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HYDE『HYDE [INSIDE] LIVE 2024 -EXTRA-』インタビュー――ゴシックでサーカスっぽい雰囲気をライヴに

encore

――HYDEさんは毎回ツアーの映像作品をリリースされていますが、今回は『HYDE [INSIDE]』が5年ぶりのニューアルバムだったこともあり、ライヴへの思い入れも大きかったのでは?

「そうですね。ニューアルバムをようやくリリースした後のツアーだったので、これまでとちょっとコンセプトを変えて、1回自分好みな世界観を見つめ直して作り直しました。少しゴシックだったりサーカスっぽい雰囲気を入れ込んだ激しいライヴに、という感じですかね」

――アルバムの反映という部分もあると思うのですが、ひとつのショーとしての見せ方にこだわられた部分が大きいのかなと。

「アルバム自体は「LAST SONG」以外はお客さんがライヴで暴れやすいような曲を意識して作りました。ただ、キモになってるのは「LAST SONG」なので、この曲をいかに印象づけるかのためにずっと激しくやるっていうライヴを心がけました」

――今年もこの「HYDE [INSIDE]」ツアーは続くわけですが、映像作品はネタバレというレベルではもはやないという認識なんですか?

「まあ映像と実際のライヴは別物だと思うし、これを観てまたライヴに行きたいと思う人もいると思うんですよね。なので、むしろこれを観て勉強してから来いよ!ぐらいの気持ちもあります」

――なるほど。HYDEさんはライヴ映像のプロデュースもされてますが、観せ方やカメラワーク、例えば客席が映ることに関してはどういうこだわりが?

「あまり自分の映像を観るのは好きじゃないんですけど、観るときはファン目線を意識するので、僕にしか分からないファンに見せたいところと、ファンならこれ見たいだろうなというところがしっかり映っているかをチェックしますね。 “ここはファンが盛り上がってるところをなるべく映して”っていう部分だったり、 “今ここバンドメンバーがカッコいいことやってるからもっと違う絵があるんじゃない?”とか、そういうことを言う場合が多いですね。客席の絵は元々ちゃんと撮るように言ってあるので。もうそれこそVAMPSの時からカッコいいファンがいたら撮ってねって言ってます」

――音楽性からすると当然ではあるんですが、想像以上に激しいライヴで。

「でも、もともとこういうライヴがやりたかったんで、やっとできたって感じですかね。これまではミドルテンポの曲も多かったんですけど、『HYDE [INSIDE]』っていうアルバムができたことによってやっと自分の思い通りのことができたなと思います」

――その思い通りっていうのはHYDEさんがロックバンドを始めた頃からの一つの理想みたいなものですか?

「考えるとそうかもしれないですね。学生の頃はそういう激しいライヴに行ってたので、今それを追っかけてる感じですね」

――当時の全然コントロールされてないライヴハウスとは違うけれど、HYDEさんの中にある原初的なロックやパンクのライヴが理想?

「昔とは違いますよ。昔はトゲがついた人とかいっぱいいたし、“そんな靴履いてたらパンクの客にしばかれるよ”とか(笑)。そんな世界観でしたもんね」

――そうですね(笑)。ところでキャラクターが濃くて辣腕揃いのバンドメンバーは、HYDEさんにとってどういう存在ですか?

「このツアーはほぼ同じバンドメンバーで回れたんですよ。みなさん売れっ子のメンバーばかりなので、ここまではこの人、ここから先はまた別の人みたいな感じでツアーをやってたんですけど、今回は最初から最後までほとんど同じメンバーでできたので、阿吽の呼吸というか、そういうのが今まで以上にまとまったライヴができましたね。そういう意味でも信頼できるというか、わざわざ言わなくても大丈夫みたいな部分は増えました」

――キーボードソロでやギターバトルなどプレイヤーの見せ場も多いじゃないですか。それも意図的に残しておこうと?

「そうですね。バンドメンバーも皆、ひとりでも十分表現できるアーティストなので、ぜひそういう部分も残しておきたいなっていうのと、あとは彼らの存在自体が演出の一部なんですよね。見世物小屋的なイメージのステージをやってるので、ああいうちょっと奇妙なマスクを着けた人たちが演奏してるっていうのもトータルで見た時に僕の世界観を表しているというか。みなさん実際はイケメンなので勿体無いのですが」

――セットも見どころですが、冒頭からいきなりの演説台、あれはサーカスの調教師のようにも独裁者のようにも見えるじゃないですか。HYDEさんの中ではどういうアイデアなんですか?

