豪華絢爛な山車と大輪の花火による競演が圧巻!「秩父夜祭」が秩父市街で12月2・3日に開催
京都の祇園祭、飛騨の高山祭とともに日本三大曳山(ひきやま)祭に数えられる「秩父夜祭」が、12月2日(火)・3日(水)に埼玉県秩父市の秩父市街で開催。豪華絢爛な6基の山車が勇壮な秩父屋台囃子のリズムに乗って一日中曳き回される。フィナーレには壮大な花火も!
主役は「動く陽明門」と称される山車
年間を通して祭りが盛んな秩父エリアの冬を代表する祭りといえば「秩父夜祭」。毎年12月2日が宵宮(よいみや)、3日が大祭として、2日間の日程で行われる。起源は江戸時代中期までさかのぼり、350年以上の歴史を誇る。元々このエリアでは養蚕業が盛んで、12月3日に年に一度の絹織物の市「絹大市(きぬのたかまち)」が秩父神社で開かれていた。その市に合わせて祭りが盛大に行われるようになったといわれている。
祭りの主役は2基の笠鉾(かさぼこ)と4基の屋台からなる山車。「笠鉾」は本来3層の笠から放射状に垂らした造り花が特徴だが、電線の架設により本来の姿で曳行(えいこう)できなくなり、現在は屋形で曳かれている。「屋台」は前部分が舞台になっていて、歌舞伎や日本舞踊などが上演される。金の飾りや極彩色の彫刻が施された豪華絢爛な山車は、日光東照宮になぞらえて「動く陽明門」と称されるほどだ。
「メインは3日の大祭ですが、精細な彫刻や金糸をあしらった刺繍幕といった山車の装飾を間近で見たいなら、混雑していない2日がおすすめですよ」と教えてくれたのは秩父市観光課の水野さん。2日(火)は4基の屋台が曳き回される予定で、比較的ゆっくりと観覧できるのがうれしい。
3日(水)には6基の山車が勢ぞろい。18時ごろになると提灯が灯された山車が秩父神社から出発する御神幸行列の後に続いて巡行する。最大の見せ場は傾斜25度もある団子坂といわれる急坂。秩父鉄道の御花畑駅付近から市役所前に設けられる御旅所(おたびしょ)までの間にあり、団子坂に差し掛かると花火をバックに重さ10トン以上もある大きな山車が1基ずつ引き上げられる。「合図を出して一気に駆け上がっていく様子は熱気が感じられ、迫力たっぷりですよ」と水野さん。
山車の曳き回し以外の見どころも!
秩父夜祭では、冬の花火を目当てにやってくる見物客も多い。「秩父の冬の夜は空気が澄んでいて見通しがいい。より鮮明でダイナミックな花火に、見に来られた方は感動されています」(水野さん)。羊山公園から次々と打ち上げられる花火は市内のどこからでも大抵見られるが、秩父市民会館前には無料の観覧エリアを設けるとのことなので、冬の花火を堪能したい人はぜひ。
さらに4基の屋台による当番制で行われる「屋台芝居」もぜひ押さえたい。屋台の左右に張り出し舞台をつけて間口を広げ、屋台歌舞伎が上演される。2025年は中町によって行われ、2日(火)は18~21時、3日(水)は10時40分~14時に旧ベスト電器駐車場で上演される。また、4基の屋台が曳き回しの最中に決められた場所で屋台を止めて、舞台上で三味線の長唄に合わせて踊る「曳き踊り」も楽しめる。
そのほか、絹の市が開かれていたことに由来する「秩父絹市」も両日開催。秩父神社近くの買継商通りと黒門通りでは、秩父銘仙や織物、銘仙を使った小物、木工品、おみやげ品などの店が立ち並ぶ。秩父神社周辺や御旅所周辺には数多くの露店が出て(3日のみ)、お祭りムード一色に。防寒対策をしっかりして、秩父の一年間の祭りの集大成を目に焼きつけよう!
開催概要
「秩父夜祭」
開催期間:2025年12月2日(火)・3日(水)
開催時間:2日(火)は11:00~20:00、3日(水)は10:00~22:00に市内各所で交通規制を実施
会場:秩父市街(埼玉県秩父市)
アクセス:西武鉄道秩父線西武秩父駅から徒歩15分、秩父鉄道秩父駅から徒歩5分
【問い合わせ先】
秩父市観光課☎0494-25-5209
URL:https://navi.city.chichibu.lg.jp/p_festival/1030/
取材・文=香取麻衣子 ※写真は主催者提供
香取麻衣子
ライター
1980年生まれ。『散歩の達人』編集部でのアルバイト経験を経て、2010年からライターとしての活動を開始。あだ名はかとりーぬ。『散歩の達人』では祭り&イベントのページを長らく担当。青春18きっぷ旅や山歩きなどのんびりと気ままにお出かけするのが好き。あとビールや美術館めぐりも大好物。