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「8050問題」 連載【1】 「勇気を持って相談を」 戸塚区社協 山本さん

タウンニュース

取材に応える山本事務局次長

80歳代の親が、50歳代の子どもの生活を支える「8050問題」。背景には親の高齢化、子どもの長期間にわたるひきこもりがある。親亡きあと、子どもがどう生きていくのかなど課題は数多い。

内閣府が今年4月に公表した、全国で孤立死した人の推計値は2024年1年間で約2万人。60歳以上が約8割を占めたものの、50歳代も2740人いたという。この連載では、こうした問題の改善に取り組む団体・個人に、53歳の本紙記者がインタビューを行う。

横浜市内の各種団体、住民、ボランティアなどと連携して地域の福祉活動の充実化を図る、横浜市社会福祉協議会。今回はその中の戸塚区社協の山本篤事務局次長(55)に話を聞いた。

――横浜市社協/戸塚区社協として「8050問題」とどのように関わっていますか。

「社協には金銭管理などをする『横浜生活あんしんセンター』という事業があります。高齢者や障害者の方でご自分で銀行に行けない、お金の管理ができないという方の通帳をお預かりして、代わりにお支払いをするなどしています。その中で親が80代・90代でお子さんが50代・60代という世帯のご依頼が増えている印象があります。

多いのはお子さんに障害があってお母さんが長年面倒を見ており、社会と接点を持っていなかった。けれども、お母さんが高齢で動けなくなり、私たちが発見するケースです。ここが一つの接点になっています」

――そのほかに気づくきっかけはありますか。

「食料支援です。例えばご主人が亡くなって奥さんだけになった。そうすると年金が遺族年金だけになったために収入が減る。そのご家庭に実は障害のあるお子さんがいて、お母さんの年金で生活している。けれどもそのお子さんが障害手帳を昔だから申請しておらず全く収入がない。生活保護の申請をする中で区役所から私たちが進める食支援事業への依頼が来て把握できることもあります」

地域の力が重要

――障害はないが、学生時代にいじめにあったなどで長期間にわたりひきこもってしまった50代の方、またはその親、関係者からの相談は。

「そういう世帯からの相談はあんまりないんです。障害がある世帯よりも隠したがるのかなって私はちょっと思ったりはします。見つけにくいということです」

――どうすればいいと思いますか。

「おそらく気がつくとしたら地域の方です。そういうセーフティーネットを広げていくことが大切。民生委員さん、ケアプラザの職員さんのお力も重要です」

親子共倒れを危惧

――今後は「9060問題」になる恐れも。危惧されることは。

「親亡きあとが心配。時代が変わり子どものひきこもりをオープンにする世帯が増えるかもしれませんが、今の80代の親御さんは世間体を気にして隠す人が多いかなと思うんです。親が亡くなった後、お子さんがSOSを出せるかどうか。あとは近隣が気づけるかどうか。一番怖いのは両方共倒れで2人とも孤独死してまうことです」

――当事者の方、関係者にメッセージを。

「どこでもいいので相談しやすいところに勇気を持って連絡をしてしいただきたいですね。それが解決・改善に向かう近道です」

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