「あれはまさにそういう世界観なんですけど、もともとはフェスの演出として考えたものだったんです。限られた舞台上で何ができるだろう?ってところですかね。フェスって、結構シンプルなライヴが多いじゃないですか。何も舞台セットがないような。僕は逆にそれは狙い目だと思って、できる限りのエンターテイメントを追究してやろうと思って。演説台はそのなかでできることのうちの一つですね」

――セットリストはアルバムの流れに近いですが、どういうことを意識されてましたか?

「幕張メッセ公演はツアーの国内ラストだったんですけど、そこまでのツアー中はまだアルバム自体はリリースされてなかったんですよ。だからあえてアルバムの曲を極力減らして、カバーの曲だったりをやったりしてたんです。やっぱり自分にも新鮮さが欲しいんで、最後に全部やろうと思って。そういう意味では新鮮な気持ちでアルバムの曲を全部やれたので楽しくできましたね」

――このライヴ映像を観ていると、アルバムが理想的なライヴをやるための作品として存在してるように感じます。

「もともとアルバムを作ってる時からライヴのことをずっと考えながら曲を作ってたので。特に「LAST SONG」は、どうしてもあそこで紙吹雪が降る演出をしたくて曲を作ってましたね。作曲がなかなかうまくハマらなくて、いろんなアレンジャーの人と何回も作り直して。そんな曲たちがやっと完成してやっとそのライヴが映像化してっていう感じです」

――ミュージックビデオのような仕上がりですもんね。では逆にライヴで、この曲化けたなっていう曲ってあったりしますか?

「結構今回のアルバムは予想通りなところが多いので、ちょっと意味は違うかもしれないですけど「永久 -トコシエ-」は演奏的にも楽曲的にもちょっとどうなるんだろう?と思いながらやってみたら案外ライヴの中に溶け込むいいポイントを持ってきてくれるな、って思いましたね。これまでなかった方向性でいいポイントを持ってきてくれる、ダークなんだけど壮大な感じがしました。“あ、こういうのなかったな”って」

――バリエーションの一つとして面白い立ち位置だったなと?

「セットリストの中でも一端落ち着くこのブロックは、これまでただ単にちょっとバラードっぽいのが来て落としてただけなんだけど、この曲はまたちょっと別の方向でバラードっぽいっていうか、ライヴの雰囲気を作るのに効果的で予想外でした」

――そしてHYDEさんがいきなり血まみれで登場するくだり。映像で見てるとこの間に何が起こったんだろう?と。

「昔もやったことあるんですけどね。その時はバンドメンバーにも何も言わずに突然その演出をやったら、メンバーが“ヤバない?HYDEさん、ヤバいって!”って本当に怪我してると思われて。“いや、血のりだから”ってあとから言ったけど、ステージ上ではヤバい、ヤバいってみんな思ってたらしいです(笑)」

――実際に怪我する可能性もなきにしもあらずですからね。

「そうそう。結構僕もやんちゃに激しく体動かしてやってるとこあるんで。だからしょっちゅうマイクを歯にぶつけてよく欠けるし。ライヴって自分でもちょっと調子に乗っちゃうとこあるから、怖いですよね。」

――「LAST SONG」の映像は悲劇的なヨーロッパ映画とか、バンドだとゴシックやネオサイケ系のバンドみたいな質感で。

「そうですね。その時代の血を引いてますからね」

――曲のストーリーありきだと思いますが、綺麗事じゃない演出だし、ここまで見せるのか……と?

「ファンの子も結構賛否両論、“そんなことしなくても充分伝わるよ”って言ってくれるんですけどね」

――トゥーマッチってことですか?

「そうそう、やりすぎって(笑)」

――とはいえ、狂気と死みたいなことって綺麗事ではないし、これをステージ完成するのがすごいなと。じゃあHYDEさんの中で完成したかったものができた?

「そうですね。血のりをインターバルの間にきれいにするのが大変ですけどね(笑)」

――でも再登場するの早かったじゃないですか。

「そうなんです。ほとんど一瞬で風呂入ってるみたいな感じ(笑)」

――それぐらいの勢いで(笑)。そのあと本編は終わっているのか続いてるのか?というふうにも見えますね。いわゆる本編とアンコールという定石ではなく。

「その辺はどうしようかなと思ってたんですけど。あのまま終わっちゃうとファンの子はどうなんだろう?と思って。で、結局行き着いたところが本編の最後に衝撃的な「LAST SONG」を持ってきて、アンコールは何事もなかったようにやるっていう(笑)。それがトータルでサーカスっぽい感じの演出になるかなと思って」

――必要以上に説明的じゃないのがいいですよね。そして「PANDORA」以降は序盤とは違うアッパーなハードさで。MY FIRST STORYのHiroさんが出てくるあたりはかなり素って感じが……

