マーベルはポリコレに傾倒?「そうは思わない」とケヴィン・ファイギ ─ 「マーベルは窓の向こうの世界を描いている」
(MCU)作品は“ポリコレ”に傾倒している── これは、近年しばしば指摘される話題だ。
黒人ヒーローを描いた『ブラックパンサー』(2018)以降、マーベル・スタジオは多くの作品で多様性豊かなキャラクターやキャストを登場させた。これまでスーパーヒーロー作品で活躍することの多かった白人男性のみならず、さまざまな性別、人種、性的指向を包括し、作品に反映させている。
こうした傾向は、ときに“ポリコレ(ポリティカル・コレクトネス、政治的正しさ)”として扱われ、観客や評論家の間で賛否を巻き起こしてきた。ある層からは「時代に即した前向きな変化」として評価される一方で、「過剰な配慮が作品の純粋な面白さを損ねている」といった批判も根強い。
マーベル・スタジオのケヴィン・ファイギ社長は現地メディア向け記者会見に応じ、この指摘について。「マーベルは、“窓の向こうの世界”を描くものです。これはいつも言ってきたこと。DEI(多様性、公平性、包括性)や“ウォーク”が話題になる以前も、なった後もです。我々がそういうものを追ってきたかというと、そうは思いません」と述べた。
「窓の向こうの世界」を描くというのは故スタン・リーが遺したモットーだ。スタン・リーは生前より「私達のストーリーは皆さんのためのもの。人種、性別、信仰や肌の色を問いません。私達が決して描かないものは、憎しみや不寛容、そして偏見」と、多種多様な物語を語るコミックはその反映となっている。こうした実例において、このファイギの発言に偽りはない。
ドラマ「ミズ・マーベル」(2022)ではムスリム系の少女ヒーローを描き、パキスタン出身の新人イマン・ヴェラーニを起用。そのまま映画『マーベルズ』(2023)にも登場させた。ヴェラーニについてファイギは「我々が行った中でも最高のキャスティングのひとつ」と語ったが、再登場予定については「またどこかで彼女を見られるのが楽しみです」と留め、明言しなかった。
なお『マーベルズ』は、マーベル・スタジオが初めて単体赤字を経験する不振作となったが、これはドラマと連動した作品の成り立ちに原因があったとファイギはしている。ドラマシリーズからミズ・マーベルとモニカ・ランボーが登場したが、「“この2人は誰なんだろう? テレビに出ていたのかな、じゃあ見なくてもいいや”という感じになったのだと思う」とファイギは見ている。
カマラ・カーンをはじめ、ユニバースでは目下「ヤング・」結成の伏線があちこちで張られている。実現すれば映画か、テレビドラマか、それともテレビスペシャル、どのフォーマットになるかと尋ねられたファイギは「可能性はあります」と直接の回答を避け、「この場合、最適なストーリーは何か、最も奇妙な化学反応はどこにあるかがポイントになります。誰と誰が組んだら面白いか?ヤング・アベンジャーズだからこそ、もっと色々と混ぜ合うのも良いですね」とアイデアを膨らませた。
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