ウマさの秘密は刻み昆布!香ばしソースに引き寄せられる富山の粉もん【どんどん焼き本舗小幡】縁日じゃなくても食べられる滑川の老舗店
富山のソウルフードとも言われ、祭りや縁日の屋台では欠かせない味として親しまれている「どんどん焼き」。
薄く焼いた生地にソースをぬったシンプルな“粉もん”のオヤツですが、あの香ばしいソースの香りが漂ってくると、ついつい足がお店のほうへ…なんて経験もあるのではないでしょうか。
富山県滑川市には、どんどん焼きを普段から提供している店があります。
1954(昭和29)年に創業した「どんどん焼き本舗小幡」です。2024年でちょうど70年を迎えますが、昔から変わらないその味は多くの人たちに愛されています。
昔から変わらない シンプルで素朴なおいしさ
「どんどん焼き本舗小幡」があるのは、滑川のまちを貫く旧国道8号(県道135号)沿い。スーパーや書店、ドラッグストアやファミレスなどの商業施設が集まる上小泉西交差点の角にある駐車場。商業施設の広い駐車場にちょこんと小さな店が建っています。
どこか懐かしい店の装いの通り、提供しているどんどん焼きも昔ながらのシンプルで素朴な味です。
「小幡」のどんどん焼きは、鉄板に薄く生地を広げて、鰹節と刻み昆布をふりかけるのが特徴。昆布が好きな県民性をよく表す、だしが効いたやさしい味です。
両面をほどよく焼いたら、特製のソースをぬって、半月状に折りたためば完成です。
水は富山湾の海洋深層水を使用していて、材料自体はとってもシンプルですが、しっかりとした旨みとソースの絶妙な甘辛さがおいしいと人気です。
ルーツはもんじゃ焼きと太鼓!?
味がもんじゃ焼きにちょっと似ている、「小幡」のどんどん焼き。
それもそのはず。どんどん焼きは、もんじゃ焼きから誕生した食べ物なんだそう。
教えてくれたのは、3代目店主の小幡和久さん。
どんどん焼きが生まれたのは、幕末のころ。当時、江戸で食べられていたもんじゃ焼きは、トロトロすぎて売り歩くには不向きだったため、小麦粉を加えてかために焼き、ドン!ドン!と太鼓を叩きながら売って歩いたのが始まりなんだとか。
というわけで「小幡」のどんどん焼きもいたってシンプル。つまんでそのまま、ちょっと小腹を満たすにちょうどいい味とサイズです。
列に並ぶ間も退屈させない! 初代店主のユーモア
県内の祭りや縁日で親しまれる「小幡のどんどん焼き」を始めたのは、初代店主で和久さんの祖父の小幡久一さん。富山市の山王まつりなど、主に県東部の祭りを中心に出店していて、いつも行列が絶えない人気の屋台でした。
人気ぶりを示すのが、とある年の山王まつりのエピソード。
あまりにも人が多くて帰りの車を出すことができず、その場にテントを張って寝たこともあったんだとか。
そして、屋台の行列に並ぶ客が待っている間も退屈しないようにと、久一さんは店にこんな貼り紙をしていたそう。
達筆で書かれた文字を、よく読んでみると…
昭和のコントを思わせるような、ユーモアたっぷりの笑いが詰め込まれています。
こんな貼り紙はいくつも種類があったようで、一つひとつ読んではクスッと笑っているうちに順番が回ってきたんだそう。
「未来の子供にも変わらないどんどん焼きを」
ーー時代が変わっても続ける理由
「未来の子供たちにも好んで食べてもらえるように、頑張って焼きたいと思います」(和久さん)
時代とともに人も食文化も目まぐるしく変化していきますが、いつまでも変わらない味にはホッとするもの。どんどん焼きを目の前にすると、今も昔も子供たちがおいしそうに目を細めます。おいしそうに頬張る姿に、小幡さんの腕にも力が入ります。
「どんどん焼き本舗小幡」は、土・日曜に滑川市の店舗で営業。平日は県内のスーパーなどで移動販売を行っています。
出典:KNBテレビ「いっちゃんKNB」
2024年10月1日放送
記事編集:nan-nan編集部
【どんどん焼き本舗 小幡】
住所 富山県滑川市沖田新2-5
営業時間 10:00~18:00
定休日 月~木曜(火・水・木曜は移動販売)