「はい。しましたね」

――お2人のボーカルのコントラストが明快で。

「ルックスも全然違いますからね。彼は好青年って感じ。彼、結婚したばっかりだったから、幸せオーラ満開でしたね(笑)」

――確かに(笑)。終盤はコラボナンバーやポピュラーな曲が続くこともあって、序盤の暗いとこから光があるところに移っていくようなイメージがありました。

「もうそうしないと曲順的に成立しない、みたいな(笑)。1回「LAST SONG」で区切って、で、残りの曲を消化するって感じです」

――フェスで参入してきた新しいファンの方にも観てもらいたい作品でもありますか?

「やっぱり新陳代謝というか、ある意味ファンのことをそこまで信用してちゃ駄目だと思うんですね。もちろんずっと好きでいてくれるファンもいますけど、別に何の契約もないわけで、他にいいアーティストが出たら流れていくファンもたくさんいるし。やっぱりそこでフェスなどに出ることによって新しいファンを引き込むことはアーティストとして重要なので」

――いわゆる純然たるHYDEファンの人は結構ベテランというかライヴ慣れしてる人が多いじゃないですか。客席を見てこの子たちはきっと最近のファンだなというのは分かったりしますか?

「いや、それがあんまり分かんないんですよね。男の子をもっと増やしたいなと思ってますけど、なかなかね」

――男子募集中って感じですね。

「そうなんですよ。8月に「BEAUTY&THE BEAST」という男性と女性でエリアを分けたライヴをやるんですけど。去年までは1Fが男性、2Fが女性という区分でやってなんとか成立したんですけど、今年は2daysで1Fフロアを縦割りにしてやるんで、ぜひ男の子にたくさん来てほしいな」

――ワールドツアーが再びスタートしますけれど、2024年と大きな変化はあるんでしょうか?

「楽曲的にも演出もそんなに変わらないです。ただ、気持ち的には歌にもうちょっと集中したいなと思ってて。だからちょっと僕自身のスタンスが変わる可能性があります。演出は変わらないけど、もっと歌に集中してやりたいなと思ってます」

――HYDEさんがいまシンパシーを持つ表現ってどの辺ですか?

「ハードコアパンクに近いですね。あの辺の感覚でもうちょっといいところないかなと思って今回挑戦したいなと思ってます」

――ショーというよりもっとコアなものといったかんじでしょうか?去年ライヴを観た人も2025年の今回のツアーでまた新しい面白さを発見できそうですね。

「はい。去年はちょっとエンターテイメントに振り過ぎて、ライヴの軸がブレてしまう可能性を感じたので、今年はより歌に集中して、そっちを掘り下げていきたいなと思います」

(おわり)

取材・文/石角友香

2025年6月21日(土)Zepp Haneda(TOKYO)
6月22日(日)Zepp Haneda(TOKYO)
6月24日(火)Zepp Haneda(TOKYO)
6月25日(水)Zepp Haneda(TOKYO)
7月6日(日) Zepp Sapporo
7月12日(土)Zepp Fukuoka
7月13日(日)Zepp Fukuoka
7月16日(水)Zepp Osaka Bayside
7月17日(木)Zepp Osaka Bayside
7月23日(水)Zepp Nagoya
7月4日(木)Zepp Nagoya
8月9日(土)KT Zepp Yokohama *BEAUTY&THE BEAST
8月10日(日) KT Zepp Yokohama *BEAUTY&THE BEAST
8月23日(土)Sendai PIT
8月24日(日)Sendai PIT
8月29日(金)Circo Volador(メキシコシティ/メキシコ)
9月5日(金)Caupolican Theatre(サンティアゴ/チリ)
9月7日(日)Palermo Groove(ブエノスアイレス/アルゼンチン)
9月14日(日)Carioca Club(サンパウロ/ブラジル)
11月14日(金)Bataclan(パリ/フランス)
11月18日(火)Essigfabrik(ケルン/ドイツ)
11月20日(木)TivoliVredenburg(ユトレヒト/オランダ)
11月23日(日)Berns(ストックホルム/スウェーデン)

HYDE [INSIDE] LIVE 2025 WORLD TOUR

2025年7月2日(水)発売
初回限定盤(Blu-ray)/UIXV-90029/90030/11,000円(税込)
通常盤(Blu-ray)/UIXV-10025/6,600円(税込)
通常盤(DVD)/UIBV-10062/5,500円(税込)
ユニバーサルミュージック

HYDE『HYDE [INSIDE] LIVE 2024 -EXTRA-』

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