には、あまり気持ちは進まなかった?

どうしたらいいのか分からなかったんですよ。当時はライブをするならバンドでやるしかないと思っていたので。でも、バンドを組める人がいないし、ひとりでやるという発想もなくて。あと、僕自身が漫画家を目指していたのもあって、そっちに一回頭が行ったので、音楽を仕事にしようともまったく思っていなくて。趣味でずっと作っている感じでしたね。

──となると、ライブをやったのは、ご自身の楽曲をインターネットに投稿し始めてから。

それも、最初の頃はライブをしようとはまったく思ってなかったです。2015年に、一度事務所に所属することになったんですけど、そのときのマネージャーに“何をしてみたい?”と聞かれたときに、“ライブしてみたいです”という話をして、そこからでした。でも、最初は自分が前に出るのが嫌すぎたので、僕は仮面をかぶって、後ろでずっとツマミをイジって、知人に全身タイツを着て踊ってもらったりしてたんです。知人に目が行くようにして、僕自身は目立ちたくないという形でやっていたんですけど、それはあまりにも不誠実だなと思っちゃったんですよね(苦笑)。

──不誠実ですか。

自分が曲を作っているのになんで前に出ないんだ?って自分で思っちゃったんです。それで、あるときにボカロとユニゾンで歌ってみようと思って。そしたらお客さんも盛り上がったというか、説得力があったので、そこからいまのライブの形に繋がっていった感じでしたね。

──ピノキオピーさんが活動を始めた当時と現在とでは、インターネットの空気もだいぶ違いますし、ニコニコ動画でも当時から顔を出して活動されている方もいましたが、作り手の方はあまり前に出る感じは少なかったので、それもあって“自分は目立ちたくない”という考え方になっていたんでしょうか。

そもそもボカロが歌っているんだから、作っている側が前に出るとちょっと嫌がられるような空気は、当時やっぱりあったんですよね。“ボカロを聴きたいわけであって、お前じゃない”っていう雰囲気はあったんですけど、そのなかでもバンドをやったり、そこで自分で歌って演奏したりするコミューンもあって。ただ、全体で言うと、向かい風だなっていう感じでしたね。あと、僕は家で曲を作って、投稿して、コメントとかをもらえることは嬉しいんですけど、「本当に聴かれているのかな?」と思っていたんですよ(苦笑)。CDの即売会とかに来てくれる人がいると、聴いてくれている人って本当にいるんだなと思うんですけど、僕の作ったものでみんなが盛り上がるというか、僕の曲をどう聴いてくれているのか分からなくて。だから、温度感を確かめたくなったところもあって。

──再生数とか、数字的な意味での“聴いている”ではなく、自分の音楽をどれぐらいの熱量を持って聴いてくれているのかを知りたくなったと。

最初に投稿したときは、何人かがコメントしてくれて、それがすごく嬉しかったし、そこから投稿を続けて、色んな反応を貰うようになって、自分の曲がたくさんの人に聴かれているんだっていう喜びもあったんです。その実感や嬉しさはあるんですけど、やっぱり顔も姿も見えないから、“ホントか?”っていう気持ちもずっとあったんですよね。疑っているわけじゃないんだけど(笑)、掴みどころがないというか。実際にどれぐらいの熱量で聴いているのか分からなかったから、それを体験したいし、自分もライブを通して熱を届けたいなと思うようになりました。

──そこからライブをして、自分が不誠実だと思ったということは、それこそライブという場を通してお客さんの熱をしっかり感じ取ることができたと。

そうですね。即売会で会うお客さんの熱量だけじゃなく、どんな表情で聴いているのかがダイレクトで見えるようになったことは、すごく刺激的な体験でした。最初は全然お客さんの顔を見れなかったですけど(苦笑)。自分がステージに立つことでいっぱいいっぱいだったので。人前に立つこと自体も苦手でしたし。

ピノキオピー

──現在はドラマーと、スクラッチ&サンプラーの2人を迎えた3人編成でライブをされていますが、そこに至るまでの試行錯誤はどんなものがあったんですか?

