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知れば知るほどもっと知りたくなる不思議生物<クラゲ>の世界【私の好きなサカナたち】

サカナト

クラゲ(提供:PhotoAC)

Webメディア『サカナト』には様々な水生生物好きのライター(執筆者)が所属しています。そんなライターの皆さんが特に好きなサカナ・水生生物について自由闊達に語らう企画「私の好きなサカナたち」。今回はサカナトライター・天草せりひさんによる「私の好きなサカナたち」をお届けします。

僕は現在、クラゲをはじめ水生生物の魅力を広めるべく活動しています。

あるとき、深海に生息するとされているHalitrephes maasiという種のクラゲの映像を目にしました。その機械的で神秘的な姿に衝撃を受けたことを今でも覚えています。

「こんな不思議な生き物が自然界にいるのか」と驚き、その異様な美しさと未知の生態に心を引き寄せられました。

自身のルーツともなったクラゲのことがもっと知りたい!

クラゲの幼生(提供:PhotoAC)

一口にクラゲと言っても、その多様性は圧倒的です。

たとえば、生物分類上では水母亜門と有櫛動物門に分かれるなど、非常に多くの種類が存在します。

また、どのクラゲも独特な見た目や生態を持ちながら、その生活史のすべてが解明されているわけではありません。この未知の部分が、僕にとって大きな魅力でもあります。

一般的にクラゲというと、水族館で漂う幻想的な姿をイメージしがちですが、その一生は卵の姿からプラヌラ、ポリプ、ストロビラ、エフィラなどと多様に変態していき最終的にクラゲに至る……その成長過程では成体とは全く違う姿を見せてくれる生き物でもあります。

繁殖方法も種によって異なり、魚など他の水生生物と比べても複雑な生態系を持っています。

こうした点から、僕はすっかり自分のルーツであるクラゲの虜になりました。

様々な産業にも活かされているクラゲ

さらに調べていく中で、クラゲが人間の暮らしに深く関わっていたことにも驚かされました。

たとえば、オワンクラゲの持つ「緑色蛍光タンパク質(GFP)」は、生きた動物の体内にある特定のタンパク質や細胞を発光させることで、生命科学の研究に大いに役立てられるとされたことからノーベル化学賞を受賞しました。

また、「かに風味かまぼこ」として有名なカニカマができるきっかけとなったのが、人工的に食用クラゲを作る研究でした。

このように、学術的発見から日常生活の食品産業にまで関与しているクラゲは、学ぶほどに驚きと発見を与えてくれる存在です。

中でも注目<ミノクラゲ>の魅力

これほど多様なクラゲの中で、最近僕の心を最も掴んでいるのが、<ミノクラゲ>というクラゲです。

成長すると50センチ程度まで大きくなる東南アジアに生息するクラゲで、その外見はふわふわモフモフとしており、見るだけで癒されます。

さらに、泳ぐ姿がとても可愛らしく、そのしなやかな動きにすっかり魅了されてしまいました。

クラゲの魅力は、その特徴的な見た目だけでなく、生態や人間との深い関わりにもあります。

この魅力をもっと多くの人に知ってもらうため、現在はクラゲの研究や情報を広く発信する活動に取り組んでいます。

クラゲを通じて、海や生態系への関心を広げる一助になれば嬉しいです。

(サカナトライター:天草せりひ)

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