石川凌雅×安藤夢叶×里中将道、主人公・桜はかっこよくもあり「かわいい!」~舞台「WIND BREAKER」インタビュー
2025年1月3日(金)〜1月5日(日)に大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール、2025年1月10日(金)〜1月19日(日)に東京・シアターHで上演される舞台「WIND BREAKER」。にいさとるの同名漫画を原作に、超不良校でありながら“防風鈴(ボウフウリン)”として街を守るヤンキーたちと、敵対する“獅子頭連”のぶつかり合いを描く。
桜 遥役の石川凌雅、蘇枋隼飛役の安藤夢叶、十亀 条役の里中将道にインタビューを実施。本格始動を控えた心境や展望、役へのアプローチ方法などたっぷり語ってもらった。
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ーーこの取材時点では稽古スタート前ではありますが、すでに台本、原作やアニメにも触れられているとのこと。「WIND BREAKER」のストーリーについて、どんなところに魅力を感じていますか?
石川:青春群像劇、ド正面でど真ん中の少年漫画。王道感はありつつ、今までのヤンキー漫画と一線を画している。より現代っぽい印象というか。彼らが育ってきたのは昭和でもないし、平成初期でもない雰囲気が作品の随所に反映されていて親近感が湧きます。キャラクターが魅力的で可愛いところも魅力。すぐ推しができそうな作品ですよね。
里中:街を守るヤンキーっていう設定も新しいよね。「こんな奴らがいたらいいな」って思える。暴力はだめだけど、男同士の言葉がなくても伝わるぶつかり合いもいいよね。
安藤:「こういう青春があったんだ!」って思いました。喧嘩のスタイルでキャラを示すのも新鮮ですよね。蘇枋も独特だし、(兎耳山)丁子は身軽さを生かした戦い方をしてる。
石川:格闘のディテールを描くのって、自分が今まで触れてきた作品のなかではあまりないタイプだったな。マネしたくなりますよね。
安藤:勝つか負けるかという面白さはもちろん、どういう気持ちを込めて拳を交えているのか、どう展開されていくかが見どころになっている。見ていてすごく楽しい作品です。
ーー現時点でのキャラクター像についてお聞かせください。まずは、主人公の桜 遥について。
石川:今の時点で僕が知っている桜は、五角形のレーダーチャートで表すとしたらかなり偏っているんじゃないかな。足りないものが多いというか……知らないがゆえに足りていないことが結構多い気がして。物語が進むにつれて、そのチャートがどんどん広がっていく段階なんだろうなというのがまず印象にあります。根は優しいからこそ、敏感になってしまったっていうほうがいいのかな。そういうことを消化しきれないまま成長していって、こういう尖り方になって。29歳の僕からすると、そんな桜の姿が愛おしくもあります。
里中:かわいいよね。
石川:かわいいですよね。ただ、自分が同じ状況だったら塞ぎ込んじゃうのかもしれない。反面、桜はきっと根は強いんじゃないかなって思ったりしました。稽古に入ってから気づく部分がたくさんあるはずなので、これからが楽しみですね。
安藤:蘇枋を演じる身としても、かわいいなと感じます。桜が照れていたり、言いたいけど恥ずかしくて言えないことも蘇枋は全部わかっていて、そこに橋をかけてあげるので。猫みたいに思っているんじゃないかな。
里中:学生時代って絶対尖るし、恥ずかしかったり照れちゃったりもするもんね。不器用だから強がりで隠しがちだけど。だからこそ十亀も、桜によって気づかされるものがあるのかなと。これからも変わり続けるんだろうし、いいキャラだよなぁ……。
ーー蘇枋隼飛は、桜のクラスメイトという役どころです。
安藤:ミステリアスですね。
石川:掴みどころがないよな。
安藤:そうなんですよ。謎が多すぎるので気になる存在ではありつつ、不思議な魅力がある。本当にかっこいい人だけど、同じ学校にいたら告白できないタイプのイケメンというか。誰もが「私なんか相手にしてもらえないんだろうな」と思っちゃう雰囲気なんですよね。演じる上では、滾る瞬間はありつつも出しすぎてはいけない熱量が蘇枋にはあると思っていて。その調整は頑張らないとな……と考えているところです。
石川:野良として現れた桜に対して、ああいう振る舞いを最初からできるのはいろんな人を見てきたからこそ。もともと備わっている感性もあるんだろうけど。
里中:こんな高校生いるんだ、って思ったな。若いけど、今までの人生が波乱万丈じゃないとたどり着けない領域。いろんなことに傷ついているからこそ、人をリスペクトできるんだろうね。
ーー十亀はボウフウリンの隣のシマを仕切る“獅子頭連”の副頭取。桜と敵対する今作の重要人物でもあります。
石川:いや、怖い……怖いよ! タイマンするの、怖い……やだやだやだ!