最初は知人に前に立ってもらうスタイル、その次はスクラッチ&サンプラーのサポートメンバーと横並びでやるスタイルで、たまに自分が前に出たりしていたんですけど、もっとライブ感が欲しくなってきたんですよね。リミックスみたいなことをしながらやってはいるんですけど、音源がただ流れている感は嫌だし、生音が欲しいなって。それで、僕はThe Prodigyが好きなので、あのニュアンスが出せたらいいなと思って、途中からドラムにサポートで入ってもらって、僕はがっつりと前に出る今の体制になりました。そこまでは本当に試行錯誤でしたね。それこそ仮面をずっとかぶっていたけど、シンプルに声がこもるから全然ダメじゃん!とか(笑)。その『HUMAN』というアルバムを出して、“人間です”という理由づけをして、仮面を外したんですけど。

──ライブの表現方法が楽曲にフィードバックされていった部分もあります? それこそボーカロイドと一緒に歌うというのは、まさに『HUMAN』のタイミングだったと思うんですけど。

あのアルバムはデカかったですね。ライブで一緒に歌うことを想定して作っていたし、ライブの経験があったからあのアルバムができていて。僕はボカロだけじゃなくて、AquesTalk──いわゆる“ゆっくり”の声──も使ったりしてるんですけど、あの声も、(初音)ミクも、自分の声も、効果音として入れている子供の声も、全部同じ“音”として並列にしてしまおうと思って、あのときは作ってました。全部同じなんだから、自分が歌った曲も入れちゃって、変なアルバムを作っちゃおうって。

──それはご自身がステージでお客さんとコミュニケーションをしていく中で、自分がもう少し前に出てもいいんじゃないかという気持ちの表れでもあって。

そうですね。音源にまったく人の声が入っていないのに、自分が歌っているのも意味がわからないと思ったので(笑)、ちゃんと音源にも人がいる状態にしたくなったというのはありましたし、それはやっぱりライブがあったからそうなったところはあります。いまはどちらかと言うとボカロを立たせるようにして、(自分の声は)だいぶ引っ込んでいるんですけど、ボカロだけでは出せないニュアンスが出てきたというか。人の声がかぶっていることでボカロの無機質さがより際立つし、声が足されることで肉厚になる、みたいな。それで僕の曲が完成する雰囲気に、自分の中でなっていきましたね。そうやってライブを通していまのスタイルができていったのはおもしろかったなと思います。

──そうやって少しずつスタイルを確立させていく中で、“ライブってこんなにおもしろいんだ!”と思ったのはいつ頃でした?

「ニコニコ町会議」で岡山に行ったときですね。言ってみれば、ホームのようなアウェイのような感じというか。いろんな出演者がいたので、お客さんが誰目当ての人なのか分からない状況だったんですけど、いつも通りに曲をやったら、自分が想定しているより2倍も3倍も盛り上がったんです。たぶん、僕のことを知らない人も盛り上がっていて、曲の力だけで盛り上がった感じがしたんですよね。そのときに、こういうのってすごくいいなと思って。そこからライブが楽しくなったと思います。あと、それとは真逆の経験もあって(苦笑)。

──真逆ですか。

初めてツアーをしたときに、最初が名古屋だったんですけど、ミキサーから音を出すのに、(会場に)ミキサーがないと言われて。それで急遽レンタルしたんですけど、その会場がカラオケ仕様になっていて、音量がある一定を超えると、音が自動的に小さくなるっていう(笑)、結構ボロボロの経験を初期の頃にしたんですよ。でも、お客さんがめちゃくちゃ温かくて。怒る人もいなかったですし、声を出してすごく盛り上がってくれたんですけど、ただ、ライブとしては大失敗というか、スベリまくったんですよ。その2つの経験がすごく大きくて。

──というと?

たとえば、アウェーな場所に出たとしても、スベるときはスベるし、ウケるときはウケるから、自分は自分のやれることを粛々とやるしかないと思うようになったんですよね。そこからあまり緊張しなくなって、余裕を持ってできるようになりました。一番底と盛り上がりを知ったことで、ライブのことをどんどん好きになっていきましたね。

──実際に、ライブをしているときのピノキオピーさんの表情がめちゃくちゃ素敵だなと思って。

いや、お客さんが素敵な表情していて、引っ張られているんですよ。めっちゃニコニコ笑っているので、僕も自然とそうなっているというか。つられ笑いしてますね。

──ピノキオピーさんについて、“楽曲だけ知っています”という方も、ライブを観たらこんなに楽しいんだ!ってなると思うんですよ。なので、まずアーカイヴされているライブ映像を観ていただいて、会場でさらに楽しんでもらえるといいなと思いました。

やっぱり映像って大事ですよね。特にボカロPでライブをやっているとなると、“よくわからない”って思う人も多いと思うので。バンドだけどバンドではないし、なんか説明しづらいので(苦笑)、映像を見てもらうのが一番分かりやすいと思います。

ピノキオピー

──ここまではライブについてお聞きしてきましたが、近作のこともお聞きしたいです。昨年発表したアルバム『META』以降、「アポカリプスなう」「ポケットのモンスター」「Aじゃないか」「嘘ミーム」の4曲を発表されましたが、楽曲制作をしていく中で現在の指針になっているものや、ご自身のモードみたいなものはあったりします?

