冬の高校スポーツ全国大会 サッカー男子 14年ぶりの舞台で真価を問う大分鶴崎 【大分県】
14年ぶりの出場となる全国高校サッカー選手権大会に臨む大分鶴崎。選手たちは浮ついた気持ちを一切見せず、真剣なまなざしで大会への準備を進めている。チームを率いるキャプテンの志賀杏陸(3年)は「県代表として恥ずかしくない試合をしたい。自分たちのサッカーを出し切り、勝利をつかむ」と力強く語った。その表情には覚悟と責任感が宿る。
対戦相手が帝京大可児(岐阜県)に決まった翌日には、早速試合映像を集め、徹底した分析が始まった。先発メンバーだけでなく、ベンチメンバーを含めた選手一人一人の特徴を洗い出し、相手の強みと弱点を徹底的に研究。首藤謙二監督は「特徴のあるチームだからこそ、対策が立てやすい」と分析の手応えを語る。練習では、対戦相手の名前や特徴を具体的に挙げ、想定される状況を再現。選手たちは真剣な表情で対応策を体得し、ピッチ上での即応力を磨き上げている。
指揮官である首藤監督は大分鶴崎のOBで、高校1年と3年の時に全国選手権に出場した経験を持つ。「高校生にとって全国選手権は特別な舞台。その景色を見ることで、その後のサッカー観が変わる。だからこそ1試合でも多く戦わせたい」と熱い思いを口にする。この言葉はチーム全体に浸透しており、とりわけ今大会が最後となる3年生たちのモチベーションは格別だ。
全国選手権に向けて士気が高まる
3年間積み上げた「自分たちのサッカー」への思いは強い。志賀は「全員がボールに関わるパスサッカーで勝ち上がる」と充実感をにじませた。しかし、全国大会では県予選以上に厳しい試合展開が予想される。志賀は「全試合無失点だった県予選とは違い、全国では先制される場面も考えられる。そんな時のボールの動かし方や、セットプレーでの得点パターンをチームで共有している」と冷静に分析する。
今週末には全国選手権に出場する九州の代表校との練習試合が予定されており、仕上げの段階に入っている。首藤監督は「全国トップレベルのチームと試合をすることで、スピードや強度を肌で感じられる。この経験を帝京大可児戦に生かし、ピークの状態で臨みたい」と語る。
苦しい局面を乗り越え、自分たちのサッカーを貫く―。その覚悟と努力が、大分鶴崎に新たな歴史を刻むかもしれない。
過去最高の16強超えに期待が高まる
(柚野真也)