「彼なしでは、この映画は存在しなかった」カリスマ的な存在感と魅力を放つ“俳優アダム・ピアソン”とは?『顔を捨てた男』
セバスチャン・スタン主演×アーロン・シンバーグ監督、A24が贈る映画『顔を捨てた男』が、7月11日(金)より公開される。このたび、本編よりオズワルド(ピアソン)の歌唱シーンと、それを複雑な表情で見つめるエドワード(セバスタ)の様子を切り取った場面写真が解禁となった。
目の前に現れたのは、“かつての自分”にそっくりな男
顔に極端な変形を持つ、俳優志望のエドワード。自分の気持ちを閉じ込めて生きる彼は、ある日、外見を劇的に変える過激な治療を受け、念願の新しい顔を手に入れる。別人として順風満帆な人生を歩み出した矢先、目の前に現れたのは、かつての自分の「顔」にそっくりな男オズワルドだった。その出会いによって、彼の運命は想像もつかない方向へと逆転していく——。
メガホンをとったのは、本作の脚本も手掛ける気鋭アーロン・シンバーグ。<外見が変われば幸せになれるのか?>という普遍的なテーマを、「他者からの見られ方」や「自分の見せ方」を過剰に追い求める現代に問う、異色の不条理スリラーとして誕生させた。
「彼なしでは、この映画は存在しなかった」
本作は、顔を変え別人として生きる男エドワードが主人公だが、彼の前に現れる“かつての自分にそっくりな男”オズワルドの存在が本作を唯一無二の作品へと導く。そんな重要なキャラクターであるオズワルドに扮したのが、『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』(13/ジョナサン・グレイザー監督)でスカーレット・ヨハンソンと共演し、華々しく映画デビューを飾ったイギリス出身の俳優アダム・ピアソンだ。
同作を観て、アーロン・シンバーグ監督は、ピアソンを前作『Chained for Life(原題)』(18)で主演に抜擢する。同作ではシャイな役を演じていたが、実際のピアソンは社交的で明るく、神経線維腫症の当事者として障害者の権利向上に取り組み、BBC制作のドキュメンタリー番組にも多数出演。司会も務めるほかTEDxを含む講演活動も行う、カリスマ的な魅力にあふれる人物。まさに本作のオズワルド役を地で行くようなピアソンについて、シンバーグ監督も「彼なしでこの映画は存在しなかった。アダムがOKをくれなかったら『顔を捨てた男』を作ることはなかった」とその存在に大きなインスピレーションを受けたことを明かす。「この映画はアイデンティティについての物語だから、観客の視点によって得られるものは人それぞれ。他者に対する見方や接し方が本作の影響で変わってくれれば」と本作について語るピアソンは、本作の出演で「第59回全米批評家協会賞」「第34回ゴッサム・フィルム・アワード」ほか多数の映画賞で助演男優賞にノミネートされるなど高い評価を受けた。
本編映像は、とあるカラオケバーで、オズワルド(アダム・ピアソン)が歌唱するシーン。エドワード(セバスチャン・スタン)は、今まで他人の視線を気にして消極的に生きてきたが、かつての自分にそっくりなオズワルドは他人から注目を集めることをいとわず、堂々としている。いつも自信にあふれ、自然と周りに愛されているオズワルドの歌唱に、その場に居合わせた観客も引き込まれているようだ。しかし、店内でひとり、エドワードだけはこの状況を、嫉妬心だけではない複雑な表情を浮かべて見ているのだった……。(※歌っている曲は、映画『カー・ウォッシュ』(76)のサントラからローズ・ロイスによる「I Wanna Get Next to You」)
場面写真は、同場面のセバスチャン・スタンの表情を切り取ったもの。セバスチャン・スタンがアダム・ピアソンに嫉妬するという、予想もつかない本作のストーリーだが、映画を観れば納得するはずだ。顔を変えた後のエドワードと、そこに現れたかつての顔に似たオズワルドの複雑な関係は、これからどうなっていくのか—。
『顔を捨てた男』は7月11日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国公開