新春インタビュー 地域のつながり推進を 齋藤区長、新年の抱負語る
本紙は2025年の年頭にあたり、齋藤正孝区長にインタビューを行った。齋藤区長は、市制100周年となった昨年の成果を振り返るとともに、地域の中の「つながり」づくりの重要性などについて語った。(聞き手/宮前区編集室・藤原裕志)
――まずは昨年の振り返りをお願いします。
「宮前区には『人が好き緑が好きまちが好き』というキャッチフレーズがありますが、地域を愛し、地域をより良くしたいという思いで活動されている区民の皆様がいて、豊かな緑を有する宮前区をまさに表している言葉であると感じています。昨年4月に着任してから、地域のさまざまなイベントや活動に参加させていただきました。自分でも区内各所を回らせていただき、さまざまな課題があることも認識したところです。各地で活躍されている地域の皆様にお会いしてお話をさせていただく中で、元気をもらうとともに、区長としてとても頼もしいと感じています。昨年は川崎市が市制100周年を迎えた節目の年となり、宮前区においても、こうした地域資源をいかしながら、区民の皆様に宮前区をよりいっそう知って、関わって、好きになってもらえるよう、取組を進めてきました」
――全国都市緑化かわさきフェアの手ごたえはいかがでしょうか。
「昨年10月19日から11月17日にかけて、市内の3つの公園をコア会場として、全国都市緑化かわさきフェアの秋開催が行われました。宮前区においても、フェアの開催にあわせて、これまで区が市民とともに作成したお散歩コースを再編した『みやまえみどりのお散歩マップ』を作成しました。6つのコースがあり、菅生緑地や県立東高根森林公園などの緑スポットや、北部市場や影向寺などの区内の魅力スポットを巡ることができるコースとなっていますので、ぜひ皆様もお好きなコースを歩いてみてください。今年の3月22日から4月13日には、春開催を予定しています。宮前区としても、区内の小中学校の子どもたちと協働で行う花づくり花かざりの取組を推進するなど、春開催に向けて機運を高めていきたいと思います」
――コミュニティ交通の重要性が叫ばれています。区内の取組について教えてください。
「路線バスが利用しづらい地域において、地域が主体となったコミュニティ交通の導入に向けた取組に対し、市が地域特性に応じた支援を行っています。宮前区においては、現在本格運行を目指した取組として、平地区において、協議会が中心となった『つばめ号』の運行実験が3月末まで実施されています。本格運行に向けては、採算性の確保が課題と捉えられており、今年度の運行実験においては、利用者増に向けて、運行日や運行ルートの追加、運行時間の集約のほか、定期券、回数券の定期的な販売会の実施、地域の企業等との連携などの取組が進められているところです。
また、『つばめ号』の運行と合わせて、地域の皆様が主体で実施されている、シニアの居場所づくり等のためのイベントが向丘出張所で開催されています。こうしたイベントは、区役所としても現在区として進めている出張所の一層の利活用を推進する取組であると認識しており、出張所会議室の貸し出しや、運行情報と共にチラシの配架や出張所フェイスブックでの発信などの広報を積極的に行っています」
――現宮前区役所の跡地利用についてお聞かせください。
「鷺沼駅周辺へ移転後の現在の宮前区役所などの施設・用地については、市民参加で検討することを検討の進め方の一つとしており、これまで区民意識アンケート調査や、市民検討ワークショップなど様々な形で市民の皆様からご意見やアイデアをいただいてきました。このたび、再開発事業のスケジュール変更により、区役所などの移転時期が変更となりましたが、スケジュール変更により生じた時間を有効に活用するため、令和7年度からはこれまでにいただいた市民アイデアを生かした実践的な取組などを行う予定です。この取組は、将来のこの場所をより良く活用するためのものであるため、積極的にご参加いただければと思います」
――複雑・多様化する犯罪への対策はいかがでしょうか。
「犯罪を防ぐために、家族や地域のつながりが重要であると考えています。住宅対象の強盗事件が首都圏を中心に多発していますが、犯人の多くは事前に下見をしており、地域の防犯パトロールが有効であると言われています。宮前区では自主的に防犯・防災・交通安全をはじめ、身近な環境整備等の活動を実施している団体のパトロール活動の支援を図るため、防犯ベストや青パト用の青色回転灯などの用品貸出を行っています。まちをきれいな状態に保つことが犯罪の抑制につながることから、地域の落書き消し活動への用具提供や作業支援も行っています。今後も宮前警察署をはじめとする関係機関や団体の皆様とも連携して、誰もが安全に安心して暮らせるまちづくりを、さらに推進していきたいと考えております」
――最後に今年の展望をお願いします。
「市制100周年という節目の年から、今年は次の100年に向けてのスタートの年となります。2023年にスタートした宮前区ソーシャルデザインセンター『みやまえBASE』では、『地元でゆるやかにつながろう』をコンセプトに、地域のことを知ったり、地域の方と交流したりすることのできる場を設けています。参加していただくことで地域の新たな一面を知ることができたり、顔見知りができたりするかもしれません。ぜひお気軽にご参加ください。次回は2月22日に開催予定です。こうした取組を通じて、誰もが地域に愛着を持ち、生きがいを持って暮らせるよう、区民が主役のまちづくりを進めるとともに、地域の中の『つながり』づくりを進めていきたいと思います」