革ジャンの伝道師・モヒカン小川の私物大公開! 経年変化を楽しむ“茶芯”ってなんだ!?
革ジャンやブーツを愛する者なら当然知っている“茶芯”。古着ブームのなか、なぜ熱狂的な愛好家が多いのか疑問に思っているレザー初心者も多いのでは? 今回、革ジャンの所有数はゼロで、茶芯という言葉知ったのも最近。革靴は15足持っているがブーツは1足もないという編集部最若手の27歳・みなみ188が、オンラインサロンでも茶芯の魅力について発信している革ジャンの伝道師・モヒカン小川に公開質問! 長年愛用してきたモヒカン小川私物の革ジャンとブーツも大公開。これでアナタも茶芯の虜だ。
モヒカン小川|ライトニングのレザー担当。革に対する熱い想いや知識を活かし、誌面だけでなく、YouTubeやオンラインサロンで様々な情報を発信中だ
茶芯って実は偶然の産物だった⁉
みなみ 188(以下、みなみ) いきなり呼び出しちゃってすみません! 早速ですが、最近よく聞く“茶芯”とはずばり何ですか?
モヒカン小川(以下、小川) 簡単に言うと、「一見ブラックのレザーが、使い込んでいくうちに地のブラウンが表面に出てくること」かな。実は茶芯という言葉自体は皮革専門用語じゃないんだよ。
みなみ そうなんですね! 聞いたところ、茶芯というものに最初に注目して取り上げたのもライトニングなんだとか…‥?
小川 そうだと思うよ。いまでは国内外のレザーブランドが茶芯の革を使っているし、少し前にイタリア出張に行った時に知ったのは、某ラグジュアリーブランドも茶芯の革を使ったアイテムを作っているらしい。俺としては茶芯が日の目を見て感慨深いなあ。
みなみ 茶芯というと、鞣した革を一旦茶色で染め上げて、その後に黒で表面に色付けをしたものだと思いますが、これは経年変化を狙って作られたものなんですか?
小川 いい質問だね。実は狙ったものではなくて、茶芯って偶然の産物なんだよ。一説によれば、かつてはレザーをストックスするときに一度ブラウンに染色していたという話もあって、その後に黒に染め直していたから、ヴィンテージ市場に出回っているモノは必然的に茶芯になっていたんだよ。
みなみ なるほど! 狙っていない感じがいいですね。ちなみに“茶の茶芯”という言葉もチラッと聞いたことがあるのですが、それはどういうことなんですか?
小川 俺が持っている〈リアルマッコイズ〉の[A︱2]がその“茶の茶芯”にあたるんだけど、鞣した後に一度茶色で芯まで染めた後に、さらに表面を茶色で染める、ということだね。表面の黒が剥がれてブラウンが露出するのはいかにも茶芯らしくてかっこいいんだけど、茶の茶芯のようにブラウンのグラデーションが現れるようなエイジングもいいんだよな。
みなみ 確かにそれもかっこいいですね! 僕は革ジャンは一着も持っていなくて、正直自分は一生着ることはないだろうなと思っていたのですが、話を聞いていて茶芯の革ジャンが欲しくなってきました。ずばり小川さんにとっての茶芯の魅力ってなんですか?
小川 やっぱり使い込んだ先に得られる、“神様が与えてくれたご褒美”ってところじゃないかな。例えば俺の場合、革ジャンの襟裏がやたら表面が剥がれているんだけど、金髪のブリーチ剤が当たっているからだと思うんだよね(笑)。こんな感じで着用者の生活や癖が如実に現れるのも魅力だと思うな。
みなみ ブリーチ剤の話、めっちゃ面白いですね(笑)。俄然興味が湧いてきました! ほかにも小川さんの私物を見せてもらいたいです!
小川 OK! 厳選した革ジャンとブーツの計6つを紹介します!
モヒカン小川の私物を一部紹介!
“革ジャンの伝道師”として数多くのレザープロダクツを所有するモヒカン小川。なかでも思い入れの深い茶芯の革ジャン&ブーツを見てみよう。
FINECREEK
着用歴は5年。右肩と左胸のポケットの2箇所で下地のブラウンが大きく露出している。普段からポケットにモノを入れたり、ショルダーバッグは右肩に掛けるというモヒカン小川の“癖”が現れている。
THE REAL McCOY’S
愛用歴14年。いわゆる「茶の茶芯」で、1度ブラウンに染めたあと、さらにブラウンで表面を染めている。襟裏は金髪のためのブリーチとの接触によって他と比べても下地のブラウンの露出が大きい。
FINECREEK
愛用歴は約8年。いわゆる「黒の茶芯」で、鞣した後の革を一旦ブラウンに染めた後、その上から表面をブラックで染めあげている。全体的にまばらに茶が現れており、雰囲気抜群な1着だ。
RED WING
愛用歴は7年。先芯のないエンジニアブーツで、つま先に大きくブラウンが現れている。また、ヒールの内側も大きくブラウンが露出しており、脱ぐ際に逆足を引っ掛けている癖がここでも現れている。
DUOFORD
愛用歴6年。「ファインクリーク」の革ジャンで使用される馬革を使用。トータルコンセプターとしてモヒカン小川も開発に携わった1足だ。ブラウンのなだらかな露出具合は革ジャンのそれを思わせる。
BUCO
愛用歴15年で、この中で最も古株。下地のブラウンが激しく露出しているだけでなく、シャフト(筒)の波打つように刻まれたシワやソールの減り具合、ステッチのほつれなど、とにかくアジのある1足だ。