「もう何千人と見てきましたが──」“釣れない人”には5つの共通点があります。
アイキャッチ画像撮影:TSURI HACK編集部
釣れる人と釣れない人の違い
釣れる人と釣れない人。
その違いは、船に乗っていると驚くほど残酷に、そしてはっきりと現れます。
では、その差はいったいどこにあるのでしょうか?
じつは、決定的な違いがあるわけではありません。
「え、そんなこと?」と思うような、些細な差の積み重ねだったりするのです。
ー 須江 ー
今回は、釣れる人と釣れない人のあいだにある“やっていること”の違いを、船長目線で解説していきます。
1.タックルセッティングが合っていない
釣りをするうえで、最も重要なのはタックルセッティングです。
テクニックの上手い・下手よりもはるかに大切で、釣れない人の多くは、狙う魚に対して適したタックルを持ってきていないことが多いのです。
そしてこのタックルセッティングにおいて重要なのは、値段の高い・安いではなく、“その魚に適しているかどうか”。これに尽きます。
一番大切なのはラインの太さ
タックルセッティングの中でも、じつは最も重要なのがラインの太さです。
釣れない原因として多いのが、ラインが太すぎる、あるいは細すぎるといったミスマッチ。
実際、このライン選びの失敗が、釣果を大きく左右しているケースは少なくありません。
釣行前には、狙う魚に適したラインの太さを必ず調べて、しっかり巻いておきましょう。
専用・高価な物でなくて良い
専用タックルが望ましいものの、要点を押さえていれば代用できるケースもあります。
とはいえ、「何が重要なのか」を見極めるのは容易ではありません。自己判断せず、手持ちの道具が使えるかどうかは、必ず船長に相談しましょう。
なお、高価なタックル=正解とは限りません。対象に合っていなければ、高価でも本来の性能を発揮できません。
最近は万能竿も人気ですが、言い換えれば“器用貧乏”な側面もあります。
1本の高級品よりも、目的ごとに選んだ手頃な5本のほうが、釣りの選択肢は広がるでしょう。
もし適したタックルを持っていない場合は、迷わずレンタルするのが得策です。
多くの船宿では、対象魚に適したロッド・リール・ラインをセットで貸し出しています。
ー 須江 ー
有り合わせで済ませるより、専用タックルを借りたほうが、確実に釣果につながります。
2.釣れるルアーを持っていない
釣れない人の多くは、「釣れるルアー」を持っていません。
無数にあるルアーの中で、その日・その場所で本当に釣れるものは、ほんのわずか。
どれだけ技術があっても、釣れるルアーを使っていなければ魚は釣れません。
それほどまでに、ルアー選びは重要なのです。
“今”釣れるルアーは、現場の人間に聞く
「YouTubeで見たから」。これはルアーを買う理由として、よく耳にする動機です。
もちろん媒体によって情報の質はさまざまですが、“今本当に釣れているルアー”を知っているのは、現場に立っている船長たちです。
釣りとは、昨日の情報すら当てにならない世界。1週間前ともなれば、もはや昔話と言っていいでしょう。
だからこそ、毎日現場に出ている船長の言葉こそが、最も鮮度の高い情報なのです。
ー 須江 ー
釣れるルアーを本気で知りたいなら、迷わず現場の人に聞く。それが一番確実な方法です。
3.ルアーチェンジの回数が多い
釣れない人ほど、ルアーチェンジの回数が多くなりがちです。
重要なのは、ルアーそのものよりも“釣れるアクション”を見つけること。
同じルアーでもアクション次第で釣果は大きく変わります。
ー 須江 ー
まずは一つのルアーで釣れる動きを探り、それでも反応がなければチェンジ。これが釣れる人の基本動作です。
4.トラブルが多い
釣れない人は、単純に“釣りをしている時間”が短いことが多いです。
その原因のほとんどはトラブル。中でも約9割を占めるのが、ライントラブルです。
