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杉江大志&藤原祐規 原作のパワフルさを届けたい!ステージ『エロイカより愛をこめて』Revival+(リバイバルプラス)インタビュー!

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ステージ『エロイカより愛をこめて』Revival+

コミックの販売累計1000万部を記録する青池保子の大人気漫画『エロイカより愛をこめて』が、約1年ぶりにRevival+として装いを新たに再演される。舞台ならではの華やかな歌にダンスや演出が大好評!2024年7月26日(金)~7月29日(月)まで上演されるステージ『エロイカより愛をこめて』Revival+に向けて、初演に続き怪盗エロイカの補佐役ジェームズ役を演じる杉江大志と、ボーナム役の藤原祐規にインタビューした。

怪盗エロイカことドリアン・レッド・グローリア伯爵役の中山優貴と村田充演じるクラウス・ハインツ・フォン・デム・エーベルバッハ少佐との爽快で美しい“怪盗&スパイ”活劇に今回も期待が高まる。

三世代に観ていただけるのも、この作品の強み!

ジェームズ:杉江大志

――約1年ぶりの再演ということですが、決定した時の想いや意気込みを教えてください。

杉江:たったの1年で再演が決まるってのは、それだけやっぱり好評だったのかなと思いますし、僕らも手応えを感じたので嬉しいです。でも、じつは本番始まるまでは結構不安もあったんですよ。美しくて、いい意味でさらっと終わる作品だったので、それがお客さんにとってどうなのかなと思ったら、蓋開けてみたらすごく好評で。ただ、せっかくの再演なんで、前回と同じにならないように、よりパワーアップしてこれから稽古していきたいなと思っております。

藤原:大志くんも言いましたけど、やっぱ再演っていうのは好評だったからだと思うので、単純にすごく嬉しかったですね。僕も前回はちょっと不安なところはあったんですけど。っていうのも上演時間が1時間半ぐらいだったんですよ。それって昨今の舞台にしてみるとすごく短い印象があって。

杉江:今は3時間とか当たり前だもんね。

藤原:そうそう。だから1時間半で大丈夫かなと思ってたけど、客観的に見たらものすごい観やすい時間だったっていう。やっぱ古来からの考え方もあると思うんですけど、1時間45分ぐらいが丁度いいんじゃないかみたいな。もうちょっと観たいなぐらいで終わる感じっていうのかな?今回もそういういいところは残しつつ、前回見た方も楽しめるように新たな歌やダンスやお芝居を高めていきたいなと思ってます。

杉江:あと、お客さんの層がちょっと違いましたよね、普段と。それは嬉しかったですね。

藤原:そうそう、嬉しかった。

――先ほどプロデューサーさんに伺ったんですが、3世代でいらしてた方もいたそうです。

藤原:おお~!幅広いっすね。お母さんと娘はともかく、おばあちゃんっていうのはなかなかないですからね。そこはこの作品の強みですよね。

杉江:ほんとそうだね~。

――原作を知らない方のために、お二人の役どころを教えてください。

杉江:僕は伯爵の会計担当をしております、どケチのジェイムズでございます(笑)。今言ったキャッチフレーズがほぼほぼ僕の役の役どころかなと思うんですけども、やっぱりメインは伯爵と少佐なんで、そこにどう色を添えて世界観を彩るかみたいなところが、僕の役の大事なとこかなと思っています。

――伯爵と少佐のキラキラした感じとは真逆なイメージの役ですよね?

杉江:そうですね。服もつぎはぎなんで。ただ僕の印象では、ジェームズの登場から数話までは結構イケメンの枠だったんですけど、話が進むにつれてどんどん面白担当になっちゃって(笑)。僕はやっぱりかっこいいジェームズと、かっこいいんだけどダサかったり情けないジェームズと、その両方の魅力を舞台では伝えたいと思います。

藤原:僕が演じる役のボーナムは、簡単に言えば伯爵の有能な補佐役ということで、基本的に雑用も含めなんでもやってるんですけど、伯爵ってものすごい自由人じゃないですか。なんかいつも派手な格好してたりとか、自分勝手に行動を起こしたりとかで。さらにそこにどケチなジームズがいる。その煽りを食う役だなと思ってるので、隙あらば困りたい(笑)。

