「選挙に行っても変わらない」でなく「行けば変わる」
大竹まことがパーソナリティを務める「大竹まことゴールデンラジオ」(文化放送・月曜日~金曜日13時~15時30分)、6月11日の放送にネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』主宰でジャーナリストの神保哲生が出演。都議会選挙や参議院選挙を前に、メディアのあり方や投票の重要性などを語った。
神保哲生「世の中的にいうと今月は都議会議員選挙、来月は参議院選挙もある。政治的には選挙モードに入っていて。逆にいうと政府が打つ施策、野党が要求する内容もすべて選挙を意識したもの、一言でいえば『人気とり』になっている、というところだと思います」
大竹まこと「そうですねえ」
神保「現金給付するかしないか、コメをどうする、1個1個は妥当性を検討しなければいけないと思うんです。一方7月、国政選挙になるわけです。国会の構成も変わる、これから国が進む方向を選ぶ。特に衆議院のほうで少数与党になっていることからいうと、そこで与野党逆転すれば政権交代もあり得る、という状況です」
大竹「はい」
神保「その中で出てくる話、あまりに小さい。もっといえば、有権者にとって選択肢になるAとBがあります。Aだと日本はこうなります、Bだとこうなります、という選択肢になっていないんですよ。AとA’とA”の中から選ぼう、としかなっていない。投票に行くほうもイヤになる。その停滞がなぜなのか、どうすればいいのか、ということを最近、考えています」
大竹「大きな問題をつついてなんとかしていく。メディアがどうしていくか、ということも関わってきますね」
神保「メディアの問題もすごく大きいと思います。いま日本が危機的な状況にある、先進国の座から落ちようとしている、と。年金や、なんの問題をとっても。そこに問題の根底があるけれど、そういう暗い話って特にテレビは取り上げない。数字をとれない、恐らくスポンサーも喜ばない。一方でコメについて小泉さんがどうこう、と話していればわかりやすいし、興味を持たれやすいんだと思います。そういうネタを差し出されて、食いついて、駆り出されている状況でいる」
大竹「うん」
神保「本当の問題を考えようとしても、突然、経済指標だけ見せられて『ヤバいでしょう』と言われてもヤバいと思えない。テレビは20秒以上説明があるとチャンネルを変えられるような世界だから、現状の危機的な状況を認識している人があまりいない。おめでたい状況ですよ。ゆでガエル状態だ、と言う人もいます。選挙があるからもうひとつ言うと、韓国で先日、大統領選挙がありました。投票率が約80%です」
大竹「はい」
神保「ご存じのとおり日本の投票率は、いま50%台前半なんですね。先進国ではアメリカと日本とスイスだけがそうで、恥ずかしいぐらい低い。半分の人しか投票していない、と。じつはこれまで投票率が70%を超えたとき、政権交代が起きているんですよ。その20%ぐらいの人が投票に行けば、政権交代は起き得るんですよ」
大竹「なるほど」
神保「起きるということは多くの人が『これじゃいけない』と思って投票に行くから世の中が変わる、と。『自分が行っても変わらない』と思っているのは逆なんですよ。あなたが行かないから変わらないんですよ、と。主従関係でいえば、行かないことが主で変わらないことが従である、と。そこは繰り返し伝えてほしいですね。行けば変わるよ、と」