沖縄美ら海水族館が世界で初めて<ホシカイワリ>の繁殖に成功! 幼魚の展示を実施
深海生物やサンゴ礁に生息する魚など多種多様な展示を行っている「沖縄美ら海水族館」。同館では希少生物の繁殖に関する研究が積極的に行われています。
これまでにイバラエイやヒョウモンドジョウの繁殖に成功したほか、10月24日には世界で初めて繁殖に成功したヨナグニスベトカゲの展示を開始しています。
そうした中で今回、沖縄美ら海水族館はホシカイワリの繁殖に世界で初めて成功したと発表しました。
希少な生物を多数展示する沖縄美ら海水族館
多種多様な生物展示を行うことで知られる「沖縄美ら海水族館」では希少な生物も見られ、これまでにオニキホウボウやチュラシマハナダイなど、他では見られないような生物が公開されてきました。
展示されている生物から分かるように、同館は深海調査にも力を入れており、2008年からROV(無人潜水艇)を導入しています。
ROVを用いた調査では、2022年に和名が提唱されたコゲメヤセムツ Epigonus elongatus 、2024年に新属新種として記載されたチュラウミゴカクヒトデ Churaumiastra hoshi など、これまで日本初記録種や新種が発見されています。
最近では、ROVで採集された希少なハゼ科魚類「クガニウミタケハゼ Pleurosicya annandalei 」が生体展示されるなど、ROVの活躍はとどまることを知りません。
沖縄美ら海水族館の繁殖に関する取り組み
ROVを用いた調査で多くの成果を出している沖縄美ら海水族館ですが、繁殖に関する研究も盛んに実施しています。
同館はこれまでに初繁殖認定(日本動物園水族館協会に加盟する動物園や水族館で、国内で初めて飼育動物の繁殖に成功した団体に与えられる)を数多く授与しており、2024年度はイバラエイをはじめとする水族館飼育6種が認定されました。
さらに、与那国島からのみ見つかっているヨナグニスベトカゲの繁殖に世界で初めて成功し、10月24日より展示が開始されています。
ホシカイワリの繫殖に世界で初めて成功
今回、沖縄美ら海水族館が繁殖に成功した生物はホシカイワリTurrum fulvoguttatum というアジ科の魚。本種はアジ科の中では大型になる種で、全長70センチほどになります。
暖かい海の岩礁域に生息し、日本では九州や琉球列島に分布。大型になることから食用とされており、成魚は市場にも出るようです。
また、本種は成魚と幼魚で姿がやや異なり、成魚はレモンのような体型をしていますが、幼魚では体高が高いことが特徴。成魚は体側に“ホシ”の由来にもなっている黄色班が散らばりますが、幼魚では不明瞭な暗色横帯が数本見られます。
美ら海水族館では「黒潮の海」大水槽で展示していたホシカイワリ成魚が、季節に応じて産卵していることを確認。受精卵を採取し、孵化および飼育に成功しました。
繁殖の過程ではホシカイワリ仔魚の初期成長において、カイアシ類が適した餌であることも明らかになったのです。
今回、繁殖が成功したホシカイワリ幼魚は「サンゴ礁への旅 個水槽」で展示されています。
生きたホシカイワリを見れるチャンス
ホシカイワリは南方に生息する魚のため、日本では見る機会が少ない魚といえます。特に生きた姿を見ることはほとんどないでしょう。
実際に水槽で泳ぐ姿を観察し、新たな発見が得られることも少なくありません。この機会に生きたホシカイワリ幼魚を観察してみてはいかがでしょうか。
詳しい情報は沖縄美ら海水族館公式WEBサイトで確認することができます。
※2025年11月1日時点の情報です
(サカナト編集部)