杉江:ボーナムは何でもできるというよりは、いろんなことをやらされすぎて、何でもできるようになったみたいな感覚だよね。

藤原:そうだね。ボーナムは原作でも困ってる描写がすごい多い。眉毛がハの字になって汗かいてる感じの。それだけじゃなく、伯爵への忠誠心というか、ちょっと伯爵大好き、ジェームズのこともなんだかんだ言って大事に思ってるみたいなところも感じてもらいながら唯一の“常識人”をやりたいなと思ってます。

――部下A役の鷲尾さんもおっしゃってましたが、中間管理職的な立場だからボーナムと分かり合えると。

藤原:確かにそうですね。今回のお話は一瞬しか絡みないんですけど、連帯感みたいなのは強く感じますね、やっぱり。

杉江:座組みで見てても、なんか立ち位置近いですもんね。修斗くんとふっきーさんの。

藤原:今日も鷲尾くんは部下BとGの歌を教えてました。「よし!音とりからやろう!」って。

杉江:本当にサポート役だ!(笑)

――部下B役の山崎さんは、藤原さんのことをパパみたいと言ってました。

杉江:パパになっちゃうんだもん。お兄ちゃんじゃなくて(笑)。

藤原:お兄さんが良かったですけど(笑)、玲央くんって運動部だったからか、自信なさそうに歌ってんのに「大丈夫?」って聞かれると「やれます!」って言うんです。まぁ、きっと大丈夫なんだろうけど、すごい自信なさそうだったじゃんっていう。もしかして気を使ってるのかなと思って、こっそり行って「さっきのところ録音しといた方がいいんじゃない?」みたいなアドバイスを。その積み重ねがパパになったと(笑)。

和気あいあい!見えない信頼関係が築けている稽古場

ボーナム:藤原祐規

――今回“Revival+”ということですが、おふたりが考えるプラスな見どころはどこでしょうか?

杉江:シーンが増えてますね。増えたシーンは確かにパワーアップにはなっていますが……そこをアップさせるかと(笑)。

藤原:そうね。「シーン増えてるから」って言われて、どんなシーンなんだろう頑張んなきゃいけないって楽しみにしてたら。なるほどなるほどっていう(笑)。でもね、大幅な変更というか進化の布石となるシーンといいますか……

プロデューサー:言っちゃっていいよ。

藤原:みんながきらびやかな衣装に着替える時間稼ぎを面白おかしくやってみよう!っていうシーンです。

杉江:なんでもござれですから、僕たちは(笑)。

藤原:最後に新曲追加されてるんですけど、ザ・エロイカ!と言いますか、みんなきらびやかな衣装でかっこ良く出てきますので、見る方も楽しんでいただけるんじゃないかなと思ってます。

杉江:僕たちジェームズ・ボーナムの今回の進化は、1回やっている分「さらに自由だぜ」と(笑)。自由にやれるところも増えたし、僕たちのこの作品の馴染み具合も増したおかげで、より自由にやれるというのが今回のプラスの部分ですね。これで初演の方が良かったなって言われたら困るんで。そこは余計だったと言われないように頑張りたいと思います。

――まだ稽古は序盤だそうですが、稽古場での雰囲気はいかがですか?

杉江:雰囲気はとてもいいと思います。やっぱ1年前なんで、みんな意外とやったら思い出すというのも相まって余裕がある感じですね。

藤原:あと、初参加のお2人がすごい頑張ってるので自分もちゃんとやんなきゃなって。1年前だから覚えてることがあるとはいえ、頑張んなきゃなっていう思わせてくれますね。

――初参加って3人ですよね?

藤原:あれ?あ、そうか和合ちゃんか。

杉江:前回もいたような気がしてた(笑)。和合ちゃんはもう「紫を着る男」を演じるために生まれてきたような、今までの和合ちゃん史上一番のハマり役なんじゃないかな。

藤原:確かにそうかもしれない。素晴らしいキャスティング!