このトラブルさえ防げれば、ノンストレスで釣りに集中でき、釣れる可能性も自然と高まります。
ライントラブルをなくすために
キャスティングの釣りでは、ナイロンリーダーが必須です。
フロロをナイロンに変えるだけで、ライントラブルは大きく減るはず。
また、ベイトタックルはバックラッシュのリスクがつきもの。
ビッグベイトなどを除けば、スピニングタックルのほうが圧倒的にトラブルは少なく、扱いやすい選択です。
トラブルからの復帰を早くする
トラブルを未然に防ぐことは大切ですが、釣りにトラブルはつきものです。
ラインが切れたときの結び直しを練習しておく、替えのリールを準備しておく――。
ー 須江 ー
すぐに復帰できる備えがあれば、無駄な時間を減らし、釣りの時間を最大限に活かせます。
5.こだわりを捨てきれない
釣れない人ほど、こだわりが強い傾向があります。
こだわりやスタイルは釣りの楽しさにつながる一方で、釣果を優先するうえでは時に足かせになることも。
そもそも、こだわりとは魚に人間の都合を押しつける行為でもあります。
安定して釣果を出したいなら、人間が魚に合わせる柔軟な釣りのほうが、はるかに結果につながります。
船長の言うことは聞くべし
釣果を出したいなら、船長のアドバイスは絶対です。
じつは、釣れて一番うれしいのは船長。だからこそ、的外れなアドバイスをすることはまずありません。
ー 須江 ー
釣果を優先するなら、素直に耳を傾けることが一番の近道です。
釣果を出すための道筋
釣りには運もありますが、しっかりとした準備と的確な判断があれば、釣果は大きく変わります。
ここでは、釣るために意識したい基本的な流れを整理しておきましょう。
1. 事前準備をしっかりする
まず大切なのは事前の準備です。
釣れているルアーをあらかじめ船長に確認し、それに適したタックルを組んでおきましょう。
タックルセッティングまで船長に相談しても問題ありません。ラインの太さ、リールのギア比など、細かい部分も遠慮なく聞いておくことが大切です。
2. 当日の状況に合わせて釣りを展開する
当日も、まずは船長の指示を仰ぐことが基本。
何を使えば良いか、どのように動かせば反応が出やすいか、タイミングはいつか――そういったポイントを把握したうえで釣りを展開しましょう。
もちろん、自分の好きなルアーを投げるのもアリですが、可能性の有無を見極めるためにも、アドバイスは積極的に聞くべきです。
3. 釣れない状況でも焦らない
それでも釣れないときはあります。
「今は釣れないだけ」というタイミングの問題もあるので、焦らずに備えることが大切です。
むやみにルアーを変えすぎると迷走しやすく、釣れるタイミングでチャンスを逃してしまうことも。
そんなときこそ、同じルアーを投げ続けて“釣れる時間”を待つ忍耐力が求められます。
4. 釣れたらパターンを再現する
そして一匹釣れたら、そのときのパターンを忠実に再現することが重要です。
どんなルアーを、どんな動きで、どんなタイミングで釣れたのか――それを覚えておかなければ、せっかくのチャンスを続けることはできません。
釣れた直後に別のルアーに変えてしまうと、次が続かず“たった一匹”で終わってしまう可能性もあります。
ー 須江 ー
特別なテクニックよりも、地道な準備と冷静な対応が、釣れる人と釣れない人を分ける大きなポイントになります。
まずは「釣りを成立させること」
釣るためには、まず釣りそのものを成立させることが大前提です。
ライントラブルの対処に追われていたり、適さないタックルで投げ続けていたり――これではそもそも釣りになっていません。
釣れない人ほど、じつは“釣りが成立していない時間”が非常に多いのです。
上手である必要はありません。基本を押さえて、釣れる状態を保ち続けること。それだけで、釣果は自然とついてきます。