「同時に死にたいな」「ロマンチックね」危険で奇妙な雰囲気が漂う『ドゥーム・ジェネレーション』本編シーン
グレッグ・アラキ監督の代表的2作品が待望のデジタルリマスター版でリバイバル公開決定。『ドゥーム・ジェネレーション デジタルリマスター版』が11月8日(金)より、『ノーウェア デジタルリマスター版』が11月15日(金)より公開される。このたび、『ドゥーム・ジェネレーション デジタルリマスター版』より、奇才デヴィッド・リンチ監督から影響を受けたという、異彩を放つ演出が伺えるワンシーンが解禁となった。
グレッグ・アラキによる〈若者の終末〉を描いた衝撃の2作品
異性愛を常識とする当時の概念や、それを支えてきた映画のあり方に対抗した90年代の<ニュー・クィア・シネマ>ムーブメントを牽引し、インディカルチャーの旗手として知られるグレッグ・アラキの2作品が遂にデジタルリマスターされ、さらに、初公開当時そのストレートな性表現から止むなくカットされたシーンを含むディレクターズカットで劇場公開される。
自身もゲイであることをオープンにし、一貫してティーンエイジャーを主人公にして同性愛者のリアルライフを描いてきたグレッグ・アラキ。そんな彼がプロデューサーからの「異性愛映画を撮ったら制作予算をあげよう」という提案に対し、彼なりの反骨精神あふれるパンクなやり方で、「表向きは“異性愛映画”としつつも、“史上最もクィアな異性愛映画”を作りたかった」と語る『ドゥーム・ジェネレーション』と、「最も野心的な作品」と本人も語る、まるでジェットコースターのようなスピード感で若者たちの〈終末の日〉の一夜を描いた『ノーウェア』。約30年前の作品とは思えないほど、今の私たちの感性を刺激する魅力とパワーを放つ衝撃の2作品だ。
「同時に死にたいな」 危険でロマンチックな会話——
3人のティーンエイジャーの逃避行を、ブラック・ユーモアと価値観を揺るがす性表現を交えながら大胆かつ独創的に描き、高い評価を得た『ドゥーム・ジェネレーション。
エイミーが纏う艶やかな魅力は旅の先々でトラブルを誘発してしまい、3人は逃避行を続けていた。波乱な1日を終えて、白黒の市松模様のモーテルの部屋でジョーダンとエイミーは重なって寝転んでいた。「すごく心地いい。引き出しの中で重なるスプーンの気分だ。同時に死にたいな」と囁くジョーダン。「ロマンチックね」と返すエイミーに、「本気で言ってる。君を失いたくない」と、この先に嫌な予感を抱くジョーダンは、彼女を愛おしそうに見つめながら素直な気持ちを伝える。その一方でグザヴィエは、同部屋の湯船に浸かりながら、お酒を飲んで歌っている。そんなグザヴィエの存在を忘れたように、ジョーダンとエイミーは抑えきれない欲に掻き立てられ、情熱的なキスを交わすのだった——。
この映画の世界を“ドラッグの悪夢の旅”のような、突飛でシュールなものにしたかったというグレッグ・アラキ監督。また同時に、本作は『理由なき反抗』(1955)や『地獄の逃避行』(1973)のような過去の映画たちのエッセンスから生まれており、初めて35mmフィルムかつフルスタッフで撮影したことで、これまで不可能だった方法で“市松模様のモーテルの部屋”のような突飛なアイデアも実現することができたと語っている。アラキ監督のこだわりが垣間見える、危険で奇妙な雰囲気が漂う本編シーンとなっている。
『ドゥーム・ジェネレーション デジタルリマスター版』は11月8日(金)より、『ノーウェア デジタルリマスター版』は11月15日(金)より渋谷ホワイトシネクイントほかにて全国順次公開