「そして受賞者は…」というタイトルのメールを開いた5秒後、強引な展開に1周回って感動した
何かのコンテスト結果ではないかと、そう思いながらメールを開いた。なにせタイトルは「そして受賞者は…」。
これを見たら、多くの人が同じように考えるに違いない。そして、それは別に間違いではなかった。たしかに、コンテストの結果が発表されていた……が! 最後の力技がすごかったのである。
・フォトコンテストの受賞者発表
最初に言っておくと、メールの主な内容はフォトコンテストの受賞者発表だった。なんでも、「Wiki Loves Earth」というコンテストのようだ。
Wiki。そう、あのウィキペディア(ウィキメディア)が主催する写真コンテストである。
ウィキペディアからのメールと聞くと、“そっち” が目的? と思う人は多いかもしれない。実際、私も “そっち” を連想した。
だけど、もし仮に最終到着点が “そっち” だとして、コンテストの受賞者発表からどうやって “そっち” に持っていくのか? どのような誘導になっているのか? という視点で読み進めていくと……
「Wiki Loves Earth」の紹介的な文言があり……
受賞作品の発表があり……
「あなたはコミュニティの大切な一員です」的な文言があり、「心よりの感謝を込めて ウィキメディア財団チーム」で締められていた。
しかし! ここで終わりではなく……
追伸でウィキペディアのオンラインショップ(Wikipedia Store)で使えるクーポンコードが。
というわけで、メールの目的は “そっち” ではなかった!
……と思わせておいて!
追伸のあとに……!
寄付の催促!!
やっぱり “そっち” か……!!
・カモフラージュもここまで来たか
よくよく考えてみれば、もし仮に「寄付お願いします」というメールタイトルだったら、見た段階でスルーする人が続出してもおかしくはない。
今回のように、「そして受賞者は…」というタイトルだから安心してメールを開いたって人は、私を含めて多いに違いない。
その意味で、ウィキペディアのやり口はクレバーと言えなくもないかもしれないが……「結局寄付かよ! ふざけんなよ!」ってなる人も少なからずいるだろう。
そもそも、通常だったら寄付依頼の前に何らかの理由が説明されているもの。「こういう状況だから寄付お願いします」という感じで。
過去に受け取ったウィキペディアの寄付催促メールもそうだった。
しかし、今回のメールにそのような説明はない。
とくに後半、「追伸」の後からでも寄付へと持っていく剛腕っぷりは特筆すべきものがある。なんというか、超人的なジャンプ力を見せつけられた気がした。
そして何よりビビったのが……
このメールを受け取った日(2025年7月16日)の2週間ほどまえに、私が実際にウィキペディアへ寄付をしているということ。詳しくは以前の記事をご確認いただきたいが、少額であるもののたしかに寄付をしているのだ。
そのため本メールには「寄付ありがとう」というニュアンスが含まれていた。にもかかわらず、さらに寄付! 新興宗教かよ。
いや、違う。こういう強引さがあるからこそウィキペディアという巨大組織が支えられているのだ……ということにしたい。
少なくとも、そのように考えるとイヤな感じがしないし、なんなら1周回って感動してしまう。さすがウィキペディア! やり手すぎる!! という風に。
執筆:和才雄一郎
Photo:RocketNews24.
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