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【ふじのくに地球環境史ミュージアムの企画展「全地球史」 】 企画展として過去最大のスケール。46億年前から80億年後まで。地球の過去現在未来

アットエス

静岡新聞論説委員がお届けするアートやカルチャーに関するコラム。今回は静岡市駿河区のふじのくに地球環境史ミュージアムで12月14日に開幕した企画展「全地球史」を題材に。
2016年開館の同ミュージアムだが、企画展としては過去最大のスケールではないか。タイトル通り、テーマは地球の歴史。約46億年前の誕生から現在まで…と思いきや、第2室では80億年後のこの惑星の姿まで見通してみせる。

微惑星がぶつかって全てが溶けた状態の地球が冷えて岩石の地殻ができ、やがてプレートテクトニクスが始まる。液体の鉄とニッケルからなる外核ができ、その対流で強い磁場が地球全体を取り囲む。地表に降り注ぐ宇宙船や太陽風が減少する。

こうした壮大な時間軸のドラマが、かつて高校の教室だった「展示室」一つで語られているさまに感動する。われわれ人類の祖先が誕生するのは700万年前だから、地球史においては「つい最近」であることが身に染みて分かる。

展示室の壁面ぐるりの説明で46億年の地球の半生を理解できるようにする、という展示の工夫もさることながら、床面に置かれた岩石標本が実に興味深い。地球の表面を模したデザインの「陸地」部分で、最新の研究トピックスを交えて各種標本が強烈な存在感を示している。

白眉は1991年にカナダ極北地域で発見された「アカスタ片麻岩」だろう。説明によると「今のところ地球でつくられた最も古い石」。どれぐらい古いかと言えば、「約40.3億年前」とのこと。この石たちの過ごしてきた膨大な時間を頭に描くと、頭がくらくらしてくる。

警句に満ちた第2室も必見。現在を人新世と捉えた上で、2億年後「アメイジア超大陸の形成」、10億年後「プレートテクトニクスの終焉」、15億年後「地球磁場の消失」、45億年後「銀河の衝突」、80億年後「地球の消失」が予告される。

われわれがいま生きている時間は、もしかしたら地球の「折り返し地点」なのかもしれない。上記の「予告」は人類がそこに存在していることが前提ではない。「地球の歴史を知った私たちは、未来の地球に何ができるだろうか?」。同ミュージアムのテーマそのものとも言える言葉に、身震いを覚えた。
(は)

<DATA>
■ふじのくに地球環境史ミュージアム企画展「全地球史」
住所:静岡市駿河区大谷5762 
開館:午前10時~午後5時半
休館日:月曜(月曜が祝日の場合は次の平日)、年末年始(12月27日~2025年1月3日)
観覧料(当日):一般600円、小学生以上大学生以下・70歳以上300円
会期:2025年3月23日まで

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