杉江:さっき言ったようにみんなに余裕があるからこそ、演出の児玉さんにもすごく余裕があって、きっとこれから稽古していったらその余力分のいろんなアイデアがブラッシュアップという意味で、いっぱいできるんじゃないかなと思います。

藤原:もうすでに細かいアイデアがいろいろ足されているので、前回見た方もきっと楽しめるんじゃないかなと思います。本番を1回経てっていうのもあるのかもしれないんですけど、前回は僕らも手探りで、だから原作を確認しながら、試行錯誤してやってたんですけど、今回は僕らも前回よりアイデアを出してる感じがしています。

杉江:だからとても建設的だなと稽古の数日だけで思っていて、前回はやっぱ児玉さんはきっとこの『エロイカ』の世界観を作るという責任感が大きくて、原作に世界観がすごくある作品じゃないですか。でも、多分それが前回お客さんに届いたっていうのが、我々みんなの自信になっていて、安心してものづくりをできてるという。自分がいいと思ったことを信じてやれている感じですね。

藤原:そうだね。見えない信頼関係みたいなのが、多分前よりずっとできてるんじゃないかな。前回は気が付いたらもうすぐ本番だ!っていう焦りがあったかもしれない。

杉江:そうかもそうかも。車どうすんだとか、戦車はどうすんだとか、いろんなテクニカル的な不安もあったし、その辺の憂いがないので楽しんで稽古できています。

原作のパワフルさを尊敬。あの時代の緊迫感も伝えられたら

――原作はコミカルなだけではなく、歴史的な背景もありますよね。

杉江:そうですね。扱ってる冷戦時代が、個人的には結構ワクワクする時代で、ドンパチじゃなくてスパイとか裏の情報戦みたいな部分はすごく刺激的で。きっと歴史的にも深掘ったらいくらでも、影の英雄がいっぱい出てきそうな時代だったりするし。そういう意味では、作品の雰囲気と時代背景のギャップとか、逆にこの世界観、この時代だからこそと思える部分だし。それこそ描かれた時代にしても結構前衛的な作品だなと思うので、それはこの作品の魅力だし、今となっては受け入れやすいかもしれないけど、あの頃に描いてたそのパワフルさみたいなのは本当に尊敬しています。

藤原:当時にしては結構挑戦的なストーリーですよね、きっと。だから初演の時も演出の児玉さんが言ってたんですけど、冷戦時代のことをみんなちょっと勉強しといてねと。それって僕たちにはやっぱ実感がないから、どれだけ大変な情勢だったのかを知らないから、それを経験してきたお客さんに緊迫感とかそういうものが伝わればよりいいってことだと思うんですけど、それって1人でやるもんじゃないし、みんなで作っていくものだと思うので、稽古もまだまだこれからだと思うんですけど、そういうところも大事に作っていけたらより深みが出るのかなと思いますよね。

――お二人の上司である伯爵役の中山さんはどんな方ですか?

杉江:柔らかくておおらかですね。

藤原:いい意味でマイペースですよね。一応前回も焦ったりしてたんだと思うんだけど、すごくマイペースに自分の階段を着実に登ってた感じ。

杉江:確かにそれすごく当てはまってるかも!

藤原:周りを見て焦ったりとか、演出家のリクエストに応えなきゃと焦って登っていくというよりは、自分の中で必要なものを自分の中で1個ずつ登ってった結果、ちゃんとエロイカができてるみたいな印象です。

杉江:あと、怒ってるとこ見たことないし、自分の中でブレがない。そういう意味ではエロイカですね。

プロデューサー:AB型だから。

杉江・藤原:AB型か―!!

杉江:めちゃめちゃしっくり来たー!

藤原:確かに繊細なところもありつつマイペースだもんね。

――前回の公演でのエピソードや裏話などはありますか?

杉江:僕はフィッシュアンドチップス~♪の曲で、リズムに合わせてカシオミニ(電卓)を叩くっていう振付にめちゃめちゃ苦戦してました。

藤原:あれは難しいよ。リズムを取りながら歌うんですけど、ドラムが歌ってるようなもんなんです。いや~よくやってんなと思って。自分にはできないなと。リズムがむずいしあの歌。

杉江:今回もそれがあるかわからないんですけど、振付の方も変わるので、ちょっとリズムが取りやすいようにやりたいなというか、前回分蓄積があるのでやれるかなとも思うし、稽古でいいとこ取っていきたいなと思ってます。

――役にちなんだ質問です。ジェイムズといえば倹約家ですが、お二人が普段やっている節約術などありますか?

