【横浜市神奈川区】かなっくホール U29公募で劇団結成 「演劇できる施設」アピール
神奈川区民文化センター「かなっくホール」は11月3日、16〜29歳を対象とした公募により結成した「劇団かなっく」15人による演劇の公演を初めて実施した。参加者たちは3カ月の「演劇ワークショップ」を通して、プロの劇作家、俳優によるアドバイスを中心とした指導を受けながらフランツ・カフカの『変身』の舞台のために練習を重ねてきた。
同施設はホールの特性上クラシック音楽での貸し出しが多く、通常の演劇公演への施設の貸し出しが昨年度、一昨年度と無かったことから、同施設の事業責任者の小林美耶子さん(26)が「演劇でも施設を利用できるということを地域の若い世代に知ってほしい」という思いで企画した。
同所は今年度から、若手や神奈川区にゆかりのあるアーティストを「かなっくホールクリエイティブパートナー2025」として応援しており、その一員である劇作家の中屋敷法仁さんと、俳優の本田けいさんが協力し、初めて同ワークショップが実現した。
公演は午後1時と5時の2回にわたり実施され、合わせて162人の観客が舞台を鑑賞した。参加者は劇団サークルに所属している人から演劇未経験の人までさまざま。今年の8月から10月にかけて、平日の午後6時から3時間半、全20回練習を重ねてきた。
ワークショップでは身体の使い方やセリフの発声の仕方などの講座と、演技の実践を組み合わせて行われた。参加した神奈川総合高校舞台芸術科1年生の梅田グラナド花さん(16)は「演劇に出たのはほとんど初めてだったため新鮮だった」と話した。中屋敷さんは「地域では貴重な立派なホール。地元で演劇ができる場所があるということをもっと地域の方に知っていただければ」と話す。
劇の途中には参加者各々の思い出に残っている五感をセリフにのせて表現する場面も。「一人ひとりがアーティスト。自分なりに表現する体験をしてほしかった」と中屋敷さん。
地域の小学校で児童に演劇を教える取り組みもしているという俳優の本田さんは「演劇を学ぶことは、チームワークを学ぶことにもつながる」と話す。梅田さんは「仲間とみんなで作り上げるのが楽しかった」と笑顔で話した。同企画は来年も実施する予定。