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【アーロン・パークス】人気プロジェクト「リトル・ビッグ」来日公演直前インタビュー

ARBAN

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現代ジャズシーンの最前線で活躍するピアニストのアーロン・パークスが、人気プロジェクト「リトル・ビッグ」を率いて一夜限りの来日公演(9月18日/WWW〈東京都渋谷区〉)を開催。直前に控えた日本公演について、アーロン・パークスが語る。

――前回、日本で演奏したのはいつでしたか?

2019年の後半だったかな…、その時がおそらく唯一のリトル・ビッグでの公演だと思います。

――これまでに “リトル・ビッグ” 名義で3作のアルバムを出していて、最新作は『Little Big 3』(2024年)。このプロジェクトがどのように発展し、現在どんな状況にあるのか教えてください。

僕の音楽を聴いてくれているファンの多くは、ブルーノートから発表した最初のレコード『Invisible Cinema』(2008年)によって僕を知ってくれたと思います。

そのアルバムはピアノ、ギター、ベース、ドラムという編成で、現在のリトル・ビッグにも繋がっている。じつは、この編成に初めて出会ったのは、何年も前の日本ツアーでした。エリック・ハーランドが、マット・ペンマン(ベース)とカート・ローゼンウィンケル(ギター)を迎えて日本でツアーを組んだことがあって、そのとき初めて、この楽器の組み合わせを体験しました。

ピアノとギターがメロディを重ねることで生まれるパワーと柔軟性、そのサウンドに当時の僕は夢中になりました。

そして、あのアルバム『Invisible Cinema』のために、本当に多様なスタイルの音楽を取り入れました。エレクトロニックミュージック、ヒップホップ、ロック、そういったものすべてです。ところが、そのプロジェクトはレコードを出したものの、いろいろな理由があって、あまりツアーをしなかったんです。

それでも僕はずっとそのアルバムが大好きで、僕の音楽人生の本当に重要な一章を象徴するものとして今でも満足している。ただし時が経って、何か物足りなさを感じ始めました。というのも、僕はずっとその編成に魅力を感じつつ、もっと一体感のあるものに出来るはずだという思いが生まれてきた。

それは “ジャズバンドが他の音楽の影響を受けて作りました” という分かりやすいものではなく、もっと何なのかはっきりしない、変幻自在な存在のように感じさせたい。そんな思いが強くなっていった。

――そうして「リトル・ビッグ」というプロジェクトがスタートしたわけですね。

その始まりは、ギタリストのグレッグ・トゥーイとの出会いです。そこからすべてが始まった。グレッグはニュージーランド出身のジャズミュージシャンで、かつてバークリー音楽大学で学んでいました。カート・ローゼンウィンケルやマーク・ターナーなどと同じ時期で、彼は90年代後半のニューヨークのシーンで非常に活躍しました。

ところが2000年頃、彼は即興音楽を演奏することに燃え尽きてしまったんです。「これは僕には合わない、もうやりたくない」と。そしてジャズをやめ、いくつかのロックバンドに参加しました。そして何年も、それをやりながらバーテンダーをして過ごしたんです。

僕が彼に会って一緒に演奏した時、とても個性的で、今までに体感ことのない何かを感じました。彼はロックのテクニックを使うジャズギタリストとしてギターを弾いているのではなく、本当にその世界に生きている人のように感じます。メロディを歌わせる方法を知っていて、テクスチャーやサポートを加える方法を理解している。

そして、僕たちはこのバンドで長年にわたって相棒のような存在になりました。お互いにコミュニケーションを取り、即興演奏をする特別な方法を学んできたんです。それは個々のソロだけではなく、互いのテクスチャーを織り交ぜることについても。そうして時間をかけて、バンドの形を整えていきました。

――ギターとピアノ、どちらもコードやメロディを担う楽器なので、その両者がバンドを先導するのは非常に難しいというか、役割分担が難しいのでは?

その通りだと思います。私たちは “互いにどう動くか”を知っていて、呼吸を合わせる素晴らしい方法を学んできました。確かに、ギターとピアノを一緒に演奏するのはとてもトリッキーなことで、非常に良くない結果になることもありますから。でも、うまくいっている時は、とてもパワフルな感覚があります。たくさんのテクスチャーが生まれるので。

――ベースとドラムについては?

リトル・ビッグで常に変わらない核となるのは、僕とグレッグですが、JKキム(ドラムス)がバンドに加わった時、大きな変化が起きました。JKはK-POPでの実務経験もあって、本当に新鮮な視点とワイルドな想像力を数多くもたらしてくれました。

ベースのデヴィッド・ギンヤードにも同様のことが言えます。彼は多くのモダンR&Bやロックアーティストなどと演奏してきました。そうしたジャズ以外のジャンルで実務経験があることは、このバンドにとって非常に重要です。

今回の来日公演ではマット・ブリューワー(ベース)が参加しますが、彼も何でもできる忍者みたいな人で、僕の最も古い友人の一人でもあります。だから、東京でのこのショーで彼と一緒にやれるのは本当に嬉しい。

このバンドについて一つだけ大事なことを言うと、これはフュージョンバンドのように見えますが、厳密にはフュージョンバンドではありません。どちらかと言えば、フュージング(融合している)バンドという認識が正しいのだと思う。様々なスタイルをある程度融合させていますから。「フュージョン」という言葉は、シュレッディング(速弾き)や印象的な演奏ばかりが重視されるような音楽のタイプと結びつけられがちです。それは僕にとって、少しネガティブな連想をさせます。エゴイスティックな自己顕示のような。それは僕たちが目指しているものでは全くありません。僕たちが大切にしているのは曲であり、環境であり、感情的にも、そして体でも、何かを感じさせ、動きたいと思わせることです。

――今回の東京公演では、最新アルバム『Little Big Ⅲ』の収録曲をプレイする予定ですか?

『Little Big Ⅲ』の曲が多いですが、最近は3枚のアルバムすべての曲を混ぜて演奏しています。加えて今回は、全く新しい曲を演奏する可能性もあります。来年の5月頃に4枚目のアルバムをレコーディングする予定なので。

久しぶりにまた日本に戻れることがとても嬉しいです。僕にとって日本は、この地球上で最もお気に入りの場所の一つですから。いつか、家族と一緒に日本で暮らせる幸運に恵まれることを願っていますが、今は訪れることができるだけでとても幸せです。そして、僕たちの音楽を分かち合えることを楽しみにしています。

【公演情報】

AARON PARKS LITTLE BIG in TOKYO

日時:2025年9月18日(木) 開場 18:00 開演 19:00
会場:WWW(東京・渋谷)
チケット:オールスタンディング 7,800円(前売) 8,800円(当日)
*チケットご購入順の入場(整理番号)

出演:AARON PARKS LITTLE BIG

アーロン・パークス Aaron Parks, piano
グレッグ・テューイ Greg Tuohey, guitar
マット・ブリューワ Matt Brewer, bass
JKキム Jongkuk Kim, drums

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