いまは歌詞も音もシンプルにしていきたいと思っていて。前もそうだったんですけど、いまはよりそう思っていますね。僕は打ち込みですけど、ちょっとパンクみたいなシンプルさがいいなって。

──なぜまたその思いが強くなったんですか?

『META』を作ってから迷いまくったんですよ。めちゃくちゃスランプというか、何を作っていいのかわからなくなってしまって。「アポカリプスなう」も迷いながら作りましたし、「Aじゃないか」でようやく見えてきたかも、ぐらいになってきましたね。

──特に迷っていた部分というのは?

たとえば(『META』に収録されている)「転生林檎」だったら転生モノの曲を作ろうとか、仕組みやフレームを先に作ってから曲を作っていたんですけど、それをやりすぎていたというか。設計図を作る前に、ワクワクするようなキラーフレーズがひとつあって、そこを大事にして作らなきゃいけないんだけど、そのワクワクがないままでフレームだけを作って曲を作っていたら、つまらない曲がバンバンできたんですよ。『META』に収録していた曲の劣化版みたいなものばかりになってしまって。それで、“良い”ってなんだろうっていうのをずっと考えていたんですけど、最近改めてクロマニヨンズを全曲聴いて、やっぱりこれだな!って思ったんですよね。歌詞も音もシンプルだけど、心が動く。その要素に注目したほうがいいなと思ったんです。

──なるほど。

ただ、基本はシンプルでも、音に対しては複雑なチャレンジをしていきたいと思ってます。そこに肉付けしていかないといけないなって、いまは思ってますね。歌詞も明確にしたいんですよ。ワーッ!と長く言って伝えるというよりは、キャッチコピーじゃないですけど、浮かんだキラーフレーズから広げるほうがいいなって最近は思ってます。

──実際、言葉の強度が高い曲が多いですよね。個人的に「嘘ミーム」の〈肥沃な焦土にて 嘘が実った〉がすごく印象的で。

嬉しいです、そこを言っていただけると(笑)。歌詞を書いていると、言葉が降ってくるときがたまにあるんですけど、ここはまさにそういった部分でしたね。SNSの世界ってそもそも嘘が多いけど、嘘をついたほうが勝ちみたいな世界って、ちょっと嫌だなと思って。(〈肥沃な焦土〉というのは)嘘のせいで全部台無しになっちゃった場所、みたいな。あと、「焦土」という何も実らない場所に何かが実るというギャップがいいなと思って。

──あと、「アポカリプスなう」のBメロにある〈クレイジーで素敵じゃない?〉や、〈もはや なんかレアじゃない?〉というライン。ピノキオピーさんは、それこそメタ的視点といいますか、物事を冷静に見つめながらも、メッセージとしてはかなりエモーショナルな楽曲を作られていましたけど、その濃度がより高いというか。皮肉のように聴こえるけども、すごくポジティヴな言葉を分かりやすく投げかけている感じもありました。

『META』に収録されていた曲って、その役になりきった歌詞が多かったから、たぶん誤解が結構生まれたと思うんですよ(苦笑)。そこは自覚していて。たとえば「神っぽいな」も、皮肉っぽいことを言っているけど、途中の歌詞で「そこまで書かれていたものは違う人の目線なんだ」っていうことが分かるように書いたつもりだったんですけど、そこがうまく伝わらなくて。だから「アポカリプスなう」は、“自分はこういう人間です”というのを改めて示したかったところはありましたね。

ピノキオピー

──ピノキオピーさんって、昔から物事を冷静に見ることが多かったんですか?

そうですね。これは読んできた漫画の影響が大きいです。藤子・F・不二雄先生の短編集があるんですけど、人間を俯瞰で見たような話が本当に多くて。それが小学校のときから好きでしょうがなかったから、そういう目線で見るのが自分にとってはナチュラルというか。いまあるこの価値観って本当にそうなのかなって思わされる作品が好きなんですよね。いままで自分が考えていたことが揺さぶられるようなものが好きだったし、そういったものに励まされてきたので、自分もそういう歌詞を書きたいなと思ってますね。

──俯瞰的に物事を見ていると、冷笑的な感覚になっていくこともあると思うんですけど、そっちに転がっていかなかったのはなぜだったと思います?