里中:なになに(笑)。
石川:僕らの正義とは全然違う正義なので、分かり合えなくてもおかしくない相手なんですよ。だからこそタイマン勝負という形になったんでしょうけど。
里中:基本はいい奴です。もともとこうなる前はもっと優しかっただろうし。人を思いやったからこそ自分を犠牲にしている、そんな強さが魅力です。ネガティブなようでいてポジティブですし、人間味がありますよね。
安藤:もしかしたら、一番優しいのかもしれないですよね。優しすぎて選択を間違えてしまったんだろうし。怖さと優しさのギャップがいいし、チームに欠かせない人でもある。
里中:つらいポジションではあるんですけどね。癖は強いと思っているので、お客さんが求めているキャラクターのイメージは頭に置きながらも、舞台としての十亀をお見せしていきたいですね。
ーー役作りについてお聞かせください。今作のように原作がある場合、まずどのような部分からヒントを得てアプローチしていきますか?
安藤:気になる!
石川:難しいね、これ。入口がたくさんあるからなぁ……。
里中:僕は「どういう人生を送ってきたんだろう?」というのを、原作でまだ描かれていない部分も含めて生い立ちなどを想像してみます。幼少期から現時点まで、一連に繋げた上でお芝居をするようにしています。十亀の場合は「なんでゆっくり喋るんだろう?」とか、「なんで下駄履いてるんだろう?」とか。
石川:僕の場合は、最初はまずキャラクターの真似をしてみますね。
里中:うん! 最初の印象でやるのって大事だし。
石川:やってみてわかるものって結構あるんですよ。たとえば「だぜ」って語尾がセリフにあったとして、普段は言わないから馴染みがない。違和感を無くすにはどうしたらいいのかやっていくうちに、おのずとその人物の歴史を想像する。好きなものや嫌いなものが自分とリンクしていく瞬間があるから。
里中:僕は近いほうから探していくタイプなんだけど、自分と遠いところから?
石川:遠かったな、近かったなってパターンが両方ありますね。桜の場合は、今の時点では「やってみたい!」って気持ちが強すぎて、まだそこまでたどり着けてないんですよ。ああしたい、こうしたいっていうのが溢れていて、かなり前のめりな状態です。
安藤:勉強になります……! 僕は、自信があるといい芝居ができるタイプなんです。自信を持つためにすることは、2.5次元作品の場合でいうと、声を似せられるようになること。完全に似てなくてもいいから、セリフの音程を合わせてみる。「?」がついているときの語尾の上がり方とか、アニメで演じられている声優さんの他の作品も見て研究します。納得いくまでやって初めて自信につながるし、ようやくお芝居で遊べるようになりますね。
ーー喧嘩のシーンは激しいアクションになりそうな予感がしますが、体づくりなどは?
