32年ぶりの上げ幅 “日本一好待遇な”静岡県職員の給与 県民は理解と疑問交錯
■月給2.61%、ボーナス0.1か月引き上げ勧告 初任給も大幅増加へ
静岡県人事委員会は県職員の月給とボーナスを引き上げるよう、鈴木康友知事に勧告した。月給の上げ幅は2.61%で32年ぶりの高水準となる。理解を示す県民がいる一方、疑問を投げかける県民も少なくない。
県人事委員会によると、行政職(平均年齢42.4歳)の4月分給与は38万1506円だった。民間企業の月給と比べて、9988円少ないという。比較した民間給与は企業規模50人以上かつ、事業所規模50人以上の県内民間事業所1746か所から無作為に抽出した442か所の4月分給与を調査した結果としている。
この差を埋めるため、県人事委員会は月給2.61%、ボーナス0.1か月分の引き上げを鈴木知事に勧告した。今回の勧告では初任給も大卒で2万3000円、高卒で2万3600円引き上げられる。
また、月給とボーナスに加えて、県内一律の地域手当を3.7%から4.15%に引き上げ、通勤手当の支給限度額も8万円から15万円に増額する。この通りに改定されると、手当てを除いた影響額が92億5300万円に上る。勧告を受けた鈴木知事は次のようにコメントしている。
「国や他の都道府県の動向などを注視しながら、勧告を尊重するという基本姿勢で臨みます。また、来年度からの給与制度のアップデートにつきましても、同様の基本姿勢に立ちながら、本県の実情を十分検討して、適切に対応したいと考えております」
■静岡県職員の給与は全国で最も高水準 県民の声は?
静岡県職員の給与は全国で最も水準が高い。国家公務員の給与を100とした場合の地方公務員の給与を数値化した「ラスパイレス指数」で、静岡県は昨年度、全国トップの102.2だった。国家公務員よりも2.2%分、多くの給与を受け取っていることになる。
1992年の2.83%以来、32年ぶりとなる高水準の引き上げに、理解を示す県民もいる。物価高騰による生活費の負担増加や人材不足を背景に民間企業が従業員の給与を引き上げていることから、「公務員も民間と同じように給与の引き上げが必要」、「以前ほど公務員は人気のある職業とは言えない。給与を上げないと優秀な人材が集まらない」といった声が上がる。
一方、給与引き上げに否定的な県民もいる。県人事委員会の比較方法に疑問を投げかけ「事業所規模50人以上の民間企業を基準にしても実態を反映しているとは言えない。県職員が現在の給与に見合う仕事をしているのか県民は納得しているのか」、「仕事内容を見ると、なぜ他の都道府県よりも高い水準なのか理解できない。IT、AI化を平均的な民間企業並みに進めれば、もっと職員の数を減らせるはず。給与引き上げの前にやるべきことがある」などの意見もある。
(SHIZUOKA Life編集部)