これは大槻ケンヂさんの影響が大きくて。筋肉少女帯の『レティクル座妄想』っていうアルバムがあるんですけど、そのアルバムの最後が「飼い犬が手を噛むので」という曲で、自分のことを特別だと思っている人に対して、本当にお前は特別なのか?って問いかける歌詞があるんです。天才と言われている作家や科学者の名前がバーッと出てきて、お前は違うからな!っていう。あのアルバムを聴いたときに、冷笑することで自分に酔いしれてはいけないな、という感覚が生まれたんです。

──なるほど。

僕は元々ネガティヴだったんですけど、ネガティヴであることに酔いしれることに出口がなさすぎると思ったんですよね。だから、“冷笑しているけど、お前牛丼食ってんじゃん”みたいな感じというか。冷笑しているそのポーズだけ見たらカッコいいかもしれないけど、生活の中でそれ全部できてるのか?って言ったら、そうじゃないじゃんって思うことが増えて。だから、“冷笑100%は嘘じゃん”って思うようになったところはありますね。それは自分を守るためのバリアでしかないんじゃないか、っていう。

──そういったルーツや視点やバランス感覚から、こういった歌詞が生まれてくると。

基本的に僕が書いていることって綺麗事だと思っているんですよ。でも、僕は綺麗事だけを言われても響かないので、綺麗事を言うためにも現実を言わなきゃいけないと思っていて。そういった現実を並べて、そこにひとつだけ綺麗事があるほうが、本当だなって思うことが多いですね。

──それは活動初期の頃から?

ずっと変わってないですね。なんか、絶望だけを与える作品って、好きなものもあるんですけど、“絶望を与えてるぜ、俺”っていう作り手の顔が見えるのは嫌なんですよ。そういったものはやりやすいというか。現実、現実、現実だけじゃなくて、そこにプラスして救うほうがムズいと思うんですよね。

──絶望的な現実を提示するだけじゃなく、そこから救い出すなり、寄り添うなりというものがあるのが、創作の素敵な部分でもありますし。

そこで“嘘をつく”というのはいいと思うんですよね。ひたすら絶望が続くんだけど、ひとつだけここはすごく救いだなっていう瞬間があったりするものも好きですし。逆に、絶望が続く中で、救いがあることで残酷さがより際立つこともあるし。そういうニュアンスのものが好きなので、バランス良く作りたいという気持ちがありますね。

ピノキオピー

──そのモードを踏まえた新曲も楽しみにしてます。改めて、全国ツアー『モンストロ』についてですけども、ここ最近の楽曲もセットリストには組み込まれるんでしょうか。

その前提でいますね。前回の「MIMIC」は『META』のリリースライブみたいな感じだったんですけど、今回はCDとか関係なく、15年やってきた中で、古い曲もいまの曲も全部やるような、ベストなライブにしようかなと思っています。

──まさに15周年というタイミングらしい、新旧レア曲連発みたいな。

まさにそんな感じになるかなと思います。昔はバンドアレンジの曲が多かったんですけど、ライブ用に結構こねくり回しすぎていた曲もあって。それを、CDとか動画サイトにあげていた形でやってみようかなと思っていたりとか、いろいろ考えていますね。

──そのツアーを経て、ここから先、改めてこういうことができたらいいなと思い描いているもの、考えていることはありますか?

先のことを考えてやれた試しが本当にないんですよね(苦笑)。ずっと行き当たりばったりで。だけど、とにかくずっと思っているのは、自分は曲を作って動画を上げるということをしてきたので、とにかくいい曲を作る。自分の中でおもしろいと思えるものを、自分と向き合って作っていくことを続けるという感じですね。そこはずっと変わらないかなと思います。その結果、広がった気がしているので。

──なるほど。

“デカいハコでライブをしたいから曲を作ろう”ではなくて、僕はやっぱり曲を作りたくて音楽をやっていて。その曲が受け入れてもらえたから、大きいところでやれるようになったし、それが僕の中では一番自然な流れなのかなと思って。“大きいハコでやるぞ!”って無理やりそこに向かってやっていくというのは、自分の中でちょっと違和感があるんですよ。別に大きいところでやるところが夢ではないというか。やれるようになったらめちゃくちゃ嬉しいですけど、それよりもおもしろいと思われたいというのが一番ですね。

──基準は“おもしろい”なんですね。

そこですね。曲を聴いて、“おもしろい!”って思われるのが一番好きかもしれないです。

──なぜまたそこを重要視しているんだと思います?

小学生の頃から、漫画を描いて友達に見せたり、高校生になっても曲を作って友達に聴かせたりしていたんですけど、とにかく驚いてもらうとか、笑ってもらうのが嬉しくて。だから、とにかく自分がおもしろいと思うものを人におもしろいと感じてもらえることが今も一番のモチベーションになっているだろうなって思いますね。

取材・文=山口哲生 撮影=大塚秀美

ピノキオピー

ピノキオピー - 嘘ミーム feat. 初音ミク / Fake meme

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