【毎日が縁日】昭和レトロな盛岡の神子田朝市で「噂のひっつみ」を食べてきた!
「日本三大朝市」には諸説あるようだが、勝浦、飛騨高山、呼子、函館、そして被災した輪島など、名を知られた朝市というのが全国にある。個人的イチオシは、真っ暗な岩壁にずらりと屋台が並び、翌朝には幻のように消えてしまう青森の館鼻岸壁朝市!
ところで、岩手県盛岡市にも大盛況かつ個性的な朝市があるのをご存じだろうか。恥ずかしながら筆者は知らなかった。海も遠いし、農業が盛んとはいえ盛岡市はビルが建ち並ぶ都市だしで、市場のイメージはなかった。そんな盛岡の朝市で、名物「噂のひっつみ」を食べてきた。
・年間300日開催「神子田朝市」
やって来たのは盛岡神子田(みこだ)朝市。朝市の名のとおり、早朝5時(冬季は5時半)には開場し、3時間ほどで終業するという早起きスポットだ。毎週月曜日などの定休日はあるものの、冬季も含めてほぼ毎日開催。年間300日もオープンしているから、「市日(いちび)」をほとんど気にしなくていい。
広大な無料駐車場があるが、筆者が訪れた休日の朝にはほぼ満車! ただし回転も速いので、すぐに停めることができた。
上から眺めると、トタン屋根の長屋のような小屋が並び、昭和時代にタイムスリップしたような趣(おもむき)がある。この雰囲気だけでグッときてしまう。これまた昭和レトロな煙突が伸びている店舗もあって、店内調理をしていることがわかる。
通りの両側にずらりと店舗が並ぶ! 見たところ青果が多いけれど、靴屋や雑貨屋や美容室まで! 例えは適切じゃないかもしれないが、戦後の市民生活を支えた私設市場や、アジアの夜市のエネルギッシュな喧噪を連想させる。いろいろなものがごっちゃになって、庶民の暮らしのエネルギーがあふれているというか。
物品の販売店に交じって、飲食できる店が点在している。ラーメン、スイーツ、たい焼き、イワナの炭焼き、じゃじゃ麺、ホルモン、惣菜……子どもたちが水鉄砲を打てる駄菓子屋まであって、さながら縁日のよう! これがほぼ毎日開催なのだからすごい!!
・ひっつみ専門店「木偶の坊」
中でも、ひときわ長い行列ができている店があった。「噂のひっつみ」というのぼりが目を引く「木偶の坊」だ。筆者も列の最後につく。注文を受けてからひとつひとつ作っているそうで、待つこと30分。
メニューはひとつだけ、名物「ひっつみ」(税込600円)だ! 場内には何か所も休憩スペースが設けられ、買ったものをその場で食べられる。食器は後で各店舗に返しに行く。
ひっつみとは岩手県の郷土料理。米どころではあるが、歴史的に冷害などにも苦しんだ岩手県では、小麦粉やそば粉の料理も同時に発達したそう。(そういえば、わんこそばも岩手県!)
小麦粉を水で薄くのばした生地を、ひっつまんで茹でる料理がひっつみ。「七味にんにく」を振りかけるのが「木偶の坊」スタイルのよう。
ひとくちスープを飲んでみると、出汁のきいた素朴な味わい。甘みが強めなのが東北らしい。まさに日本の汁物ってこんな味だよな、っていう手づくりの懐かしい味が五臓六腑に染み渡る。
そして麺は、想像以上にもっちり! ワンタンのようなサラッとした食感を想像していたら、まったく違う。つるりとした喉ごしながらも、力強いこしがある。大きな麺が5切れも入っていて、起きたばっかりの朝だから、この1杯でお腹いっぱいになるほどの食べ応え。
具材は、ささがきゴボウや油揚げ。今は夏だから汗だくだけれど、盛岡の冬の寒さの中で食べたら涙が出そう。美味しかった!
惜しむらくは、これだけでお腹いっぱいになってしまい、いろいろ食べ歩けなかったこと。定食屋さんもあったし、デザートやフライやイワナも食べたかった~。
・安すぎて楽しすぎる
場内には公式マスコットキャラクター「あさどりくん」が登場! 大人気で、次々に子どもたちに囲まれていた。写っていないけれど、背中には野菜の入った腰カゴをぶら下げており、めちゃくちゃカワイイ。テンションがぶち上がった筆者は、恥ずかしげもなく一緒に写真を撮ってもらった。
ほかにもプチトマト(120円)やブルーベリー(300円)をお買い上げ。ジャガイモも買おうかと思ったのだが、1kgなどの大ロット(それがものすごく安い)で、料理不慣れな筆者には食べ切れなそうで断念。
マップを見ると、屋号(お店の名前)がある店もあるけれど、「○○田□□子」みたいな個人名になっているところも多く、本当に畑から朝採れ野菜をそのまま持ってきた感がある。1000円持って歩けば、欲しいものが全部買える。朝市、楽しすぎる!
参考リンク:盛岡神子田朝市
執筆:冨樫さや
Photo:RocketNews24.