里中:大丈夫です。任せてください! ただね、この公演日数ですから。どうなることやら……! 僕は体を潰さないように、しなやかな筋肉を目指してます。バネのある感じで。
安藤:筋肥大というよりは増強メインですね。フィッティングのときに演出の植木 豪さんと「蘇枋を演じるならめっちゃ体を柔らかくできたら面白いよね」とお話しして、結構柔軟をやっています。
石川:僕は今までアクションのある作品が結構あったので、あの感覚を思い出す作業から。喧嘩のところのアクションってどうなるんだろうね。昔から空手を習ったんだけど、また違う動きなんだよね。
安藤:アクションのシーン、三浦 香さんが書く脚本のト書きが面白すぎて。「ここで桜はブリッジになる」とか……。
石川:あんでぃ(安藤)から連絡が来ましたね。セリフのところの写真と「凌雅くん! ここ、大丈夫ですか!?」って(笑)。
安藤:どう演じられるのか、もう今から楽しみで楽しみで……!
石川:どうなるんだろうね。僕としては黒子の人とかに支えてもらいんだけど(笑)。
ーーこのメンバーでいうと里中さんが石川さん、安藤さんとそれぞれ初共演。先ほどの撮影では、3人ですでに和気あいあいとお話しされていた印象でしたが……?
里中:お芝居としては初めてなんですが、それぞれイベントなどでご一緒しているんですよ。
石川:僕は一緒のチームでスポーツをやるイベントで。そのときからユーモアのある方というイメージがあったんですけど、プライベートではまた印象が変わるんですよ。オンオフがはっきり違うと感じるくらいのお芝居をされる。桜と十亀のシーンに関しては、がっつりお芝居を支えていただくにあたって、どういう風にしていきたいか伝えたいことがすでにあります。
里中:もうね、早く一緒にやりたいです。稽古が始まったら、きっとがっつり話し合うだろうし。夢叶とはヒプステ(『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rule the Stage)を観に行ったときに挨拶して、一緒にサウナも行ったこともある仲です。
安藤:サウナで熱く芝居の話をしましたよね。僕は今回、役柄的に絡むシーンが少なそうなのでちょっと悔しい!
石川:あんでぃとも作品では共演しているけど、じつは直接的に絡みがあったわけじゃないんだよね。あんでぃ、あの……このままピュアでいてね。
里中:わかる。変わらないでね……。
安藤:あははは!
石川:上から目線みたいな言い方になっちゃって申し訳ないけど、これは伝えたくて……あんでぃって、ピュアで。ピュアというかこうしたい、こうありたいって気持ちが強いんだと思う。思っていてもなかなかできない人も多い中で、理想を実現させようとする意識がめちゃくちゃ強い男の子なんですよ。
安藤:嬉しい……! 僕は今作で凌雅くんのお芝居からたくさんのことを吸収させてもらうつもりです。どういう風にお芝居するのかなって、こっそり血眼で見ていると思う(笑)。男らしいところ、本当に尊敬してます!
ーー桜はケンカのてっぺんを目指すという目的を持った主人公。分野問わず、1位になった経験談を教えてください。
里中:スポーツテスト! 中学校とかだいたい1位だった。
石川・安藤:すげー!
里中:反復横とびとか超得意だった。
安藤:絶対、(十亀の)下駄でやってくださいよ。
里中:やだ(笑)。
石川:いいなぁ、1位。僕は小1から小6まで空手やってって、組手の大会で優勝しました。地域のやつですけど。
安藤:十分すごいです。僕、ないかな……。ダンスをやっていたんですけど、トータルで見ると2位が多かったな。1位になるのって難しいですよね。
ーー最後に、読者の皆様へメッセージをお願いします。
石川:演出、脚本、音楽、スタッフの皆さん、キャスト陣……この全員が足し算じゃなく、掛け算で挑んでいきます。自分たちの限界を超えていく作品に仕上げていきたいと思っているので、ぜひ劇場でお待ちしています!
安藤:印象に残るお芝居をされる方がたくさん集まっています。アクションも絶対かっこよくつけてくださること間違いないので、拳の語らいをご覧いただけたら!
里中:舞台で役者がやる、その迫力を味わってください。素晴らしいスタッフ・キャストでお届けするので、期待して楽しみにしていただけたら嬉しいです。
■ヘアメイク
石川凌雅・里中将道:北崎実莉
安藤夢叶:大槻史菜(MARVEE)
■スタイリスト MASAYA(PLY)
取材・文=潮田茗 撮影=山口真由子