藤原:それこそ電気はすぐ消しますね。ついてたら全部消します。あとは、ほぼ毎日自炊してるんですけど、慣れない頃によくあった問題がフードロスが出てちゃうんで、買い物に行く前日に冷蔵庫の中をなるべく空っぽにするように使い切る。だからメニューがめちゃくちゃになるんですよ。ナゲットと豆腐とコーンポタージュみたいな(笑)。明らかに掃除したのがバレバレのメニューになっちゃうんです。

杉江:でも、今ある材料の中で作るっていうのは腕の見せどころだよね。

藤原:まぁでも、クックパッドに材料を打ち込むだけなんだけどね(笑)。

杉江:だけどマメにやってるのはすごい。僕は特に節約を意識したことはないですけど、釣りの時は結構節約するかもしれないです。初めの頃は釣り具ってあれも欲しいこれ欲しいって買うんですけど、慣れれば慣れるほど「これいらなかった」っていうのが増えていって。もっと絞っていきたくなるんです。挙句の果てには「これは作れそうだ」が出てきて、普通に売っているやつよりも安いし、自分好みになるなと。自分で作り出した時は「あーハマったな」と思いましたね。

――ボーナムといえばなんでもござれですが、お二人は器用な方ですか?それとも不器用?

杉江:器用な方なのかな~?自分のこと器用とはあんま思ってないんですけど、外から見ると結構器用だねってよく言われるなと。不器用じゃないと思うんですけどね。う~ん、人付き合いとか不器用かもしれないですね。いや、器用なのか?

藤原:もうザ・器用そうだけどね。

――ちなみに機械いじりとかは得意ですか?

杉江:元々得意だったんですけど、やっぱ触れてないともう無理ですね。ついていけない。なんか最近インスタとかTikTokとか触ってて「ううっ、わからん!」みたいな。若い頃は説明書なんかなくても触ってみては大体わかったし、わかんなかったらやってみて解決したのが、もうどれからやってみていいかがわからない。それはやっぱ歳を感じますね。

藤原:隠し操作みたいなのが多すぎる。これとこれを同時押しするとこうなるんだよ的な。

杉江:iPhoneとかiPadとかの感性で操作するみたいな。感性では操作できん!感性は人それぞれや!教えてくれ~!とは思いますね(笑)。

藤原:わかる。僕は器用じゃないですね。最初にやったものはそこそこできて、頑張れば人並みちょっと上ぐらいだと思うんですよね、多分。

杉江:でも料理とかできるから。

藤原:料理も最初は全然。クックパッド通りにやってれば失敗はないし、焦がさなければいいだけだから。あとは、うまい調味料使えばどうとでもなる(笑)。味見をこまめにしてれば失敗ないじゃないですか。だから、それもなんか慣れだったな。

――最後に、ファンの皆様へメッセージをお願いします。

杉江:皆さんのおかげで再演という形で戻ってくることができました。前回素敵だと思ってくれた方には、前回の良さはもちろん、それとプラスでやっぱり『エロイカ』っていいなって思ってもらえるような作品できるように、そして今回の皆さんの評価によっては、続編みたいなこともあり得るんじゃないかなと思いますので、皆さんと一緒に素敵な『エロイカ』を作れたらなと思っております。応援よろしくお願いします。

藤原:本当に再演ができるっていうのは、お客さんの応援があってこそだと思うので、まずそれはとても感謝だなと思います。ありがとうございます。再演できるからにはよりパワーアップしたものっていうのは絶対条件なので、稽古場でみんなで切磋琢磨している最中でございます。歌・ダンスはもちろん、お客様の心により届くような作品を作っていて、できたら続編を……ボーナムは今の段階でもすごい広げてもらってるなとは思いますけど、「パンツの歌」があるように「ボーナムが困ったぞ」の歌があってもいいかもしれない。ジェイムズとデュエットがあってもいいかもしれない。そういう広がりがあるのがやっぱ舞台化のいいところなんで。

杉江:スピンオフのボーナムがあってもいいと思いますよ。

藤原:どんな話やる?結局、ジェームズと伯爵も出てくるでしょ?

杉江:戦車を少佐のとこまで持ってってる間の話とか。

藤原:だけど、それだと一人芝居にならない?一人乗りでしょ、あの戦車。

杉江:途中で道行くおばあちゃんとかに牛乳もらったり(笑)。

藤原:なるほど。道聞かれちゃったりして。戦車に?!そんなアザーストーリーがあってもいいかもしれないですね。それも皆さんのお声1つということで、ご好評いただけるように精いっぱい頑張ります。

――ありがとうございました!

取材・文=トクモトショウ

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