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古代中国人の信じられない出産方法 「母親は立ったまま出産していた」

草の実堂

写真②古代の出産スタイル

出産スタイル

出産を経験した女性たちは、いつの時代も偉大であり、心から尊敬に値する存在である。

現代では、出産に関する選択肢が多様化しており、産婦人科だけでなく、自宅出産や水中出産を選ぶ母親も増えている。

出産方法も自然分娩、計画分娩、帝王切開など、様々な形態が存在し、分娩時の姿勢も横たわるだけでなく、横向きや四つん這いなどのスタイルもあるそうだ。

いずれの方法を選択しても、出産は母親にとって大きな負担を伴うものであり、人生における一大事である。

さて、今回は1500年ほど前の古代中国における出産について、その驚くべき実態を取り上げてみたい。

現代とは大きく異なる彼女たちの出産スタイルを知ることで、古代の女性たちがどのように命を紡いできたのか、その一端を垣間見ることができるだろう。

直立出産

中国の南北朝時代(およそ5世紀から6世紀)に書かれた医書には、当時の女性たちがどのように出産していたかが詳細に記されている。

現代の私たちが想像するようなベッドでの出産とは異なり、当時の中国女性たちは立ったまま、あるいは地面に腰を下ろして出産していたのだ。

文献には、「古時婦人產,下地坐草,法如就死也」という言葉があり、これは女性が地面に草を敷いて腰を下ろし、出産に臨んでいた様子を表している。

この草は、生まれたばかりの赤子が落ちても怪我をしないようにするため、また出産時の出血で家が汚れるのを防ぐために使われていたようだ。

画像 : 古代の出産スタイル 妊婦を支える「抱腰人」※李貞德

もちろん妊婦が一人で立ち続けたり、腰を下ろした姿勢を保つのは非常に困難であった。
そのため、「抱腰人」と呼ばれる助産婦が、妊婦を支えていた。

抱腰人は、現代の助産婦のような存在で、上記画像のように妊婦の脇を抱えて支え、分娩中も妊婦が安心して出産できるように寄り添っていた。

唐代(7世紀から10世紀)に入っても、基本的な出産スタイルは依然として立つか、腰を下ろすかのいずれかであった。
唐代の医学書『千金要方』では、出産の際に身体をどのように支えるかが強調されており、「抱腰人」が引き続き重視されていたことがわかる。

また、赤子が生まれた直後に、母親の元に連れて行かれることはなかった。
赤子の性別が期待に反するものだった場合、精神的なショックを受ける可能性があるため、母親の体調が安定するまでの3日から7日の間は赤子を別の場所で保護し、その後に母親と対面させるという手順が取られていた。

この手順については、唐代の文献にも記載があり、出産後の母体の安定が何よりも優先されていたことがわかる。

妊娠時期に禁じられていたこと

妊娠中に何を食べるかは、現代でも非常に重要視されている。

画像 : 張仲景 public domain

例えば、漢代(紀元前2世紀から紀元後2世紀)の名医である張仲景は、妊婦が安産を迎えるために「当帰散」という漢方薬を常用することを勧めていた。

南北朝時代には、妊娠7か月目に丹参、人参、当帰などで調合された「丹参膏」を服用することで、安産を助けると主張する医者もいた。

しかし、北斉の医者、徐之才(じょしさい)は、「丹参膏」は滑らかすぎるため、10か月目に服用すべきだと述べており、この考え方は唐代に入ってからも支持された。

さらに、徐之才は「逐月養胎方」という薬方を提供しており、胎児の成長に応じて産婦が食べるべき穀物や肉類を月ごとに推奨し、薬方で補うよう指示していた。これは現代で言うところの「月ごとの妊婦向けレシピ」といったところであろう。

一方で、古代中国には「妊娠中に避けるべき食べ物」や、行動に関する迷信的な考え方や習慣も多く存在していた。

当時の迷信は、主に以下のようなものである。

・妊娠中に醤油を食べると、子供の皮膚が黒くなる
・生姜を食べると生まれてくる子供が不格好になり、6本の指を持って生まれてくる
・男の子を産みたければ、オスの鶏や虎、豹をよく見ると良い
・女の子を産みたければ、母親が耳飾りや数珠を身につけると良い
・礼儀正しい子供を産むためには、きちんと揃っていないものは食べてはならず(例えばちゃんと切れてない肉など)、整頓されていない椅子には座ってはならない

これらはすべて、母親の行動が胎児に直接影響を与えると信じられていたためであり、母親が正しく生活することが子供の成長にとって非常に重要であると考えられていた。

イメージ 草の実堂作成

母親の気

古代中国では、母親の「気」が胎児に遺伝すると信じられていた。

これは、漢代以降に確立された「経絡」の考え方に基づいており、子供の見た目や性格は、母親の影響を強く受けると考えられていたのである。

例えば、唐代の文献には「子供が醜く生まれた場合、それは母親の行いに原因がある」といった記述が見られる。
このため、母親は妊娠期間中も正しい行動を取らなければならず、悪い言葉を口にしたり、汚い言葉を聞いたりすることは避けられていた。

このように古代も現代も、女性は子供を産み、次世代を育てるために多くの犠牲を払ってきたのだ。
母親たちに改めて感謝したい。

参考 : 『北斉書』『金匱要略講話』『古代人如何生子?分娩姿势大揭秘』
文 / 草の実堂編集部

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