東レ静岡、地元で今季初の連勝!40歳米山裕太ら控え選手が躍動!酒井啓輔&上條レイモンドのコンビ光る<SVリーグ>
バレーボールSVリーグ男子の東レ静岡は11月30日と12月1日に沼津市内で行われたヴォレアス北海道との地元戦で今季初の連勝を飾った。コンディション不良で離脱していたアラン・ソウザ選手が戻ったもののまだ本調子ではなく、2日目は北海道の強力サーブに苦しみフルセットの激闘となったが、40歳のアウトサイドヒッター米山裕太選手やセッター酒井啓輔選手(浜松商高出身)、ミドルブロッカー上條レイモンド選手ら途中出場の選手が流れを呼び込み、勝利につなげた。
ベテラン米山の働き
第1セット、東レ静岡はサーブレシーブを崩され、立ち上がりで3−10と7点のリードを許した。ここで阿部裕太監督は守備力が高い米山選手を投入。徐々に追い上げて12−15とすると、そこから米山選手のサーブが効果的に決まり、連続10得点と怒濤の反撃。大逆転の末、25−19でものにした。
今季、守備力のある藤中優斗選手の加入で、出番が減っていた大ベテランだが、ここぞの場面での仕事ぶりはさすがとしか言いようがない。「藤中のコンディションがあまり良くなくて今回チャンスが回ってきただけだと思う。日々の積み重ねが今日の結果につながった。チームをちょっとでも助けられて良かった」と米山選手。
この日は守備を立て直す役目だけでなく、サーブが走った。「劣勢だったので、思い切って自分のサーブを打とうというところから始まり、何本かブレーク(サーブ側のチームが得点すること)できたので自分の中で余裕が出てきてコースを狙いつつというのを、継続してできた」と連続10得点の場面を振り返る。
アタックでも3枚ブロックに臆することなく、巧みにブロックアウトを取るなどして“古参ファン”をうならせた。ことし40代に突入。「(年齢に)あらがいながらやってます(笑)。やれることは限られてくるので、その中で高められる部分を高めて。若い選手、チームメートにエネルギーをもらい、お互いに切磋琢磨してやっている感じですね」
上條、決定率87.5%
第1セットは逆転で取ったものの、この日絶好調の北海道のサーブにその後も苦しみ、第2セットを失い、第3セットも劣勢に立たされた。再び流れを変えようと、阿部監督は酒井選手と上條選手を投入。それまでは、サーブレシーブの乱れもあって、クイック(速攻)やパイプ攻撃(前衛のアタッカーがおとりになり、中央後衛からバックアタックを打つ)が有効に使えていなかったが、相性のいい2人を同時に投入したことで、相乗効果が出て第4、5セットを連取した。
「クイックが機能してなくてパイプに(ブロックが)付かれていた部分が多かった。(自分が入って)ほかのスパイカーがいい状況で打てるようになり、それを継続してできた」と上條選手。「今年はクイックのスピードなどを見直して、東レの戦術に合ったスピードで打つ練習をしてきた。手応えは良かった」とアタック8本中7本、決定率87・5%を誇った。
セッター酒井投入の狙い
阿部監督は酒井選手投入の狙いについて「アランの数字が思ったより上がらず、(フランチェスコ)レチネ以外が攻撃面で機能していなかったので、全体的にリズムを変えたかった。攻撃が上がらなかったとしても彼(酒井選手)のブロックだったり、サーブだったりというところでブレーク側の強さも増やしたかった」と語る。
酒井選手は、期限付き移籍で新加入のセッター新貴裕選手に開幕からスタメンを譲ってきた。「新さんは本当にトスがうまいので、毎日勉強させてもらってます」とライバルを立て、「自分はトスが下手だけれど、スパイカーとの信頼関係でカバーしてもらっている」と謙遜する。どこまでも控えめな性格だが、「プロとして、1番のセッターを目指すところはあるけれど、それぞれの立ち位置で自分なりに表現できたら。自分は自分、ということを意識しながらやっていきたい」と、ブレずにやるべきことに意識を集中している。
もともとパイプ攻撃を得意としていた酒井選手。それだけでなく「センターゾーンをどれだけ使えるかが自分の持ち味」と言えるほどクイックにも自信をつけている様子。ソウザ選手の状態はまだ万全ではなく、総力戦必至の東レ静岡。長いリーグ戦、控え選手の奮起がチームを上位争いへと押し上げるはずだ。
(編集局ニュースセンター 結城啓子)