「まちの未来」市民とともに 小田原市 加藤憲一市長
――昨年5月の市長選を経てからの7カ月は。
「市役所に4年ぶりに戻りましたが、12年間いた場所なので違和感はなかったです。就任後、以前から感じていた人口減少や少子高齢化、地域コミュニティの停滞、公共施設の老朽化といった課題を再確認しました。福祉や都市基盤の現場でも課題が深刻化しており、市立病院など各分野でも取り組むべきことが多々あると感じています」
――明るい兆しは。
「市民の皆さんの力が落ちたかというとそうではなく、コロナ禍が明けて活気を取り戻しており、移住者や事業者の増加にも可能性や伸びしろを感じています。小田原が有する多彩な『力』が大きく花開くよう、市民参画で市政を進めます」
――昨年の印象的な出来事を教えてください。
「8月の台風第10号による被害が甚大でした。近年では例を見ない規模だったこともあり、対応に全力を注ぎました。他には新病院の建設が着々と進んだこと、三の丸ホールの来館者が100万人を迎えたことなど、これまでの取り組みが成果になりつつある1年だったと思います」
市民と新たな総合計画
――2025年に重点を置きたいことは。
「今年は新たな総合計画が始動する年です。市民参画を得ながら実行計画を作り始めますが、持続可能な社会の実現を目指し、『誰もが笑顔で暮らせる、愛すべきふるさと小田原』という将来都市像の下、5つのまちづくりの目標を置きました。地域福祉の強化や学校給食の質の向上、平和施策の推進に取り組む『いのちを大切にする小田原』、カーボンニュートラル実現に向けた再生可能エネルギーの導入推進、環境保全活動を地域経済にもつなげようという『自然環境の恵みがあふれる小田原』、市民活動の活性化や主権者教育にも目を向けた『未来を拓く「人」が育ち地域の絆が結ばれる小田原』、農林水産業や観光といった多様な資源を経済活動につなげようという『地域経済が好循環し、多彩な資源が花開く小田原』、市民会館跡地の活用など、都市機能の強化や生活利便性を向上させる『安心して暮らすことができる小田原』です」
――市民へのメッセージをお願いします。
「25年は皆さんもこれまで以上に地域の課題やテーマについて踏み込んで関わっていただきたいと思います。皆さんと一緒に知恵を出し合い、小田原の未来を築いていきましょう。本年もどうぞよろしくお願いします」