横浜市 「情報登録」で高齢者支援 孤独死などに備える
横浜市は、身寄りのない高齢者などへの支援として、本人が緊急連絡先などの情報を事前に登録する制度を初めて導入する。スマートフォンでの電子登録を基本にしつつも、市内全区に1カ所ずつ入力支援窓口を整備する。
市では2040年に3人に1人が高齢者になるとともに、総世帯に占める高齢単独世帯と高齢夫婦世帯の合計が3割を超える見込みだ。
こうした背景を踏まえ、市は孤独死などの万が一に備え、希望する65歳以上の高齢者を対象に葬儀会社との契約や遺言の有無、緊急連絡先、エンディングノートの保管場所などを市のシステムに事前登録する仕組みを今年度中に導入する。病院や警察、消防などの関係機関からの問い合わせに各区役所が、システムに登録された情報を伝え、円滑な対応を取れるようにすることが狙い。
情報登録はスマートフォンやパソコンなどで登録者本人が入力することを市はイメージしているが、不得意な人もいることを踏まえ、各区に1カ所の入力支援窓口を設置する。これとは別に、身寄りのない高齢者らが抱える将来への不安や悩みを相談する対面、電話対応が可能な窓口を今年度中に市内に開設する。
横須賀式参考に
市が参考にしたのが横須賀市の「終活情報登録伝達事業」だ。年齢や所得などの利用制限はなく計11項目の情報を登録するもの。18年5月から実施しており、登録者は25年4月2日時点で1054人となっている。遺体が自宅で発見されたと警察から連絡があり、緊急連絡先や、これまでの相談経過を伝えたこともあるという。横須賀市担当者は「関係機関からも好評。引き取り手の無い遺体を減らすためには必要」と重要性を語る。
「尊厳ある最期のため」
横浜市は現在、各自治体の先行事例を参考に登録項目の選定や入力支援窓口の設置場所などを検討しており、2026年1月の導入開始を目指す。市担当者は「65歳以上の高齢者は登録が可能です。尊厳のある最期を迎えるため、本人の意志を支援につなげられれば」と話す。