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G-FREAK FACTORY、満員のZeppファイナルで咆える「またライブハウスで火の玉になろう」

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G-FREAK FACTORY

『G-FREAK FACTORY "HAZE" TOUR 2024-2025』2025.05.17(sat) Zepp DiverCity

7か月で36公演に及ぶ長い旅の果てに何が見えたか。5月17日、Zepp DiverCity(TOKYO)、『G-FREAK FACTORY "HAZE" TOUR 2024-2025』ファイナル。最新アルバム『HAZE』の評価は、ソールドアウトの客席が証明してる。開演前から火花を散らせば発火しそうな熱気だ。

幕開けは原田季征(G)、吉橋"yossy"伸之(B)、岩本"leo"怜王(Dr)、サポートの多畠幸良(Key)によるジャムセッションから。ルーツレゲエのリズムにメランコリックなピアノ、気迫のギターソロを経て茂木洋晃(Vo)が登場、おもむろに「アメイロ」を歌い出す。茂木と共に歌う声の大きさで、みんなどれだけ『HAZE』を聴き込んできたかよくわかる。「よく来たね、ありがとう」。茂木の声も弾んでる。

茂木洋晃(Vo)

「HAZEツアーファイナル、Zepp TOKYOソールドアウト、G-FREAK FACTORYはじめます」

茂木のいかしたフリースタイル口上から、原田の猛烈ヘヴィなギターリフがリードする「YAMA」、さらに吉橋の強烈スラップが度肝を抜く「FOUNDATION」へ。ドラムのレオを筆頭にパンキッシュに疾走する「WHO UNCONTROL」から、和風音階が印象的な高速ダンスチューン「REAL SIGN」へ。レゲエかと思えばハードコア、パンクかと思えばジャズ、そしてダンス。名付けようのないフリーキースタイルを爆音で浴びる、G-FREAK FACTORYの真価はやはりライブだ。

原田季征(G)

ここからはアルバム『HAZE』の楽曲を立て続けにぶっ放す。メロディアスなルーツレゲエ「ある日の夕べ」、弱き者への讃歌「voice」、そして攻撃的レゲエ「RED EYE BLUES」と、徐々に緊張感を高めながら、怒りと悲しみと愛を込めた茂木のメッセージが沁みる。明るくポップな曲調にメロディをはみ出すほど饒舌な歌詞を詰め込んだ「STAY ON YOU」、ハードコアとスカが激突する「ALL FOR SMILE」の、目がくらむほどまばゆい光に包まれたエンディング。ただ楽しいだけじゃない、笑顔になるためには怒りも悲しみも必要だ。G-FREAK FACTORYを聴くといつもそんな気になる。

「今日ここを選んでくれたみんな。混ざりっけなし、他のバンドのお客さんに気を使う必要は一切ない。好きなように楽しんでいってくれ」

活動28年、見ての通り今が一番最高です――。誇らしげな茂木の言葉に、大歓声と拍手で応えるオーディエンス。「Dandy Lion」の穏やかなリズムと包容力あふれる言葉が、満場一致の一体感を生む。ダンデライオン=たんぽぽの綿毛のように頼りないが、いつか再び種となって花を咲かせ、そして壮大なロックバラード「HARVEST」=収穫へと繋がるもの。コロナ禍の渦中の心境の変化を丸ごと詰め込んだ『HAZE』の楽曲は、続けて演奏することで何倍にも意味が深まって聴こえる。

吉橋"yossy"伸之(B)

「声出していこうかライブハウス!」と叫び、エンディングの歌詞をオーディエンスに託した「Too oLD To KNoW」から、ストレートなメロコアチューンに狂喜乱舞の「らしくあれと」へ。アッパーチューンで盛り上げたあと、長いMCの時間を取って、震災や戦争、経済不況やメディア汚染、分断社会について語る茂木の言葉は重い。しかし「疲れたら会いに来いよ」という言葉は強い。「一緒に歌おう」という言葉は優しい。オーディエンスの大合唱に茂木が耳をすます。「ダディ・ダーリン」の大らかな旋律とポジティブな歌詞が心に沁みる。夕陽のようにステージを染めるオレンジの照明が美しい。

岩本"leo"怜王(Dr)

「まだ行けるか? 疲れてないか?」

茂木の煽りに大歓声が応え、間髪入れず原田が歪み切った強烈なリフを繰り出す。攻撃的レゲエロックチューン「SOMATO」から吉橋のスラップが炸裂する「乞え~KOE~」へ、ライブはすでに終盤だが思いを残すことのなき完全燃焼パフォーマンスだ。さらに「BREAK ADDICTION」から「Unscramble」へ、茂木がシャツを脱ぎ捨てて熱く歌いまくる。曲間にもひっきりなしにメンバーの名を叫ぶ声が止まない。残すは1曲。

「自分が燃えていれば周りの人も燃える。自分が腐れば周りも腐る。全部経験してきました。寂しい時代、不格好、不細工、関係ねぇ。どうか燃えててください」

G-FREAK FACTORY

一緒に燃えて行こうーー。思いを込めたMCからラストチューン「Fire」へ、エモーショナルな旋律と強いメッセージ、壮大な感動がフロアを包み込む。全員の大合唱に支えられ、ステージに倒れ込むようにして茂木が歌う。「またライブハウスで火の玉になろう」と呼びかける。「ローカルバンドの最高傑作、俺らがG-FREAK FACTORYでした」――ラストを締めるフリースタイルの口上もばっちり決まった。

G-FREAK FACTORY

そしてアンコール。本編の緊張感とはうってかわって、レオと吉橋がリラックスしてしゃべってる。メンバーの気さくな人柄も、バンドが人を引き付ける大事な要素だ。茂木が元日本代表サッカー選手で群馬の友人・細貝萌に借りたというユニフォームとキャプテンマークを身に着けて「Parallel Number」を歌ってる。地元を背負って日本中を駆け巡る、ローカルの誇りが全身からにじみ出てる。明るいスカチューン「EVEN」でもうひと盛り上がりしたあと、ラスト曲「日はまだ高く」では客席から小さな子供たちを呼び込んでステージに上げ、バンドも観客ももみくちゃになって大騒ぎ。フロアを指さして「大人の笑顔を見ろよ」と子供たちに語り掛ける茂木の言葉は、どんな歌詞よりも子供たちに届いたかもしれない。音楽の、そしてこの国の未来がそこにあった。

あと2年で迎える結成30周年にはきっと何かやると、茂木は約束してくれた。地元・群馬で主催するフェス「山人音楽祭2025」も10年目を迎え、9月20,21日に開催が決まった。ツアーは終わったがG-FREAK FACTORYの旅は続く。どこまで行けるか見届ける。バンドのピークはまだまだこれからだ。

取材・文=宮本英夫 撮影=上坂和也

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