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「奇跡に近い逮捕劇」死者の名誉毀損で起こる

文化放送

ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティを務める「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日15時~17時、火~金曜日15時~17時35分)、11月13日の放送にノンフィクション作家の常井健一が出演した。1月に亡くなった、元兵庫県議会議員の竹内英明氏の名誉を傷つけたとして、NHKから国民を守る党の立花孝志容疑者が逮捕された事件の背景を解説した。

長野智子「まずは今回の事件(立花孝志容疑者の逮捕)のポイントを教えて下さい」

常井健一「3つあります。1つ目は、竹内県議が生きていたころの名誉毀損だけではなく、死んでから行われた名誉毀損が問われていること。死者の名誉毀損は、生前のケースに比べて罪を問うのにハードルが高く、判例がない。2つ目、名誉毀損事件は在宅での捜査が一般的ですが、今回のように身柄の拘束を伴うのは異例です。3つ目は深夜の逮捕だったこと。午前3時台の逮捕で、それだけ事件化のタイミングを急いだということですね」

長野「はい」

常井「争点ですが、死後の名誉毀損で立花氏自身が発言内容をウソ、デマだと認識していたかどうか。その根拠が問われることになる。仮に立花氏がデマだと認識しておらず、真実と思い込んで言ったんだ、という根拠。真実相当性といって、それが立証できれば、違法な行為をしていても違法性が阻却される。裁判では無罪になる可能性があるんですね」

長野「なるほど」

常井「兵庫県警としては立花氏がデマだと認識していた疑いを固めたからこそ逮捕に踏み切ったとみていますが、死後の名誉毀損罪が成立した裁判例がないだけに、司法的な冒険をしている、といっても過言ではないんです」

長野「これが大きな判例になってくる、という可能性もありますね」

常井「だから本当に注目の事件です。一方で見方を変えると今回の逮捕劇って奇跡に近いんだな、と私は思います。背景には、遺族が超えなければいけないハードルが大きく2つあるんですね。1つ、名誉毀損罪は親告罪といって被害者が自ら手を挙げなければ捜査が動かない。そして死者の場合は遺族が手を挙げなければならない。竹内県議の夫人自身が刑事告訴を行わなければ、逮捕につながらなかった」

長野「うん」

常井「もう1つのハードル。犯人を知った日から6ヶ月以内に告発しないといけないんですね。時効じゃないけど控訴期間という法律上の決まりがあって。それに従うと今回の生前の名誉毀損、これは立花氏が去年12月中旬に起こしたことなので、告訴のタイムリミットは6月」

長野「はい」

常井「死後の名誉毀損については今年1月中旬のことなので、7月までがタイムリミットでした。しかし竹内夫人からすれば、1月に突然、夫を失って。残された子供たちの育児に追われながら、その後も止まない誹謗中傷に耐える。SNSの犬笛におびえるような日々を送っていたんですね」

長野「1月中も立花氏はずっと誹謗中傷していましたものね」

常井「それでも事件化できたのは、竹内夫人が勇気を振り絞って、タイムリミットまでに立ちあがれた、ということに尽きます。その背中を押したのは大学の先輩だった、と夫人も言っています。私、その先輩の人に15年ほど前から別件で取材を続けていまして。石川知裕さんという人です(今年9月に他界)。彼が竹内夫人を説得して、6月までに刑事告訴させなかったら、今回の逮捕劇は起こらなかった、ということです」

このあとも逮捕劇について、生前の石川知裕氏についてなどの解説が続いた。

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