【ひざの寿命を延ばす!】ひざの痛みと変形を防ぐために「軟骨を守る」方法
「ひざの痛み」に悩むあなたへ。書籍『となりの先輩患者 自分で改善する変形性膝関節症・ひざ痛』(KADOKAWA)は、つらいひざの痛みを乗り越え、「痛みなく歩けるようになった先輩患者さんの実践法」を集めた一冊です。理学療法士であり予防と治療のプロフェッショナルである川内 雅和氏が、実践しやすい生活の工夫や効果的な運動法を丁寧に紹介してします。膝の疲れをやわらげるマッサージ法や再発を防ぐ生活習慣など、生活全体を見直すトータルな改善方法がわかります。今回はこの本の中から、「痛みなく歩ける毎日」を取り戻すために知っておきたいことをご紹介します!
※本記事は川内 雅和(著)による書籍『となりの先輩患者 自分で改善する変形性膝関節症・ひざ痛』から一部抜粋・編集しました。
そもそもどうして痛む? "ひざに優しい体の使い方"がひざ痛をよくする第一歩
「ひざの痛みを改善したい」。そのために、まず考えなければいけないのは、「ひざへの負担を減らすこと」です。
ひざを深く曲げ続けたり、体重をかけ続けたりすることなどが、負担になります。負担がかかり続けると、衝撃を吸収するクッションである「軟骨」がすり減って、弾力性が失われていきます。軟骨がすり減ると、ひざを包む「滑膜(かつまく)」を軟骨の破片が傷つけたり、骨同士がぶつかりやすくなったりして、ひざの痛みや変形が起こります。一度すり減った軟骨を完全に元通りに増やすことはできません。しかし、負担を減らすことで、軟骨を守り、痛みや変形を防ぐことはできます。
軟骨をすり減らさずにできるだけ長く保てば、健康なひざで歩き続けられます。その過程で、痛みは徐々に改善していきます。人間の体は、食事や運動によって、日々少しずつ筋肉が増え、ひざに優しい体の使い方ができるようになります。それは何歳になっても変わりません。ぜひ長い目でみて取り組んでいきましょう。
【ワンポイント】ひざの健康は全身の健康につながる
ひざ痛を減らしてスムーズに歩けるようになると、生活や趣味の活動も活発に。心身の健康状態がよくなる好循環が生まれてサルコペニア*予防にもなります。
*年齢とともに全身の筋肉量が低下すること。サルコペニアになると、歩いたり立ったりすることが困難になり、進行すると介護が必要になることも。
ひざの軟骨は負担によって収縮する
負担がかかっているとき
軟骨がつぶれて関節液がしみ出る
ひざに負担がかかると軟骨が圧迫されて、衝撃を吸収する。軟骨にしみ込んでいる関節液がしみ出る。
関節液
関節内を満たす液体で、軟骨の栄養を含む。ひざの動きをスムーズにする。
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動作のなかで繰り返す
負担がかかり続けると軟骨がもとに戻らずにすり減っていく
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負担がかかっていないとき
軟骨がもとに戻り関節液がしみ込む
負担がかかっていないときは、圧迫されていた軟骨がもとに戻る。関節液が軟骨にしみ込んで、軟骨に栄養が届く。