シェアサイクルで多摩湖を1周しようとしたら「日本で一番美しい取水塔」に遭遇してしまった
昨年、八王子方面に引っ越してきたのだが、何気なくグーグルマップを見ていたら、そう遠くない距離に大きな湖があることに気付いた。多摩湖 (村山貯水池)というらしい。
東大和市によれば、主に多摩川からの水を貯水する人工湖とのこと。……興奮してきたな。サンドウィッチマンのネタの入りっぽく現地に行ってみることにした。
【画像】取水塔の次に地味によかったのが自転車用の空気入れ。なぜかというと…
・多摩湖へ行く
村山貯水池、通称「多摩湖」は東京都東大和市にある狭山丘陵の渓谷に造られた人工湖だ。他県にまたがらない湖の中では都内最大……と、ウィキペディアには書かれている。
JR国分寺駅で降りたら……
西武多摩湖線に乗り換え……
武蔵大和駅へ。
びっくりするくらい水の気配がないが、ここから先はいつものようにシェアサイクルサービス「HELLO CYCLING」を使い、チャリで移動していきたい。
サイクリングコースとして人気を博しているという「多摩湖自転車歩行者道」があるのでちょうどいいだろう。
しばし歩くと、狭山公園の中に……
駐輪場を発見!
さっそく多摩湖にチャリで行くぜ!!
と思ったら……
どうやら途中で曲がるべきところを直進してしまったらしく、漕いでも漕いでも湖に辿り着かねぇ。
むしろ山になってるぞ。どうなってるんだ!
お、橋か! これはいよいよ湖だろ!!
しかし、気付いたら渡り終えていた。
このままだとずっと森の中を走ることになりそうなので、ここで思い切ってルートを変更。村山上ダム方面へ向かうことに。
その結果……
ついに多摩湖とご対面!
日本ダム協会によれば、村山上ダムは大正期でもっとも高い水道用アースダム( 土を重ねて造られるダム)だという。
土木学会の「日本の近代土木遺産~現存する重要な土木構造物2000選」に選定されている……そうだ。どれくらいスゴイのかはよく分からんが。
ともあれ、ようやく湖が見られたのだから、記念に一発キメておかねばならないだろう。
チャリで多摩湖来た。
しかし再び走り始めた途端、またまた森の中のコースに逆戻り。多摩湖周辺は意外とアップダウンが激しいのが特徴である。
そういえば途中、いきなり西武ドームが出現してちょっとビビったな。こんな場所にあるなんて知らなかったよ。
そこからしばらく走り続けること約10分。ついに「多摩湖自転車歩行者道」の終着点に辿り着いた。近くにある「見晴らしの丘」から多摩湖を一望できる。
堰堤(えんてい)から眺める景色の美しさときたら! どうやら地元の人の散歩コースになっているようだ。
遠くに薄っすら富士山も見えたぞ。
さて、だいたい気が済んだので最初の駐輪場に戻るべく走っていると、何やら湖に可愛らしい建物が浮かんでいるのが見えた。何だあれは? 近くまで行ってみよう。
そう、実はこの建物こそ、本稿の主役「村山下貯水池第一取水塔」なのだ!
・日本一の取水塔
第一取水塔は大正14年に建設された水道施設で、東京都の「都選定歴史的建造物」に選定されている。高さは27.1メートルあるのだが、その大部分は水面下に隠れているという。
重厚なデザインのドーム屋根と、柱形やアーチ窓で装飾したタイル張りの外壁が特徴で、その魅力的な外観から「日本で一番美しい取水塔」と呼ばれているらしい。まさに多摩湖のシンボル的存在だ。
中に入ることはできないが、レトロでどこかノスタルジックな佇まいは、見ているだけでまるで物語の世界に迷い込んだかのような気分にさせてくれる。作り物ではない本物のレトロだけが放つ迫力や説得力に満ちた建物である。
ただ、一つ気になったのが「日本で一番美しい取水塔」というキャッチフレーズだ。
ネット記事やSNSの投稿などを見ていると、第一取水塔に対して多くの人がこのフレーズを使っているのだが、いざ現地に来てみると、どこにもどの看板にも「日本で一番美しい」とは書かれていないのである。まさかこれ、誰かが勝手に言い出したのか?
いろいろ調べてみたところ、東大和市が2023年に公開した「東大和ウォーキングマップ(多摩湖編)」というPDFファイルの中に「日本で一番美しいといわれる取水塔です」という一文を発見。どうやら正式な情報らしい。
……まあ、結局のところ誰が言い出したのかは分からないが、その美しさは間違いなく本物なので、取水塔を見るためだけに多摩湖を訪れる価値は大いにあるだろう。空気が澄んでいる今の季節は特にオススメだぞ。
参考リンク:HELLO CYCLING、東大和ウォーキングマップ(多摩湖編)(PDF)、日本ダム協会
執筆:レンタチャリ師・あひるねこ
Photo:RocketNews24.
ScreenShot:HELLO CYCLING、Google マップ(iOS)